特 集

私達、美術教育ボランティアについて(1)


 私達、水戸芸術館・美術教育ボランティアが発足して早くも4年が過ぎました。展覧会会期中「ギャラリートーク」は来館された皆さんとお互いに意見や感想を交換していける場になっているのか、また、ボランティア・スタッフの声を発信しよう!と生まれたボランティア通信「168」(現在5号まで発刊)は有効に機能しているのか等、私達の活動を振り返り、新たな一歩を踏み出すために芸術館内外の方々のご意見、感想、提言を伺いました。


■木方 幹人

1957年京都府生まれ
横浜市在住
「現代美術のABC+D」のゲスト
名古屋市美術館学芸員を経て現在フリー*


 あの大震災から一年たちました。テレビや新聞では当時の映像を再現していて、薄れかけていく記憶が呼び戻させられる今日このごろです。

 ところで思い返してみると、美術家に関係する記事で、今でも私の記憶に残っているのは、貴誌の記事(「168」4号・緊急特集「阪神大震災とアート」)だけでありました。(無論、いくつかの美術雑誌や新聞でその関係の記事はいろいろ読みましたが…)

 なぜかと考えてみると、それは数人の美術家の意見が、私語とでも言える素直さで書かれていたから、というだけでもないようです。

 普通の雑誌が、あるいは公の美術館の広報誌でもそうでしょうが、原稿を欲しい時には、初めて外部の人間として原稿を依頼することになります。するとどうしても、肩書に縛られた公的な見解しか出てこないことが多い。また一方で、公的な書き方をしない人には原稿依頼は行きにくくなることが多くなることも事実です。

 その点貴誌の場合、芸術館の事情を知っている美術家の人たちが、あくまでボランティアにおいて制作なされていることをよくわかっているので、相当違った心情での原稿が可能になったのだと思います。

 しかも印刷物自体はしっかりしたきれいなものですので、一般の人が不自由なく読むことができます。このようなケースは、全国でもそう多くはないはずです。

 具体的な活動において、個人と個人が知り合ったきっかけからのみ、可能になる原稿というものがあると思われます。しかし実際の美術の世界において、外の人も読めるものは極めて少ないという現状で、貴誌の存在価値はとても大きい(というと何か大げさな言い方になりますが)と思います。

 実際私自身も、昔、同人誌のようなものにかかわったことがありますが、続けることは大変でした。しかし水戸芸術館のように、人々との具体的な場を持っていらっしゃる場合、そこに載せられる内容が疲弊することはないのではないでしょうか。

ということで、是非、今後も頑張って出し続けていかれる事を期待しています。

*本ページの内容は、1996年10月1日発行当時のものです。



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