現代美術ギャラリー/現代美術センター(水戸芸術館美術部門)
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MITO ANNUAL '94
「開放系 Open System」展
1994年 4月 2日(土)〜 5月29日(日)

*このファイルは、開催当時のちらしテキストと画像とを、記録用としてwebファイルに編集したものです。従いまして掲載情報は当時の時点のものでありますことをどうぞご理解ください。


本展は、社会や人間とのダイナミックな関わりをもって、 芸術のシステムを開こうとする新しい表現を紹介するものであって、 そのタイトルを <開放系 Open System> とします。

今日、およそ考えられる系=システムは、地球上の生態系の危機をはじめとして国家の体制、 思想の体系等いずれも混沌の状態、あるいは混沌の加速度的な増大の状態にあるといえるでしょう。 混沌の増大がシステムを終末に導くか、あるいは自己組織化による新たな秩序に導くかは、 そのシステムが外部の環境に対し閉ざされたものか、あるいは開放されたものであるかによると、 ノーベル化学賞受賞者イリヤ・プリゴジンは説いています。 そして不安定なシステムにおいて見られる動揺・動態である<ゆらぎ>が、 外的なエネルギーの交流によって強化されるとき、システムは混沌へと向かうのではなく、 より高次の秩序へと進化するとされます。 <開放系>という言葉は、もともと理論科学の分野のものです。 現在プリゴジンに代表されるこの理論は人文科学、社会科学の多くの境界領域に適用できるものと考えられています。 この展覧会ではそれを芸術のフィールドに用いたのです。

本展の出品作家はいずれも日本という座標を抱えながら、異文化に身をおいて活動しています。 国籍、文化、人種、性別など、彼らはさまざまな座標軸を横断し、 ごく当然のものとして自らの芸術表現をより広く社会・文化や人間の存在と結んでいるのです。 さらにその表現は深く作家自身の内部にも向けられることによって、強度あるものとなっています。 この十分な衝撃力をもった表現は、不確定な社会のシステムの中の明瞭な摂動・<ゆらぎ>だといえるでしょう。

プリゴジンは次のように述べています。
「希望と考えるのは、小さなゆらぎでさえも成長して、全体構造を変えうるからである。 それゆえ、個々の活動は無意味なものとして運命づけられてはいない。」
"ORDER OUT OF CHAOS" Man's New Dialogue with Nature by Ilya Prigogine and Isabelle Stengers
I. プリゴジン・I. スタンジェール『混沌からの秩序』伏見康治・伏見護・松枝秀明訳、 みすず書房 403ページ


会期:1994年 4月 2日(土)〜 5月29日(日) 9:30〜18:30 (入場は18:00まで)
会場:現代美術ギャラリー
企画:渡部誠一(現代美術センター主任学芸員、当時)
企画協力:倉林靖(美術評論家)
協力: 日本航空
入場料:一般 800円/前売り・団体(20名以上) 600円/中学生以下65歳以上無料
HTP(15歳以上20歳未満対象の1年間有効パス)1,000円
チケット発売: JR東日本みどりの窓口、びゅうプラザ、営業支店/水戸芸術館




刈谷 博
415のパレスチナ人
1993
刈谷 博(Kariya Hiroshi 1948年生まれ)

1977年以降ニューヨーク在住。 アメリカおよびヨーロッパを中心に活動。 今回の出品作品は、日常の報道ニュースの中のテキストやイメージを素材とする "報道絵画・彫刻" という独自の形式によるもので、 人間の生の痕跡あるいはそれが刻印された時代を検証するもの。


"In Memory of 9.11.2001"


蔡 國強
Project for Extraterrestrials No. 9 胎動II
1992
蔡 國強(Cai Guo Qiang 1957年生まれ)

中国福建省に生まれ1986年来日。現在茨城県取手市に在住し、日本を中心に内外で活動する。 火薬を用いたプロジェクトで知られている。 今回は古代中国に起源し東アジア一帯に伝播・普及した景観地理学である「風水」を水戸市に適用したプロジェクトを発表する。


田甫 律子
ON THE PATH
1991
田甫 律子(Taho Ritsuko 1950年生まれ)

1985年以降アメリカを中心に活動。 ケンブリッジに在住し現在 マサチューセッツ工科大学視覚芸術プログラム助教授として教鞭をとる。 今回の作品は日本人の意識構造の深層に存続する "家--イエ" 制度に対する問題提起と芸術における "言語" についての探究を意図したもの。


柳 幸典
ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム
1990
柳 幸典(Yanagi Yukinori 1959年生まれ)

現在ニューヨークと日本のアトリエを往き来しながら、国際的に活動する。 今回の作品では "表現の自由" 、 "国家権力と表現者としての個人" を主題とし、太平洋戦争と環太平洋圏諸国を対象にして、 戦争を知らない世代にもこの主題についての相対化された思考を促す装置を出品する。





GALLERY GUIDE




シンポジウム「開放系--出品作品を中心として」
日時:1994年 4月 2日(土) 14:00〜17:00 (開場は13:00)
会場:水戸芸術館会議場2階 入場無料
パネリスト:出品作家(刈谷博、蔡國強、田甫律子、柳幸典)、倉林靖、渡部誠一
*シンポジウム終了後2Fテラスにて、刈谷博によるパフォーマンス「百花・燈・刻(ひゃくのはな ともしび しるし)」を行います。


フォーラム「風水--風水の現在と蔡國強の水戸プロジェクトをめぐって」
日時:1994年 4月3日(日) 13:30〜18:00 (開場は13:00)
風水の今日的意味と水戸の風水プロジェクトをめぐり、第一線に立つ内外の風水研究者が語る。
パネリスト・:渡邊欣雄( 東京都立大学教授)、王其亨( 天津大学教授)、崔昌祚(元 ソウル大学教授)
コメンテイター:磯崎新、 蔡國強
会場:水戸芸術館コンサートホールATM
入場料:\1,000
協賛: 株式会社資生堂水戸商工会議所
協力: 日本航空

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「開放系 Open System」展覧会カタログ

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同時開催 CRITERIUM 10 吉田重信
1994年 4月 2日(土)〜 5月29日(日)
企画:渡部誠一
水戸芸術館現代美術ギャラリー第8室、第9室
協力: ラフォーレエンジニアリング株式会社
光ファイバー太陽光採光伝送システムなどにより、自然光を用いて、外界の変化とともに刻々変化し呼吸する光のペインティングおよびドローイングを発表。
5月 1日(日)14:00〜16:00「アーティストトーク」
担当学芸員との対話形式で、出品作家が自作について語ります。
当日14:00 第9室集合/聴講無料



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