河 口 龍 夫 ― 封 印 さ れ た 時 間 1998年8月8日(土)〜 11月29日(日)
Kawaguchi Tatsuo 1990-1998
現代美術ギャラリー/現代美術センター(水戸芸術館美術部門)
webstaff@arttowermito.or.jp
河口龍夫
|
日本を代表する現代美術作家の一人である、河口龍夫(筑波大学教授、1940年生まれ)は、1960年代から国内外で活発にグループ展や個展を開いています。
彼の作品を貫いている思想は「見えること」と「見えないこと」の「関係」を作品化することだと言うことができます。
言いかえれば、現実の世界にある「物質」を使って作品を造形し、その作品を透明な通路として観客の様々な意識(時間・空間の意識、美意識、死生観など)を呼び覚まそうとしてきたのでした。
本展覧会は、河口氏の数多い作品群の中から、現代美術専門館である当ギャラリーの特徴を生かして、90年以降に制作された作品(多くの未発表作を含む)と、会場に合わせて現場で新たに制作される作品とによって構成されます。
作品は、エントランスホール、広場を含めて計10スペースで展示されますが、各スペースごとにそれぞれ完結しながらお互いに結びつき合い、ギャラリー全体からひとつの(架空の)エネルギーを発散することを目指しています。
また水戸市とつくば市という地理的な近さと大学での教育経験を生かして、期間中に河口氏を迎えた多くの関連企画を計画しています。
「関係−再生・ひまわりの種子とマムサスの歯」
1998年
撮影:高橋和海
|
【封印された時間】
河口氏は、種子を鉛で覆ったり、蓮の花托を蜜蝋で包んだり、化石をフロッタージュ(擦りだし)したりすること、つまり直接的に物そのものを呈示することを避け、封印することによって、視線が直に物に達しないようにします。
そうすることによって観客の想像力をかき立てるのです。封印するということは、何かを閉じ込めることによって生命エネルギーや情報のエネルギーを保存して行くと同時に想像の世界で見る人に向かって開放してゆくことを意味しているのです。
今回封印されているのは、種子、化石、蓮、新聞などですが、種子というのは「誕生」の象徴であり未来の時間へとつながります。
いっぽう化石というのは「死の象徴として過去への思いをかき立てますが、その「死」も再生へ向けての死としてイメージされています。
つまり、封印されている時間は、生命誕生以来何億年という過去からの歴史であると同時に未来に向けての可能性の時間でもあるのです。
展覧会概要
企画名:「河口龍夫―封印された時間」展 KAWAGUCHI TATSUO 1990-1998
会期:1998年8月8日(土)〜11月29日(日)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー1〜7室、エントランス、広場
開館時間:午前9時30分〜午後6時30分まで(入場は午後6時まで)
休館日:毎週月曜日、11月24日、但し11月23日(月・祝)は開館
主催:財団法人水戸市芸術振興財団
助成:芸術文化振興基金
協賛:
株式会社資生堂、
トヨタ自動車株式会社
協力:
株式会社竹尾、
株式会社創夢、株式会社イッツ、農林中央金庫水戸支店
入場料:一般¥800 前売り・団体20名以上¥600
*65才以上、中学生以下の方、心身障害者の方は無料
チケット取り扱い:水戸芸術館チケットカウンター、JR東日本みどりの窓口、びゅうプラザ、
チケットセゾン、チケットぴあ
お問い合わせ先:水戸芸術館現代美術センター
TEL (029)227-8120
FAX (029)227-8130
河口龍夫 略歴
1940 兵庫県神戸市生まれ
1962 多摩美術大学絵画科卒業
1965 グループ〈位〉結成
1966 第1回フランス政府留学生選抜毎日美術コンクール展・毎日新聞京都支局長賞
1967 第3回日本芸術祭出品作品国内展示・優秀賞
1975-76 文化庁芸術家在外研修員
1983 筑波大学芸術学系助教授
1991 筑波大学芸術学系教授
会場構成
第A室
「関係―蓮の時・銅の空間」1997-98年(未発表)
床一面に銅板を敷きつめ、壁には蓮を蜜蝋で被った作品を複数展示し、蓮と銅板を銅線でつないで弱電流を流す。回路の途中の電球が電流の流れていることを視覚化しています。
第B室
「関係―時のフロッタージュ」1996-98年(未発表)
化石をフロッタージュした和紙を黄色い蜜蝋を塗った箱に、蜜蝋で添付した連作約200点。
廊下状の空間が黄色い作品で埋まります。
第C室
「関係―拡大・新聞」1994-95年(未発表、画像)
新聞の第1面を天然白亜、酸化亜鉛を混ぜた白い蜜蝋で薄く被い、情報エネルギーを封印した作品、約80点。
「関係―拡大・新聞、封印された情報エネルギー」1998年(未発表)
約1年半分の新聞の束を板と金具で固定し、蜜蝋で密封した作品、2点。
第D室
「関係−農具」1991年
種子の付いた農具を鉛で被った作品とそれを紙に置いて鉛筆で型取り、種子からのエネルギーのイメージを書き加えたドローイング、約20点。
第E室
「種子の周囲に」1990、1991-93年
紙に水彩絵具で描かれたドローイングと銅板を使って作られたオブジェ風の作品、約20点。
どちらもほぼ中央に鉛の小片が張り付けられていて、その中に種子が封印されています。
第F室
「関係−蓮の時・昇天」1992、1998年(未発表、画像)
蓮の花托と茎を鉛で包み、「昇天」というタイトル通り、ピラミッド状の展示室の壁面を上昇するように設置されます。
「関係−蓮の時・3000年の夢」1994年
蓮の花托と茎を鉛で包み込んだものをベッドの上に横たえた作品。
第G室
「関係−鉛の空間、種子の空間」1998年(未発表、画像)
4種類の種子を鉛で被い、壁面にタイル状に展示して、鉛色の空間を創出します。
「関係−鉛の音、種子の音」1993-94年
鍵盤にコスモスの種子を置いたピアノを鉛で被った作品。
第H室
「関係―水・鰓呼吸する視覚」1995-98年(一部未発表)
作品の内部を水によって封印した作品。
ギャラリー全体を封印することをイメージした作品も出品されます。13点。
エントランスホール
「関係−腰掛た水」1998年(未発表、画像)
鉛で被われた椅子の上に蜜蝋で覆われた器が置かれ、水面には鉛で被われた蓮の種子が入った銅の容器が浮んでいます。
その水面を目指して「フーコーの振り子」のように垂が吊るされています。
「関係−再生・ひまわりの種子とマムサスの歯」1998年(未発表)
籠一杯にひまわりの種子を入れ、そこにマムサス(マンモス)の歯の化石を突き立てた作品。
広場
「関係−温室・花のために」1998年(未発表)
1990年に制作された「関係―鉛の温室」の透明版。温室内に「関係―種子・花のために」が納められる。
関連企画
T.オープニング・レクチャー「90年以降の作品について」
本展出品作家・河口龍夫が、今回の出品作品を中心に、90年以降の自作について語ります。
日時:1998年8月8日(土) 14:00〜15:30(開場13:30)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー内ワークショップ
講師:河口龍夫
料金:展覧会入場料に含まれます。
U.河口龍夫による子どものためのワークショップ「水にうかべて、水にしずめて」
出品作品「関係――水・鰓(えら)呼吸する視覚」にヒントを得て、水に浮かぶ銅のオブジェを作ります。
平たいままでは沈んでしまう銅の板を、木槌で打ち出してお皿のようなかたちにすると、あらあら不思議、まるで船のように、ふわりと水に浮かびます。
そしてそこにいろいろなものをのせてみると、これまた不思議、のせるものの重さやかたち、置き方によって、浮かんだり、沈んだりします。
ぽっかりと水面に浮いている様子や、ゆらゆらと水底に沈んでいく様子を、観察して遊びます。
日時:1998年8月23日(日) 10:30〜16:00
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー内ワークショップ
講師:河口龍夫
対象:小学校4〜6年生
定員:20名
参加費:1,000円(材料費込み)
定員となりましたので締め切らせていただきました。
多数のご応募、ありがとうございました。
募集期間:7月15日〜8月15日
申し込み方法:往復はがきに、@住所、A電話番号、B氏名、C学年、D保護者の日中の連絡先を書いて、下記まで申し込んでください。
返信用はがきのおもてには、住所と氏名を記入してください。
先着順で、定員になり次第、締め切ります。はがき到着後、1週間程度でお返事いたします。
送付先:〒310−0063 茨城県水戸市五軒町1−6−8
水戸芸術館現代美術センター
「子どものためのワークショップ」係
V.「河口〈関係〉大学――封印された時間を解く」
〈関係〉をテーマとして作品制作を続けている本展出品作家・河口龍夫を学長に迎え、さまざまな角度から「河口龍夫――封印された時間」展を読み解きます。
一連の講義や実習を通じて、われわれの生きている世界が、見えるもの、見えないものを含め、さまざまな事象の関係の上に成り立っており、美術もまた、想像力を媒介にしてわれわれの生とつながっていることを、改めて考えていきます。
開講される科目は、現代美術論T・U、美術史T・Uのほか、哲学、植物学、古生物学。河口作品を貫く哲学的関心や、種子や化石といったモチーフを、個々に深く掘り下げて考察することにより、現代美術といった狭い枠組みを超えて、より広い視点から河口作品に迫ります。
また、造形実習や写真実習を通して、実際に自分の手や身体を動かすことにより、見ているだけではつかみにくい創造する者の思考や所作のありようを、実感として体験することを目指します。
学期:1998年8月29日(土)〜10月3日(土)
時間:別掲開講講座一覧参照
教室:水戸芸術館現代美術ギャラリー内ワークショップほか
受講形態:全体を通して受講し、卒業を目指す本科生(A)と、1日単位で聴講する聴講生(B)を募集します。それぞれの定員、申し込み方法等については下記を参照ください。
A. 本科生
定員:30名
受講できる講座:講義7(各1単位)、実習2(各2単位)、公開講座1
卒業資格:講義5単位以上、実習2単位以上取得
卒業式:10月3日(土)17:30〜18:00(公開講座終了後)
卒業特典:特製卒業証書授与、いわき市美術館「呼吸する視線 河口龍夫―みえないものとの対話―」展見学会(下記X参照)割引
受講料:3,000円(展覧会入場料、実習費、教材費を含みます)
支払方法:最初の受講日に、1階エントランス・チケット・カウンターにてお支払いください
募集期間:7月15日〜8月22日
定員となりましたので締め切らせていただきました。
多数のご応募、ありがとうございました。
申し込み方法:往復はがきに、@住所、A電話番号、B氏名、C年齢を書いて、下記まで申し込んでください。
返信用はがきのおもてには、住所と氏名を記入してください。先着順で、定員になり次第、締め切ります。
はがき到着後、1週間程度でお返事いたします。
送付先:〒310−0063 茨城県水戸市五軒町1−6−8
水戸芸術館現代美術センター
「河口〈関係〉大学」係
B. 聴講生
定員:各日30名程度
受講できる講座:講義7(実習は聴講生を受け付けません)
聴講料:1日500円(1日2講座開講されている日は、1枚の聴講券で2講座とも受講できます)
展覧会入場料割引:聴講生は、聴講日に限り、展覧会入場料が団体割引料金600円になります。
当日、1階エントランス・チケット・カウンターで聴講券を購入する際、その旨申し出てください。
申し込み方法:8月8日(土)より、下記の電話で事前予約を受け付けます。
予約が定員に満たない場合には、当日先着順で聴講を受け付けます。
水戸芸術館チケット予約センター TEL(029)225−3555
開講講座一覧
@講義(各1単位、各日14:00より、1日単位での聴講可)
8/29土
14:00〜15:00
現代美術論T「封印された時間を見る」 浅井俊裕(当現代美術センター学芸員)
本展担当学芸員が、出品作品を中心に、河口作品の魅力について語ります。
15:15〜16:15
美術史T「河口作品の歩み」 山本秀夫(美術評論家)
60年代から現在に至る、河口作品の変遷を、スライドを見ながらたどります。
9/5土
14:00〜15:30
哲学「不可視の領域」 太田省吾(劇作家)
見えるものと見えないもの、生と死、時間と空間の関係など、河口作品が一貫して追求してきたテーマについて論じます。
9/12土
14:00〜15:30
現代美術論U「河口龍夫と90年代美術」 新川貴詩(美術ジャーナリスト)
河口龍夫と90年代美術について、筑波大学に学んだ河口の教え子たちの活躍にも触れつつ、論じます。
9/19土
14:00〜15:00
美術史U「日本美術における蓮の系譜」 吉田英里子(美術史家)
河口作品に頻出する蓮のモチーフを出発点に、時代をさかのぼり、日本美術における蓮の系譜を探ります。
15:15〜16:15
植物学「種子をめぐって」 西川綾子(水戸市植物公園園長)
種子に秘められた生命のエネルギーにこだわり続けてきた河口作品を入り口に、種子の不思議、種子と人間のかかわりについて考えます。
9/26土
14:00〜15:30
古生物学「化石の時間」 國府田良樹(茨城県自然博物館主席学芸員)
今回発表される、化石のフロッタージュをもとにした新作を視野に入れつつ、化石とはいったい何なのか、化石はわれわれに何を語ってくれるのか、と問いかけます。
A実習(各2単位、聴講不可)
8/30日 13:00〜16:00
造形実習「水にうかべて、水にしずめて」 河口龍夫
出品作品「関係――鰓(えら)呼吸する視覚」にヒントを得て、水に浮かぶ銅のオブジェを作ります。
実際に自分の手を動かして、制作プロセスの一部を体験します。
9/15祝・火 11:00〜16:00
写真実習「封印された時間を撮る」 斎藤さだむ(写真家)
河口作品を長年、撮りつづけてきた写真家・斎藤さだむとともに、ファインダーを通して、河口作品に迫ります。
B公開講座
10/3土 14:00〜17:00
「グループ〈位〉・人間と物質*\河口龍夫の原点を探る」
河口龍夫、中原佑介(美術評論家)
河口龍夫が「グループ〈位〉」について、中原佑介が「人間と物質」展について語ったあと、2人が対談します(下記W参照)。
W.特別講演/河口〈関係〉大学公開講座
「グループ〈位〉・人間と物質――河口龍夫の原点を探る」
「グループ〈位〉」は、河口龍夫のほか8人のアーティストにより、1965年に神戸で結成されたグループです。
岐阜アンデパンダン展の会期中、穴を掘りつづけてまた埋め戻した『穴』(1965)や、各人が同じ絵画を制作・展示した「非人称展」(1965)など、実験的な活動を行いました。
一方、「人間と物質」展は、1970年に中原佑介がコミッショナーとして企画した、伝説的な展覧会で、河口龍夫も出品作家の1人として参加していました。
本特別講演では、河口龍夫が「グループ〈位〉」について、中原佑介が「人間と物質」展について、それぞれ語ります。
さらに第3部では2人が、21世紀の到来を見据えて、芸術の役割と可能性について意見を交わします。
日時:10月3日(土) 14:00〜17:00(開場13:30)
会場:水戸芸術館会議場
料金:無料
定員:先着100名
構成・講師:
第1部「検証T――グループ〈位〉」河口龍夫
第2部「検証U――第10回日本国際美術展1970人間と物質」中原佑介
第3部「対談――生命と物質、あるいは21世紀に向けて」河口龍夫×中原佑介
X.「呼吸する視線 河口龍夫―みえないものとの対話―」展見学会(市民講座#2)
近作〈関係―教育〉を中心に70〜80年代の作品も含めて展観する、いわき市美術館の「呼吸する視線
河口龍夫―みえないものとの対話―」展(会期:11月21日〜12月20日)を見学します。
日時:11月28日(土)
共催:水戸芸術館友の会
*詳細はお問い合わせ下さい。
TEL (029)227−8111
同時開催事業
1 クリテリオム36 平町 公(ひらまちいさお)
会期:1998年8月8日(土)〜10月4日(日)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー第9室
料金:展覧会入場料に含まれます。
アーティスト・トーク:9月27日(日)14:00〜15:30
2
都築響一のくるくる珍日本紀行
会期:1998年10月17日(土)〜11月29日(日)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー第9室、ワークショップ
料金:展覧会入場料に含まれます。
3 都築響一による「珍日本紀行」に関するお話(市民講座#1)
日時:10月17日(土) 14:00〜15:30
会場:水戸芸術館会議場
定員:80名 有料
「袋田の滝図」
1996
|
クリテリオム 36 平町 公 (ひらまち いさお)
会期:8月8日(土)〜10月4日(日)
会場:現代美術ギャラリー第9室
アーティスト・トーク:9月27日(日)14:00〜15:30
クリテリオムとは「基準」を意味するラテン語。
意欲的な表現を試みる作家と、現代美術センターのキュレーターが共同で、新しい表現の可能性を提案するシリーズです。
入場料は展覧会入場料に含まれます。
ご案内 -- 鑑賞のための特別入場料金
H.T.P.(ハイティーンパス)
15歳以上20歳未満の方が対象となります。
購入日より1年間、現代美術ギャラリーの企画展に何度も入場ができる便利でお得なハイティーンのためのパスです。使用時には年齢が証明できるものをチケットカウンターにご提示ください。料金は1,000円です。
団体割引
20名様以上の団体はお一人様600円でご覧いただけます。
無料入場
中学生以下、65歳以上、心身障害者の方は無料でご覧いただけます。
ウイークエンド・ギャラリー・トーク
会期中毎週土曜、日曜日の14:30よりボランティアによるギャラリー・トークを行います。
参加ご希望の方はギャラリー入口にお集まりください。参加無料。(ギャラリー入場券が必要です。)
*アーティスト・トークなどにより中止する場合があります。
Copyright 1998 Mito Arts Foundation. All Rights Reserved. Created by
Team TK.
Mail to: webstaff@arttowermito.or.jp