現代美術ギャラリー/現代美術センター(水戸芸術館美術部門)
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la Biennale di Venezia
ファースト&スロウ
第49回ヴェネチア・ビエンナーレ 日本館 2001
第49回ヴェネチア・ビエンナーレ概要
総合コミッショナー:ハロルド・ゼーマン
Harald Szeemann, Director of the Visual Arts Section of the Biennale di Venezia
国際展テーマ:「人間の台地」
49th International Exhibition of Art "Plateau of Humankind"
*日本からは、折元立身(おりもと・たつみ)が出品作家のひとりに選ばれています。
日本館コミッショナー:逢坂 恵理子(水戸芸術館現代美術センター芸術監督)
Eriko Osaka, Commissioner of Japanese Pavilion, the 49th Venice Biennale 2001
日本館展示テーマ:「ファースト&スロウ」"FAST and SLOW"
出品アーティスト:藤本由紀夫、畠山直哉、中村政人
会場:ヴェネチア市カステロ公園(Gialdini de Castello)
会期:一般公開/2001年 6月10日(日)〜11月4日(日)月曜休館
午前10時から午後 6時まで(入場は午後 5時)
内覧会:2001年6月6日(水)〜 8日(金)午前10時から午後 8時まで、
ただし8日は午後 2時まで
開会式:2001年 6月9日(土)
お問い合わせ:
国際交流基金 芸術交流部展示課
107-0021 東京都港区赤坂 1-12-32 アーク森ビル20階
Tel:03-5562-3529 / Fax:03-5562-3500
日本館展示テーマ「ファースト&スロウ」
21世紀最初のヴェネチア・ビエンナーレにおける日本館の展示テーマは「ファースト&スロウ」とした。
すべてが一方向的に加速する都市のなかで、異なった方向性をさぐる視点の存在を表現する。
この何年か私たちはいかに早く、効率よく、簡単に生活することができるかに腐心してきた。
場所をとわず、どこにいっても同じモノを入手できる便利さは、一方で、地域固有の文化の差異を内部から崩し「画一性」を助長することにもなった。
経済の「グローバリゼーション」は、世界各国の都市の姿をも近似化させた。
私たちは生活を便利に、そして快適にするために、たゆまぬ研究と技術革新を押し進めてきたはずだが、一方、
環境破壊や地球温暖化が地球全体の深刻な問題となっている。
日本は、欧米の様々な経済的、文化的断片を、まるでブラックホールのように、飲み込み消化して巨大な都市を出現させたが、その姿は、画一的なようで決して欧米の国と同一ではない。
モノと情報が氾濫する都市の中で、私たちはもはや一方向性の生き方に甘んじることはできないのだが、そのことを自覚することもたやすくはない。
生活のスピードをゆるめ、目先の価値判断や既得権を変えることは容易にできないものだ。「ファースト&スロウ」をテーマとした展示では、都市の姿を通して、 3人の作家による複合的な視点を提示する。
(逢坂恵理子)
「ファースト&スロウ」日本館展示プラン
共生を意識し、お互いに独立しながら干渉し合う 3人展として会場は
構成される。出品作家は、異なったメディアを用いて表現活動をおこなっている、サウンド・アーティストの藤本由紀夫、写真家の畠山直哉、アーティストの中村政人。
会場はピロティ構造の日本館の建築を考慮し、下のピロティに仮設の小部屋を設置して、上下のギャラリーで作品を展示する。
しかし、上下で展示を分断するのではなく、上のホールの床にある開口部分を利用して、上と下のギャラリーの気が流通し、微妙に連結しているような展示を試みた。
ファースト(ギャラリー 1)
導入部は、畠山直哉の、東京を定点観測した70点に及ぶ組み写真と、
大阪球場の 2点の写真を展示し、変貌する都市のダイナミックな様相を俯瞰させる。ハンバーガーショップ、
マクドナルドの商標をそのまま拡大した中村政人の作品は、高さ4.4mに及ぶ巨大な新作で、ギャラリー全体が黄色い光で満たされる。
中村は、その国の言語が話せなくても、若者には世界共通言語とも言えるロゴの存在と、マクドナルドがマニュアル化しているサービスの同質化に興味を持つ。
黄色い光と共に来館者は、電子キーボードから流れる和音の中を徘徊することになる。音もまた、都市の特異な時空間を象徴する。
藤本由紀夫のサウンドは、ギャラリー全体を包み込む環境として設置される。
視覚・聴覚を刺激する展示は、都市のスピード、エネルギー、画一性、電子音を身体化した空間を創り出す。
スロウ(ギャラリー 2)
チャコール・グレーに塗られた小さなギャラリーには、
渋谷の地下水道を撮影した畠山の写真『アンダーグラウンド』から 2点を展示する。排水の流れ込む地下水道は、不潔で人の忌み嫌う場所でありながら、
畠山の写真は、精神的な崇高さを感じさせる。ギャラリーの片隅に展示した藤本の作品『Sugar1』は、
ゆっくりと回転するガラス瓶の中の角砂糖が、まるでそこに人が存在するかのように微妙な音を放つ。
しかし来館者は、立ち止まって注意深く集中しなければ、その音にも気づかずに通り過ぎてしまうだろう。
中央の天井にしつらえられた穴からは、黄色い光が微かに漏れ、ゆったりとした時間が流れるこの空間は、既成の視点を変換させる。
出品作品リスト
藤本 由紀夫
(1) Room (Venice) 2001 電子キーボード(既製品) 各37x94x15cm
(2) Sugar 1 1995 鉄、ガラス、コルク、角砂糖、モーター 15x44x15cm
畠山 直哉
(1) Untitled 1989-2001 2001 タイプC カラープリント 70点組 各22.5x46cm
(2) Untitled/Osaka 1998-1999 タイプC カラープリント 2点組 各180x480cm
(3) Underground タイプC カラープリント 2点 各70x70cm
中村 政人
(1) Q・S・C+mV/VV 2001 アクリル、蛍光灯、鉄、ステンレス等 各440x542x40cm クリスタルガラス、蛍光灯 各12x12x2.5cm
作家略歴
藤本 由紀夫
1950年 愛知県名古屋市生まれ 現在、大阪在住
主な個展
1986「箱庭の音楽」ノ−スフォ−ト、大阪
1989「藤本由紀夫サウンド・オブジェ展」児玉画廊、大阪
1990「屋上の耳」児玉画廊、大阪
1992「Fate & Chance」ヒルサイド・ギャラリ−、東京
1999「美術館の遠足 1/10」西宮市大谷記念美術館、兵庫(以降毎年1日1回限りの展覧会を10年間開催するプロジェクト展として実施中)
主なグループ展
1989「音のある美術」栃木県立美術館、栃木
1991「箱の世界」水戸芸術館、茨城
1992「UNDR」シャロッテンボ−美術館、コペンハ−ゲン
1997「第4回北九州ビエンナーレ 感覚の庭」北九州市立美術館、福岡
1999「五感の芸術」クンストハウス、ハンブルク
2001「ガーデン−現代美術をとおしてみる後楽園」後楽園、岡山
畠山 直哉
1958 岩手県生まれ 現在、東京在住
主な個展
1983 ツァイト・フォト・サロン、東京
1986 東京造形大学、東京
1990 アラブ世界研究所、パリ
1994 ギャラリーNWハウス、東京。フォックス・タルボット博物館、レイコック(イギリス)
1999 ハヤカワ・マサタカ・ギャラリー、東京
2000 L. A. ギャラリー、フランクフルト
2000 コロンビア大学建築ギャラリー、ニューヨーク
主なグループ展
1991「メイク・ビリーヴ」ザ・フォトグラファーズ・ギャラリー、ロンドン他、イギリス巡回
1993「現代日本写真展」チューリヒ市立美術館
1994「液晶未来」フルーツ・マーケット・ギャラリー、エジンバラ他、東京、ヨーロッパ巡回
1997「欲望と虚無」クンストハレ・ウィーン
1997「時間/視線/記憶 - 90年代美術における写真表現」東京都現代美術館、東京
1999「Wohin kein Auge reicht」ダイヒトルハーレン、ハンブルグ、ドイツ
2000「予兆:アジアの映像芸術展」国際交流基金アジアセンター、東京
中村 政人
1963 秋田県大館市生まれ 現在、東京在住
主な個展
1993 なすび画廊、銀座路上、東京
1995「Origin of Flavor」ナビンギャラリーバンコク、バンコク、タイ
1996「トラウマトラウマ」SCAI THE BATHHOUSE、白石コンテンポラリーアート、東京
1998「QSC+mV」広島市現代美術館、広島
1999 「美術の教育」コマンドN、東京
主なグループ展
1992「中村と村上ーソウル」スペースオゾン、ソウル
1993「第29回今日の作家展 視えない現実」横浜市民ギャラリー、横浜
1994「新宿少年アート」新宿歌舞伎町全域、東京
1994「第4回アジア美術展、時代を見つめる眼」福岡市美術館、福岡
1996「Abstract/Real」20世紀美術館、ウィーン、オーストリア
1998「THRESHOLD」 The Power Plant 、トロント、カナダ
1999「第3回アジアパシフィックトリエンナーレ」ブリスベン、オーストラリア
2000「低温火傷」東京都現代美術館、東京
ヴェネチア・ビエンナーレについて
ヴェネチア・ビエンナーレは、1985年以来ほぼ2年毎に実施されてきた国際美術展として、
100年以上の歴史を持つ。世界約50カ国からの参加がある国際的に極めて知名度の高い展覧会であり、
美術の新しい動向を示す展覧会として知られている。
ヴェネチア映画際は、日本の一般の方々にもよく知られているが、
ヴェネチアは現代美術の分野でも長い間、文化交流と新しい美術の振興、普及に貢献してきた。国際美術展としてのヴェネチア・ビエンナーレでは、
国を代表するコミッショナーによって出品するアーティストが毎回選出される「コミッショナー制度」を採用し、
ヴェネチア市の東に位置するカステロ公園内に常設された各国のパビリオンを会場に開催されている。
日本は1952年から参加し、アジアでは最も早く1956年に自国のパビリオンを建設(吉阪隆正設計)している。
初期は、横山大観や鏑木清方のような日本画家も紹介されたが、
1960年からは同時代のアーティストによる新しい美術の動向を示す作品を展示するようになり、他国との足並みが揃うようになった。
隔年 6月に開催されるヴェネチア・ビエンナーレは、各国のパビリオン展示とイタリア館によるテーマ展示に大別される。
またカステロ公園外の会場でも、グループ展やパビリオンを持たない国の展示など、数多くの展覧会が同時に開催され、鑑賞者は国際的な現代美術の状況を一望することができる。
全体のテーマやテーマ展を企画するのは、総合コミッショナーで、毎回国際的に活躍している美術専門家が選出される。
各国のコミッショナーは、各パビリオンでの作家選定並びに展示を担当する。日本では国際交流基金が窓口となり、毎回日本館のコミッショナーを選出している。
各国の美術関係者が一堂に会し、同時代の美術を一堂に集めるヴェネチア・ビエンナーレは、現代美術の振興と国際文化交流に極めて貴重な場を提供している。
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