アンデルシェフスキのプログラム解説、本日ひとまず脱稿。この後はvivoの記事3本(これでvivoに書くのは最後)。それから秋のMCOチラシの宣伝文とつづく。
書き物が続いているのでちょっと中断しているが、数日前に、『水戸室内管弦楽団と巡る ヨーロッパ音楽紀行』に迫真のレポートを書いてくださった音楽学者・広瀬大介さんの新刊が届き、夢中で半分くらいまで読んでしまった。広瀬さんの専門であるリヒャルト・シュトラウスをテーマにした『リヒャルト・シュトラウス「自画像」としてのオペラ 《無口な女》の成立史と音楽』(アルテスパブリッシング)である。
いやあ、超面白い!広瀬さんと僕は友人であるということを差し引いていただいても、この本がたいへんな力作であり、鋭い考察とR.シュトラウス再評価への強い意志にささえられたものであることは保証したい。R.シュトラウス門外漢のこの僕が言うのだから、信じていただいて結構です。「《ばらの騎士》以降のR.シュトラウスは、要するに保守化したんでしょ」「なんだかんだ言っても、結局はナチに逆らえなかったんだよね」といった旧弊なR.シュトラウス観が(僕だってそこから完全に逃れられていたわけではないかもしれない)、もう完全に間違いであることがわかる。その問題を、《無口な女》という1935年のオペラに集約し、鮮やかに論じようというのがこの本だ。僕は前半のドキュメンタルな部分を読み終えたところだが、ホフマンスタールの死後以降、R.シュトラウスの創作意欲に再度火をつけたユダヤ人作家ツヴァイクとの幸福な共同作業、しのびよるナチの魔の手との虚実入り乱れるやりとり、運命的な転換をもたらした一通の手紙…いやもう、たいへんな資料の裏付けと深い読みに支えられた上質のミステリーですよ。しかもそこには「権力と芸術」をめぐる重い問いかけがある。これから後半の《無口な女》の音楽的分析に入って行くところだが、もう楽しみで仕方がない。広瀬さん、すばらしい一冊、おめでとうございます。コントルポアンの皆さん、このブログ読んだでしょうからお店に急いで入荷してね!
どさくさにまぎれて(いつもどさくさにまぎれているが)課外活動のご報告。発売中のレコード芸術5月号では特集「名曲名盤300」の選者のひとりをやらせていただき、かつコメンテイターとしてたくさん書かせていただいています。その他ワーナーのCDボックスセット『ベスト・オブ・バッハ』解説、BMGのボックスセット『レオンハルト/バッハ:鍵盤音楽集成』解説、日立タウン誌『スペース・マガジン』5月号、連載映画コラム「シネマ多元中継」お題はもちろん『グラン・トリノ』。