〒310-0063 茨城県 水戸市五軒町 1-6-8
Mail to: webstaff@arttowermito.or.jp
TEL: (029)227-8111 / FAX: (029)227-8110



JOHOKU-CHU * ART TOWER MITO
アートで "ド根性!"で 楽しい数学

水戸芸術館の建物に使われている立体を取り出し,とても楽しい数学の授業を展開してくださった先生と, それに一生懸命取り組まれて数学の面白さを新たに体験された生徒さんたちの記録をご紹介します。

水戸市の北西隣,東茨城郡 常北町常北町立常北中学校での事例です。
常北町立常北中学校
〒311-4304
茨城県東茨城郡常北町下青山10番地
TEL: 029-288-2025 / FAX: 029-288-2042


写真提供:常北中学校(以下,このページ内の授業風景等の写真は,常北中学校よりご提供いただきました。)



水戸芸術館の塔づくり


常北町立常北中学校 第1学年3組(1999年4月〜2000年3月のクラス)

生徒(34名):
飯田里美,板根みずほ,植田裕治,大貫敦史,河井知美,久保田健児,栗林啓子,鯉渕さなえ,
鯉渕大樹,河野愛美,小林麻貴,佐々木愛,杉田勝幸,薗部慈子,高田瑞政,高安和美,
冨田淳史,冨永雄太郎,中村愛美,仲山光,西美季,根本健司,羽石真理,星由香里,松崎由佳,
松下亨,緑川聡,三村綾香,宮田和也,森島卓,森島真央,安絢香,吉見奈緒子,綿引由美


常北町立常北中学校 教諭 大津 崇(第1学年3組担任)


2000年2月下旬に,常北中学校第1学年3組で,水戸芸術館の塔づくりの授業を実施しました。
この授業は,第1学年数学科の単元「空間図形」の学習教材として,次の目標を達成するために計画しました。

*使用教科書: 大日本図書「新版 中学校数学 1」(4大日本 数学709)153ページ〜155ページ


1 題材 「水戸芸術館の立体模型をつくろう」

2 目標

多面体や正多面体の特徴について理解する。
正多面体の展開図や面,辺,頂点の関係について理解する。
正多面体などの美しさを味わい,空間図形に対する興味・関心を高める。

3 生徒の実態

授業に先立って,水戸芸術館や塔について生徒がどの程度知っているかを調査しました。
その結果は以下の通りでした。(第1学年1クラス生徒32人実施)

水戸芸術館という名前を聞いたことがありますか ある 31人(97%)
水戸芸術館を利用したことがありますか ある 0人(0%)
水戸芸術館の塔を見たことがありますか ある 32人(100%)
水戸芸術館の塔に登ったことがありますか ある 12人(38%)


この結果を受けて,計5時間をかけて,本題材の学習を進めていくことにしました。


4 授業の実際

【 第 1 時 】

水戸芸術館のパンフレットをもとにして,水戸芸術館の建物やイベントの様子を調べているところです。

生徒は,コンサートホールや美術ギャラリーで様々なイベントが行われていることを知りました。


パンフレットの塔の写真を見て気づいたことを,学習プリントにまとめているところです。生徒からだされた意見には次のようなものがありました。

・おもしろい形をしている
・正三角形がたくさん集まっている
・ねじれている
・ぐにゃぐにゃしている
・不思議


その後,「塔の形状をインターネットで詳しく調べよう。」と呼びかけ,パソコン室へ移動しました。

生徒は,水戸芸術館のホームページにアクセスして塔の形状を調べました。

調べた結果正四面体28個を規則的に積み上げた形状であることや正三角形のチタンパネル57枚でおおわれているといったことが分かりました。

調べていく中で「正四面体ってなあに?」という質問が生徒からだされ,次の時間学習していくことを確認して第1時を終えました。


【 第 2 時 】

第1時の授業で課題となった「正四面体とはなにか?」ということについて,教室でその意味についての学習をしました。 また,多面体や正四面体以外の正多面体,その展開図などについても学習しました。



* 左画像は,その大変魅力的な教科書の1ページです。

6章 空間の図形

特別な多面体について考えよう。

すべての面が合同な正多角形であり,どの頂点のまわりの面の数も同じである,へこみのない多面体を正多面体という。

正多面体には,正四面体,正六面体,正八面体,正十二面体,正二十面体の5つの種類しかないことが知られている。

(展開図 上から順に,正四面体,正六面体,正八面体,正十二面体,正二十面体)

大日本図書株式会社様のご厚意により, 使用教科書の『新版 中学校数学1(平成8年1月31日文部省検定済 4 大日本 数学709)』154ページをそのまま転載させていただきました。


【 第 3 時 】

生活班ごとに正四面体づくりをしました。

工作用紙に正四面体の展開図をかき,それをセロテープで貼り付けて正四面体をつくっている様子です。


1つの班は5〜6人で構成されており,28個の正多面体をつくるために,一人5個ぐらいつくりました。


できあがった正四面体を積み重ねている途中の様子です。
写真の生徒の表情からも分かるように,生徒はとても真剣に,そして楽しそうに塔づくりに取り組んでいました。

うまく積み重ねることができずに試行錯誤を繰り返している班や,何個積み重ねたか分からなくなって助けを求める班もありました。

思いの外時間がかかり,第3時は正四面体を積み上げる途中で終わってしまいました。



【 第 4 時 】

第3時に引き続き,正四面体を積み上げていきました。
完成した班からは,「ヤッター スゴイ」といった歓声があふれました。

積み上げていって,最後に生徒が気づいたことがありました。
それは,単に積み上げただけでは水戸芸術館の塔と逆のらせんを描いてしまう場合がある, ということです。
水戸芸術館の塔は,下から上にいくにしたがって時計回りでらせんを描いているのですが,逆に反時計回りになってしまったのが一番下の画像です。
このらせんは,塔の上下を反対にしても逆のものは逆で変わりありません。
そこまでは私も考えていませんでしたので,それを知って,「積み上げ方」があったのだと驚きました。
約半分の班が「逆らせん」の塔になってしまいました。(左3枚目画像がその一例)


* 「逆らせん」の班の写真のみなさんの表情は,ちょっとしょんぼりに見えますが, これは失敗ではなく「発見」ですから自信をもってくださいね。 塔が完成する前から水戸芸術館にいるスタッフも,今まで「逆らせん」のことは考えたことがなく,新鮮な驚きでした。
みなさんのこれからの人生で,この発見の経験は大きな力になると思います。



その後,班ごとに面の数を数え,計算した結果58枚になることが分かりました。
生徒は最初,面を一つ一つ数えていました。しかし,ぐるぐるまわりながら数えているうちに,どこを数えているのかわからなくなってしまい,大変苦労しました。
「うまく数える方法はないのか?」と生徒に問いかけ,重ねたときに隠れる面の数とそのまま露出する面の数の関係に目をつけるよう助言しました。
その結果,生徒は,上下2つの正四面体の露出する面は3面,間の26個の正四面体の露出する面はそれぞれ2面であることに気づき,
3(面)×2(個)+2(面)×26(個)=58(面)
という式をもとに,全部で58の面があることを計算により求めました。

しかし,塔について 水戸芸術館のホームページで調べたときは57枚であったはずなのに, 差の1枚はどうなったのだろうかという疑問が残りました。「塔の土台の関係でわざとなくしたのだろう」という推測に終わってしまいました。 事実は?

事実: 28個の正四面体をつなげたものが宙に浮いた状態ですと正三角形の面は58枚ですが,水戸芸術館の塔の「底」の正四面体の一番下の1枚(1面)は, 塔の下の建物の屋根にくっついています。 その1枚を除いて57枚が表に出ているチタンパネルの面です,というのがより詳しい説明となります。





【 第 5 時 】

この時間は,生徒が自分自身で課題を設定し,その課題に自由に取り組む時間としました。生徒が取り組んだ課題には次のようなものがありました。

塔の展開図を考えて,展開図から塔づくりをしてみよう。
・1名の生徒が展開図を考えて,実際に作図していましたが完成には至りませんでした。正三角形が19個並ぶものを2つ,20個並ぶものを1つ,そのそれぞれを山折り, 谷折りにしておいてそれをつなぎ合わせていくものでした。 が,組み立ては至難の技で,私も挑戦してみましたが,不器用なせいか(?)やっぱりうまくできず, 工作用紙などを折ってつくるのは不可能に近い(?)と,途中であきらめてしまいました。

* 挑戦してみましょう!



正四面体以外の正多面体の模型をつくってみよう。
・ほとんどの生徒がこの課題に取り組みました。工作用紙に展開図をコンパスと定規で作図し,思い思いの正多面体をつくっていました。 特に難しいのは,正十二面体の正五角形の作図ですが,教師がヒントを与えたところ,生徒は果敢に挑戦し,見事正十二面体を完成させました。


準正多面体(角切り二十面体)について調べてみよう。模型をつくってみよう。

・正二十面体を特殊に切断すると,サッカーボールの形ができることを紹介したところ,作ってみたいという声があがり,数名の生徒が挑戦しました。
しかし,展開図が正五角形と正六角形の組み合わせでできており,作図が複雑で,結局完成に至ったのは1名でした。


折り紙で多面体をつくってみよう。

教科書に紹介されている折り紙による多面体づくりにも挑戦しました。特に六十面体は非常に難しく,1名の生徒が見事な作品を完成させました。




以上,大まかではありますが,授業の報告をさせていただきました。これらの授業を終えて生徒は次のような感想を寄せてくれました。

・はじめに塔をつくると聞いたときは,難しそうで本当につくれるのかなと思っていたけど塔の構造を調べて,正四面体をつくって積み重ねていくと本当に塔ができてきて,完成したときはとてもうれしかった。この授業を通して,図形に対しての考え方が変わった。

・自分のすぐ身近なところで,図形がたくさん使われていることを知った。班のみんなで協力して1つのタワーをつくっていくのは,失敗したところもあったがとてもおもしろく,できあがったときには感動した。

・アートタワーを見るたびに,どのようにしてつくられているのかとても不思議だったが,この授業を通して,タワーの秘密がよくわかった。自分でも,なにか不思議な立体をつくってみたいと思った。



このページは,常北町立常北中学校(学校長 鈴木芳夫先生)のご厚意とご協力とにより,大津崇先生がまとめてくださった授業報告書をもとに編集しました。

また,教科書の引用・転載にあたりましては, 大日本図書株式会社様,窓口を引き受けてくださった編集部の柳澤千賀子様には編集にあたっての貴重なご助言まで, 多大なご協力をいただきました。

大日本図書株式会社様には,開館後まもなくに 東京新聞様に撮影していただいた館の写真を口絵にお使いいただいた, 「中学校 数学 2」(平成4年1月31日文部省検定済教科書,4 大日本 数学 803,平成5年から8年まで使用された教科書,茨城県でも採用)ほか,さまざまにご注目いただいております。

画像はその教科書「中学校数学 2」の表紙です。「正三角形の組み合わせでおもしろい塔が造られています。」の解説を懐かしく思い出される方も多いのではないでしょうか。
数学の授業や教科書にまつわるエピソード等もお待ちしています。webstaff@arttowermito.or.jp までお送りください。




水戸芸術館の建物には他にもさまざまな図形や立体が隠されています。
その建物の中や外には,心を打つ音楽・言葉や人の動き・思索を求める美術作品など, 素晴らしい芸術が溢れています。

クラスや学校単位でのご見学,ご鑑賞,その他さまざまなお手伝いを喜んでさせていただきますので,お気軽にお問い合わせください。

また,このページに関するお問い合わせやご感想ご意見等,下記アドレスまでお気軽にメールでお寄せ下さい。
常北中学校宛のメールも喜んで取り次がせていただきます。
webstaff@arttowermito.or.jp



ホーム 音楽 チケット
施設案内 演劇 友の会

美術


Copyright ©2000 JOHOKU CHUGAKKO, DAINIPPON TOSHO & ART TOWER MITO. All Rights Reserved. Created by TK.
Mail to: webstaff@arttowermito.or.jp