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for accordion (1999) 原田 敬子

「AIR-呼吸-循環」 アコーディオンという楽器から連想されたこれらは、の主要なテーマとなっている。 私は音楽を実現するための媒体として、<人間が意志を持ってリアルタイムで演奏する>という手段を意識的に選択してきた。 今日のコンピューター時代には殆ど無縁な原始的手段だ。 よって私は常に、人間から、そしてその楽器や声から逃れることはできない。 むしろその可能性を信じ、広げてゆきたいと思っている。

シリーズの第2作目になるでは、 奏者の、演奏に際する 内的状況をヴァリエーションし、 激しいコントラストによって構成した。 内的状況とは感情の変化ではなく、呼吸のリズム・音価の数え方などといった実際的なことを指している。 慣習的では無い方法を、意識的に音楽に内在させている。 これによって奏者自身が、今までとは違う新しい何かを感覚すること、 そこで初めて音楽そのものが新しく響く可能性を持つ。

私達は音を視ることができない。 しかし音の媒体である奏者自身がその瞬間を、確信を持って<音楽>としようとする時、 私達は<みえる>ということよりも強い存在を感覚するのではないだろうか。

創り手のこのような意図は、しかし、Stefan Hussongという音楽家の演奏そのものによって充分に<音楽>へと異化され、 生かされるだろう。 彼に向き合い、その音に心を澄ませば、もはや私の言葉など不要であろう。


Ministerium fur Wissenschaft, Forschung und Kunst Baden-Wurttemberg (Germany)委嘱作品、
1999年 3月13日(土)、水戸芸術館コンサートホールATMにて世界初演


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