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こまつ座第59回公演
「父と暮せば」
第2回読売演劇大賞「優秀作品賞」受賞


昭和二十年の盛夏の広島。そこには戦況悪化におびえながらも、 必死に生きようとしていた普通の人々がいた。 が、八月六日午前八時十五分、 突如頭上に炸裂した一発の閃光が人々の運命を変え、広島を「ヒロシマ」に変え、 父と娘の未来を変えた。

いかなる悲惨さの中でも変わらぬ人間の尊厳を市井の名もなき父娘に託して、 井上ひさしが描くこまつ座珠玉の一篇。
第2回読売演劇大賞「優秀作品賞」受賞作品。(1994年9月初演)

井上 ひさし 作
鵜山 仁 演出
沖 恂一郎/斉藤 とも子
9月2日(土)19:00開演
水戸芸術館ACM劇場
A席4,000円、B席2,000円(全席指定) 完売御礼
チケット発売:7月1日(土)



ヒロシマ、ナガサキの話をすると、「いつまでも被害者意識にとらわれてはいけない。 あのころの日本人はアジアにたいしては加害者でもあったのだから」と云う人たちがふえてきた。たしかに後半の意見は当たっている。 アジア全域で日本人は加害者だった。

しかし前半の意見にたいしては、あくまで「否!」と言いつづける。

あの二個の原子爆弾は、日本人の上に落とされたばかりではなく、人間の存在全体に落とされたものだと考えるからである。 あの被爆者たちは、核の存在から逃れることのできない二十世紀後半の世界中の人間を代表して、地獄の火で焼かれたのだ。 だから被害者意識からではなく、世界五十四億人の人間の一人として、あの地獄を知っていながら、「知らないふり」することは、なににもまして罪深いことだと考えるから書くのである。 おそらく私の一生は、ヒロシマとナガサキを書きおえたときに終わるだろう。この作品はそのシリーズの第一作である。 どうか御覧になってください。

井上ひさし



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