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スタントマン(身代わり屋)とニューロマンサー(神経魔術師)の対決が
この春幕を切っておとされる!


劇団唐組新作水戸公演『闇の左手』

水戸芸術館 ACM劇場 芸術監督 松本小四郎

毎年恒例となりました劇団唐組の新作公演を広場特設紅テントにおきまして、 5月18日、19日、20日の 3日間開催いたします。
劇団唐組の水戸公演は、95年の『裏切りの街』より始まり、今回の新作『闇の左手』で 9度目の公演となります。

『闇の左手』はアメリカの女性SF作家、ア−シュラ・K・ル・グィンの同名の小説 (1969年) から着想を得た作品です。

この小説では、極寒の惑星と両性具有人の社会という、SF史上屈指の異世界が構築されています。
他者とのコミュニケ−ションやユ−トピアの探求といったテ−マを、光と闇、男と女、生と死、背信と忠誠、左手と右手といった対立するふたつのもののイメ−ジによって、詩的に描いたSF小説の傑作として、発表当時大反響を呼びました。

唐十郎は今回の新作のなかで、ル・グィンの小説にあるような対立するすべてのものが、 実は代行され交換可能なものであることを、流麗なせりふによって語りかけています。そこでは、ウィリアム・ギブソンの『ニュ−ロマンサ−』(1984年)までもモチ−フに取り込まれ、唐独特の想像力を喚起させる劇空間がつくりあげられています。

唐十郎渾身の新作に、どうぞご期待下さい。


物語

壊れゆく部屋の中で、ひび割れた鏡台の後ろからでてきた「肩義手」に、解体屋・田口は重機を止めた。彼はその部屋の持ち主・元スタントマン片岡に会うために、ライブハウス<アブラ・カブドラ>を訪ねる。そこで出会った左利きの女「ギッチョ」。彼女は、片岡の住む以前に、解体された部屋の住人であり、田口がただ一つ壊せなかった物「肩義手」の製作者だったのだ。ギッチョの義手に対する深い愛情に触れ、いつしか田口も、その義手に物以上の想いを寄せていく。
--「もし、僕に、たぎりたつ見知らぬ半身、半分があるのなら、それが、この左手とともに生きだすだろう」--
唐十郎扮するニュ−ロマンサ−(神経魔術師)の策略によって、決死のスタントに挑む片岡。解体前の部屋で「自殺代行」の道具として使われていた左手が、死の闇をかいくぐり、片岡の救世主として生き始める。
唐十郎渾身の新作。紅テントが21世紀の幕を開ける!!



劇団唐組<新作>水戸公演『闇の左手』

作・演出:唐十郎 / 左腕原案:四谷シモン
5.18[金]19:00 / 5.19[土]19:00 / 5.20[日]19:00
会場:水戸芸術館広場特設紅テント
料金:全席自由 一般 \3,000 団体 \2,700(10名様以上) 学生 \1,500
*団体券・学生券は水戸芸術館のみの取り扱いとさせていただきます。
チケット取扱い:
水戸芸術館エントランスホ−ル内チケットカウンター (9:30-18:00、月曜休)
水戸芸術館チケット予約センター 029-225-3555 (9:30-18:00、月曜休)
チケットぴあ 03-5237-9988
CNプレイガイド 03-5802-9999
チケット発売:2001年3日31日(土)


『闇の左手』解説

21世紀になっても、唐十郎と唐組は世界中のどこにも存在しないユニ−クで不思議な演劇世界を展開し続けている。これは、よく考えてみれば--よく考えてみなくても--本当に凄いことだ。

主人公田口が解体したアパ−トの部屋には隠された秘密があった。町も建物も人間も、すべてが取り換え可能なパ−ツに還元され、義手、義足、義脳、義内臓だらけになってしまっている現代の日本の中で、そこにはそれとは違う、全く別な種類の物と記憶が織りなす物語が隠されていたのである。

今回も見どころは盛り沢山である。「人間ミラ−ボ−ル」の「鏡像段階」から抜け出してきた「魔術師の弟子」―片岡。「過去への台車」を自在に操る男―坊屋。田口たちの前に立ちふさがる取り違えの名人−微笑小路(神経魔術師)に率いられた悪の三人組。そして、自分の左手に語りかけ男物のブリ−フをはく謎の美女ギッチョ。文明の夜と無意識の闇から現れ出たような彼らの繰り出す代行と交換の冒険の渦巻きに、見る者はみな巻き込まれていくだろう。そして、その渦はやがて「あなたの身体の半分に乗り移らして」とせがむ「闇の左手」となって、テントを出たあなたの肩にからみついてくるかもしれない。

「闇の左手」は根源的に多神教的であり、まるで昆虫類のような唐十郎の想像力によって産み出された快作である。そして、もしこの世界に「未来」があるとしたら、それはそうした想像力の中にしか存在しえないであろう。


登場人物

田口 解体業トラキ屋の使いっぱしり

おばあちゃん 解体寸前で死に損なった老婆。怨まず田口を守る

坊屋 ライブハウスの老ボ−イ。過去の台車を使いこなす

片岡魔助 元スタントマン。今は手品師、微笑小路の弟子

牡蠣谷 微笑小路の付き人。カキヤはギリシャ神話に於けるビョ−キの元凶名

モルグ 微笑小路の追っかけ。霧に包まれた知識人

微笑小路 微笑を売り物とするニュ−ロマンサ−(神経魔術師)

ギッチョ 芹川工場の女性技術師。男ものブリ−フを付け、廻り燈籠の下で歌うたう

澄子 トラキ屋の社長の娘。田口を「タアちゃん」と呼ぶ

合羽姿の窓拭き 長い合羽袖。のちに川辺という女性であることを告げる

リサコ 皮手袋の女としてあらわれる。ギッチョがいなければ生きられない

老婆 徘徊症でライブハウスを通り抜ける

八百屋 その老婆にバナナをとられ追う

魚屋 アジを追う


役者陣

唐 十郎 ★ 近藤 結宥花(新宿梁山泊) ・ 鳥山 昌克 ・ 久保井 研 ・ 辻 孝彦 ・ 稲荷 卓央 ・ 藤井 由紀

堀本 能礼 ・ 中袴田 克秀 ・ 石丸 朋広 ・ 岩倉 弘樹 ・ 赤松 由美 ・ 武田 朋恵 ・ 木下 敬志 ・ 仲田 安良

野上 大樹 ・ 藤本 拓也 ・ 岩間 潤子 ・ 真名子 美佳


スタッフ

宣伝美術 : 合田 佐和子
作曲 : 大貫 誉
舞台美術 : 劇団唐組
照明 : 劇団唐組照明部
音響 : 劇団唐組音響部
制作 : 劇団唐組制作部
協力 : (株)文化印刷



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