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イリヤ・カバコフ展 シャルル・ローゼンタールの人生と創造

1999年8月7日[土]~ 1999年11月3日[水]

■企画展
水戸芸術館現代美術ギャラリーでの会場風景 photo:齋藤剛

旧ソ連のウクライナ出身のアーティスト、イリヤ・カバコフ(1933~)は、より自由な作家活動を求めて冷戦終結以前から西側に渡り、ソ連内部の政治的抑圧と人々の複雑な感情を暗示させる大がかりなインスタレーション作品で、西側の美術界に高く評価されてきました。
現在ニューヨークを拠点として活動しているカバコフは、93年には、ベニス・ビエンナーレでロシア館の代表作家に選ばれています。しかし、その後もロシアに帰国することなく、欧米を中心に制作活動を精力的にこなし、いまや国際的に極めて高い評価を得ている作家の1人となっています。近年は、空想に満ちたより詩的な平面作品や、幼い日の記憶を辿るような幻想的な世界を垣間みせるインスタレーションを数多く発表しています。
今回開催する水戸芸術館での個展は、平面作品を中心に、新作で構成されますが、この展覧会のタイトルにある「シャルル・ローゼンタール」はカバコフが設定した架空の画家の名前です。水戸芸術館現代美術ギャラリーの空間に合わせて企画された本展は、ローゼンタールがその短い一生に追い求めた多様な絵画表現を、彼の回顧展の形で構成するという重層構造のユニークな展覧会となっています。つまり、技術の習得に優れていた画家、ローゼンタールが、20世紀初頭という時代の影響を受けながら多様な表現を試みるが、若くして夭折するという設定のもとに、イリヤ・カバコフが平面作品を制作し、展覧会はひとつの物語のように展開されることになります。ローゼンタールが生きた19世紀末から20世紀初頭のロシアでは、後にロシア・アヴァンギャルドと呼ばれる前衛芸術運動が、最もはなばなしく展開した時代でもありました。
個人史でありながら絵画への模索と歴史をも組み込んだ設定のこの展覧会は、アーティストと表現に関わる根本的な問題を提示しているといえるでしょう。会場の一部には、言葉の表現力と絵画の物語性を重視しているカバコフが近年制作した本や資料を図書室のようなしつらえで展示します。


▼関連プログラム

1.アーティスト・トーク

実施日:8月7日
講師:イリヤ・カバコフ

2.連続講座「シャルル・ローゼンタールの時代と作品を読む」

1)「ロシア・アヴァンギャルドとシュプレマティズム」
実施日:8月21日
講師:中原佑介(美術評論家)

2)「1920-30年代のパリのロシア人」
実施日:8月22日
講師:五十殿利治(筑波大学助教授)

3)「ロシア・アヴァンギャルドと絵本」
実施日:8月28日
講師:島多代(国際児童図書評議会会長)

4)「ロシア・アヴァンギャルドと詩と文学」
実施日:8月29日
講師:亀山郁夫(東京外国語大学教授)

3.ライヴ「イリヤ・カバコフを読む」

実施日:10月2、3日
朗読:塩谷亮、佐藤信郎、子安真、名取哲(Acting Company Mito)

4.シンポジウム「未来の後に未来はあるか―現代美術の模索と可能性」

実施日:10月15日
会場:国際交流基金国際会議場
助成:財団法人ポーラ美術振興財団
協力:国際交流基金、東京大学文学部スラブ語・スラブ文学研究室
パネリスト:イリヤ・カバコフ、ドミトリー・プリゴフ(詩人)、辻井喬(詩人・作家)
モデレーター:沼野充義(東京大学助教授)


▼開催概要

展覧会名

イリヤ・カバコフ展 シャルル・ローゼンタールの人生と創造


会場

水戸芸術館 現代美術ギャラリー


開催日

1999年8月7日[土]~ 1999年11月3日[水]


開催時間

9時30分~18時30分 ※入場は18時まで


休館日

月曜日※10月11日[月]は開館、10月12日[火]は休館


入場料

一般800円、団体(20名以上)600円
※中学生以下、65歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名、年間パスをお持ちの方は無料


主催

水戸芸術館現代美術センター


助成

国際交流基金、財団法人ポーラ美術振興財団


協賛

トヨタ自動車株式会社


協力

全日空、日本貨物航空株式会社、株式会社創夢、株式会社竹尾


企画

逢坂恵理子(水戸芸術館現代美術センター芸術監督)