スタッフ
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原作宮崎 駿(みやざき・はやお)
プロフィール
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1941年東京都生れ。学習院大学卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)入社。日本アニメーションなどを経て、1985年にスタジオジブリ設立に参加。作品に『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『魔女の宅急便』『紅の豚』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』『風立ちぬ』など。著作に「シュナの旅」「出発点」「折り返し点」「半藤一利と宮崎駿の腰抜け愛国談義」「トトロの生まれたところ」「宮崎駿の雑想ノート」などがある。
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脚本井上 桂(いのうえ・かつら)
プロフィール
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2017年4月水戸芸術館ACM劇場芸術監督に就任。1996年新国立劇場開場時から演劇部門のプロデューサーとして活動。日本芸術文化振興会プログラム・オフィーサーなどを経て現在に至る。台本化にあたっては、原作のエピソードを踏まえ、様々な文献から当時のエピソードを掘り起し、新たな物語展開や登場人物の性格付けを行った。
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演出一色隆司(いっしき・たかし)
プロフィール
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NHKエンタープライズ制作本部ドラマ番組エグゼブティブ・ディレクター。1991年にNHKエンタープライズに入社。99年NHKスペシャル『世紀を超えて・ハリウッド』制作後、ドラマ部へ異動。時代劇『茂七の事件簿』『アフリカの蹄』『坂の上の雲・留学生』『そこをなんとか1・2』『紙の月』『精霊の守り人』シリーズ第三部、19年NHK正月時代劇『家康、江戸を建てる』など監督。2016年に『令嬢と召使』で舞台初演出。18年5月には『人形の家』を演出した。
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主催公益財団法人水戸市芸術振興財団(水戸芸術館)
施設概要
施設概要
1990年に開館した日本で最初に芸術監督制度を導入した施設。水戸市の市制100周年を記念して設立され、初代館長は吉田秀和、二代目館長には小澤征爾が就任。ACM劇場のほかにコンサートホールATM、現代美術ギャラリーを有する。2019年は開館30周年となる。
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メッセージ
時は太平洋戦争末期。日本軍は、太平洋上の敵の攻撃に備え、ある日突然に、日本中の漁民たちを船と人員もろとも徴用し、南方戦線の物資の輸送や、敵の艦船の監視に引きずり出す。そして、無数の漁村の民が帰らぬ人となり、太平洋の底に沈んでいった。その数はあまりにも多く、資料として正しい数値には残っていない。ここにも、戦争の理不尽さがあったことを私は知りませんでした。
数多のB29爆撃機や戦闘機相手にポンポン船で対抗したとは、滑稽なまでに哀しい無謀さに、戦争という時代のねじ曲がり感が恐ろしくもとても興味を引かれました。その史実に興味を持ったのと、宮崎駿さんご自身が、自らイラストと漫画で紹介なさったことに興味も湧きました。そこにはカラフルなイラストでどんな船の上の戦いだったのかが、宮崎流の分かりやすいイラストで克明に描かれていました。想像力をかきたてる絵柄で、僕は二つ返事でこのお話に乗りました。
いわゆる戦争モノにあるような悲惨に終わるストーリーではないのです。
もちろん、この監視艇に選ばれたほとんどの船は帰らぬことになったのですが、井上桂氏が新しく構成された戯曲は、平和賛歌、家族賛歌として、今を生きる人々に希望と力を与えるような作品になっていることに感銘を受けました。
そして、とにかく、深い内容の“娯楽作品”になっていることも僕の食指を動かしました。
ある日突然海軍から、「この船を明日から徴用する」と言われ、何もわからぬまま青年将校たちの指揮の下、海に出る。漁師の日常、潮見、天気のことを全くわかっていない若き軍の精鋭たちと、小難しい軍の規律を理解できない海の漁師たち。そこで繰り広げられる珍事件の数々! そのデコボコ感は、喜劇なのかと勘違いさせるものすらあって、当時の日本軍の置かれた極限状況を面白おかしく皮肉っているようにも見えます。
これは、うまく創り上げれば年代問わず誰もがハラハラドキドキ、時に笑いながらも楽しめ、最後には平和や戦争のことをじっと考えさせる良質な舞台になる可能性をとても秘めている作品になると確信しました。
だが、しかし、ハードルは高いです。
青年将校を演じる若い役者たちは戦争の中で連合艦隊の勝利を本気で信じる狂信を演じなくてはなりませんし、僕ら壮年!?老年!?漁師を演じる役者たちは、東北漁村の漁師たちの海の匂いにリアリティーが出せないと成立しません。
そして、この作品の最大のハイライトシーンとなる焼玉漁船(ポンポン船)と米軍爆撃機との海上の戦いなどは、舞台上でその迫力を現出させるなどは、最難関だと思います。映像とは違った舞台ならではの現実感覚を持たせるには、俳優の肉体というものにかかってくる比重は大きいです。そこが、私、舞台出身の役者を燃えさせるポイントでもあります。
どんな舞台になるのか僕には想像もつきませんが、いろんな舞台上の魔法を駆使しながら、皆さんの心に深く届いて残るような作品にすべく、気合いを入れて楽しみにしているところです。 是非、若き青年と壮年と老年のチームワークに期待して欲しいです。
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