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過去の演奏会

2017年10月13日[金]・15日[日] 

水戸室内管弦楽団 第100回定期演奏会指揮:ラデク・バボラーク(第1、2楽章)、小澤征爾(第3,4楽章)

新しい世界への飛翔 
100回の節目は〈歓喜に寄せて〉

“日本も洋楽を取り入れて、百有余年。今では優れた音楽家が次々に出てきて、外国に出かけていって、あるいは独奏家して、あるいは室内合奏団や交響楽団のメンバーとして、あるいは内外の音楽大学などの教師、研究員としてめざましい活躍をしている人が多くいる。その人たちの中から選りすぐって、室内管弦楽団をつくったら、いったいどんな音楽が響くことになるか?それは過去百年余りの日本の音楽の歴史を知り、その意味を考えてみるための一つの手がかりになるのではないか?”――吉田秀和初代水戸芸術館館長のそうした夢のような想いの下に、1990年に結成された水戸室内管弦楽団(MCO)。

それから四半世紀の時を経て、MCOは第100回定期演奏会という節目を迎える。吉田前館長の遺志を継ぎ、MCOを世界有数の室内管弦楽団へと導いた小澤征爾館長が、この祝祭の場に選んだのはベートーヴェンの〈交響曲 第9番〉。「人類の連帯と平和」を高らかに歌い上げる音楽史上の最高傑作とも評される作品である。そのセンセーショナルな最初のバリトン独唱で、ベートーヴェンは「おお友よ、このしらべではなく! もっと心地よく、喜びに溢れたしらべに合わせよう!」と歌わせている。それは、因習から脱し、理想を求め、新しい世界へと飛翔することを意味するものだ。だからこそMCOの新たな門出に、〈第九〉はとても相応しい。


【指揮】
ラデク・バボラーク(第1、2楽章)
小澤征爾(第3,4楽章)

【独唱】
三宅理恵(ソプラノ)、藤村実穂子(メゾ・ソプラノ)、福井 敬(テノール)、マルクス・アイヒェ(バリトン)

【合唱】
東京オペラシンガーズ

【曲目】
ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125

【出演メンバー】
■ヴァイオリン:安芸晶子、植村太郎、小栗まち絵、久保田巧、佐份利恭子、島田真千子、竹澤恭子、田中直子、豊嶋泰嗣、猶井悠樹、中村静香、三上亮、依田真宣
■ヴィオラ:川崎雅夫、川本嘉子、篠﨑友美、店村眞積
■チェロ:上村昇、原田禎夫、堀了介、宮田大
■コントラバス:池松宏、助川龍
■フルート:工藤重典、岩佐和弘
■ピッコロ:梶川真歩
■オーボエ:フィリップ・トーンドゥル、南方総子
■クラリネット:リカルド・モラレス、中秀仁
■ファゴット:ダーグ・イェンセン、吉田将
■コントラファゴット:鹿野智子
■ホルン:阿部麿、勝俣泰、猶井正幸、和久田侑希、ラデク・バボラーク
■トランペット:デイヴィッド・ヘルツォーク、若林万里子
■トロンボーン:新田幹男、呉信一、野々下興一
■ティンパニ:竹島悟史
■パーカッション:小林巨明、竹泉晴菜、渡辺壮


エッセイ【あなたが選ぶ、思い出のMCOコンサート】
2017年10月、水戸室内管弦楽団が第100回定期演奏会を迎えるにあたり、1990年の第1回定期演奏会から第100回に至るまでの公演の中で、特に思い出に残っているMCO公演についてお客様からエッセイを募集いたしました。お寄せいただいた22編のエッセイをご紹介いたします。
≫エッセイはこちら

~MCO100 関連イベント~

◎10月12日[木] 10:40 子どものための音楽会
水戸市内の小学5年生向けに開催するコンサート。
ベートーヴェン「交響曲 第9番」から抜粋してお届けします。
★このコンサートに、一般の方500名をご招待します。

◎10月12日[木] 夕方 公開総練習
地元の学生等に、MCOの総練習を公開いたします。
★お二人の年齢を足すと100歳になる一般の方、50組100名様をご招待します。

◎10月1日[日]~10月15日[日] 水戸室内管弦楽団ポスター展
会場:水戸芸術館エントランスホール
ポスター展の詳細は≫こちら

★印の詳細については、 ≫こちらをご覧ください。(応募締切:9月10日[日]必着)

公演概要

公演名 水戸室内管弦楽団 第100回定期演奏会指揮:ラデク・バボラーク(第1、2楽章)、小澤征爾(第3,4楽章)
会場 コンサートホールATM
開催日 2017年10月13日[金]・15日[日] 
主催 公益財団法人水戸市芸術振興財団
お問合せ

水戸芸術館(代表)TEL:029-227-8111

プロフィール

©Shintaro Shiratori

小澤征爾 Seiji Ozawa

指揮(第3,4楽章)
1935年、中国のシャンヤン(旧・奉天)生まれ。幼い頃からピアノを学び、成城学園中学校を出て、桐朋学園で斎藤秀雄に指揮を学んだ。
 59年にブザンソン国際青年指揮者コンクールで第1位を獲得。当時ボストン交響楽団の音楽監督であり、このコンクールの審査員であったシャルル・ミュンシュに翌夏タングルウッドに招かれた。その後、カラヤン、バーンスタインに師事し、ニューヨーク・フィルハーモニックの副指揮者を務める。トロント交響楽団音楽監督、サンフランシスコ交響楽団音楽監督を経て、73年にボストン交響楽団の第13代音楽監督に就任。アメリカのオーケストラ史上でも異例の29年という長期にわたって務めた。
 2002年秋にはウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任、10年春まで務めた。ヨーロッパでの評価と人気は絶大なものがあり、これまでにベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとする多くのオーケストラ、ウィーン国立歌劇場、国立パリ・オペラ座、ミラノ・スカラ座、フィレンツェ歌劇場、メトロポリタン・オペラなど主要オペラハウスに出演している。
 日本では84年、恩師・齋藤秀雄を偲び、秋山和慶とともにサイトウ・キネン・オーケストラを組織し、東京・大阪公演で大成功を収めた。その後欧米各地での公演でも絶賛を博し、92年より国際音楽祭「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」へと発展させた。以来、現在に至るまで総監督を務めている。フェスティバルは、15年より「セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)」として新たなステージに踏み出した。また小澤征爾音楽塾、小澤国際室内楽アカデミー奥志賀、Seiji Ozawa International Academy Switzerlandなどを通じて、若い音楽家の育成にも取り組んでいる。
 これまで国内外で受賞した賞には、朝日賞(1985)、ハーバード大学名誉博士号(2000)、オーストリア勲一等十字勲章(2002)、毎日芸術賞とサントリー音楽賞(2003)、フランス・ソルボンヌ大学名誉博士号(2004)、ウィーン国立歌劇場名誉会員(2007)、フランス・レジオン・ドヌール勲章オフィシエとフランス芸術アカデミー外国人会員(2008)、文化勲章、イタリア・プレミオ・ガリレオ2000財団金百合賞(2008)、ウィーン・フィルより日本人として初めて「名誉団員」の称号(2010)、高松宮殿下記念世界文化賞と渡邉暁雄音楽基金特別賞(2011)、ケネディ・センター名誉賞(2015)などがある。16年、小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラによる「ラヴェル:歌劇〈子どもと魔法〉」で第58回グラミー賞最優秀オペラ録音賞受賞。同年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団より名誉団員の称号を授与された。
水戸室内管弦楽団(MCO)では、1990年の楽団創立当初から音楽監督を務めている。13年には、初代館長・吉田秀和の後を継いで水戸芸術館館長に就任。同時にMCOの総監督となり、その運営に情熱を注いでいる。

©Lucie Čermáková

ラデク・バボラーク Radek Baborák

指揮(第1,2楽章)
1976年チェコのパルドビツェ生まれ。8歳よりホルンを学び、89年よりプラハ音楽院でベドジフ・ティルシャル教授に師事、みるみるうちに頭角を現していった。プラハ、ジュネーヴ、マルクノイキルヒェンに続き、94年、ミュンヘン国際コンクールで優勝、「美しく柔らかな音色」、「完璧な演奏」、「ホルンの神童」と評されるなど、世界の注目を集めた。

 以来、ヨーロッパ、アメリカなど各地で活発な演奏活動を展開。小澤、バレンボイム、ラトル、レヴァインなどトップクラスの指揮者の信頼も厚く、これまでベルリン・フィルはもちろん、バイエルン放送響、ミュンヘン・フィル、ベルリン・ドイツ響、バンベルク響、ケルンWDR響、チェコ・フィル、ロンドン・フィル、スイス・ロマンド管、サンクトペテルブルク・フィル、ザルツブルク・モーツァルテウム管等と共演。その抜きん出たテクニックと成熟した音楽が大きな話題になっている。世界中のコンサートホールはもちろん、ザルツブルク復活祭、フィレンツェ五月祭、サンクトペテルブルク白夜祭、プラハの春、エルサレム室内楽フェスティバル、パシフィック・ミュージック・フェスティバル等の音楽祭にも定期的に招かれている。

 これまでチェコ・フィル、ミュンヘン・フィル、バンベルク響、ベルリン・フィルのソロ・ホルン奏者を歴任。その他にもサイトウ・キネン・オーケストラ、水戸室内管をはじめとする世界のオーケストラにも参加。室内楽の分野でも、チェコの仲間達と結成した木管五重奏団アフラートゥス・クインテット、バボラーク・アンサンブルでの活動をはじめ、イエフィム・ブロンフマン、アンドラーシュ・シフ、ルドルフ・ブフビンダー、ゲアハルト・オピッツ、ジュリアン・ラクリン、ジャニーヌ・ヤンセン、樫本大進、エマニュエル・パユ、アルブレヒト・マイヤー、フランソワ・ルルー、イアン・ボストリッジ、トーマス・クヴァストホフ、ワルトラウト・マイヤー等の素晴らしいソリスト達と共演している。

 また近年は指揮者としての活躍も目覚ましく、自ら創設したチェコ・シンフォニエッタの定期的なシリーズとレコーディングを開始、ヨーロッパでの客演を重ね、日本でも2013年水戸室内管弦楽団定期演奏会にデビュー、オーケストラ、そしてもちろん聴衆からも絶大な支持を集めた。2015年には新日本フィルハーモニー交響楽団とグリエールのホルン協奏曲をソリスト兼指揮者として演奏、圧倒的な名演で聴衆を魅了。2016/17年には紀尾井シンフォニエッタ、日本フィルハーモニー交響楽団、山形交響楽団、九州交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団にも指揮者として招かれている。また、2018年度から山形交響楽団首席客演指揮者に就任することが発表された。

三宅理恵 Rie Miyake

ソプラノ Soprano
東京都出身。東京音楽大学声楽演奏家コース卒業。同大学院修士課程(オペラ)首席修了後、ニューヨークに留学。バード音楽院特待奨学生としてバード音楽院修士課程(声楽)修了。
クリスティアン・アルミンク指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団〈レオノーレ〉(演奏会形式)マルツェリーネ役をはじめ、小澤征爾音楽塾オペラでは多くのプロダクションにてカヴァーキャスト等で参加。2007年同プロジェクト〈カルメン〉では代役として急きょフラスキータ役で出演し成功を収める。11年宮本亜門演出〈フィガロの結婚〉で二期会オペラデビューを果たし、新国立劇場鑑賞教室〈愛の妙薬〉ジャンネッタ役に出演。13年には日生劇場開場50周年〈フィデリオ〉(飯守泰次郎指揮)マルチェリーネ役で好評を博し、14年新国立劇場飯守泰次郎指揮〈パルジファル〉花の乙女役で出演。
コンサートではフォーレ〈レクイエム〉、シューベルト〈ミサ曲 変イ長調〉、モーツァルト等、宗教曲のソリストとして活躍している。東京フィルハーモニー交響楽団公演「こども音楽館」などでは指揮のダン・エッティンガーの通訳も兼ねた歌唱や、ユベール・スダーン指揮 東京交響楽団によるモーツァルト〈レクイエム〉に出演。15年松本で行われた「マエストロ・オザワ80歳バースデー・コンサート」に唯一の日本人女性ソリストとして出演した。海外ではアメリカで08年世界初演オペラ〈A Bird in Your Ear〉王女役に出演、09年世界初演〈Oceanic Verses〉ソリストとしてカーネギーホールにデビューしている。二期会会員。

©R&G Photography

藤村実穂子 Mihoko Fujimura

メゾ・ソプラノ Mezzo-soprano
東京藝術大学音楽学部声楽科卒業、同大学院修了後、ミュンヘン音楽大学大学院に留学。在院中にワーグナー・コンクール(バイロイト)で事実上の優勝、マリア・カナルス・コンクール優勝など数々の国際コンクールに入賞後、グラーツ歌劇場の専属歌手として幅広いレパートリーを歌う。
 2002年バイロイト音楽祭に(主役級としては日本人初)デビュー直前、異例にもミュンヘン国立歌劇場のミュンヘンオペラフェスティバルのオープニングとなる新演出 〈ワルキューレ〉初日にもフリッカ役で出演したことで国際的な注目を集め、以来ミラノ・スカラ座、バイロイト音楽祭、ウィーン国立歌劇場、ロイヤルオペラハウス・コヴェントガーデン・ロンドン、パリ・シャトレー劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ドレスデン国立歌劇場、ルツェルン音楽祭、フィレンツェ歌劇場などに出演。
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ゲヴァントハウス管弦楽団、ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団、ロンドン交響楽団、パリ管弦楽団、フィラデルフィア管弦楽団等の世界的なオーケストラと共演している。よく共演する指揮者はクリスティアン・ティーレマン、クラウディオ・アバド、ズービン・メータ、クリストフ・エッシェンバッハ、リッカルド・シャイー、マリス・ヤンソンス、ダニエル・ハーディング、チョン・ミョンフン、ファビオ・ルイージ等。またブランゲーネ役でプラシド・ドミンゴ、アントニオ・パッパーノとのCD録音「トリスタンとイゾルデ」(EMI社)でも各方面より注目を浴びた。
 2002年出光音楽賞、03年第54回芸術選奨文部科学大臣新人賞、07年第37回エクソンモービル音楽賞洋楽部門奨励賞、12年度サントリー音楽賞、14年紫綬褒章を受賞した。

福井敬 Kei Fukui

テノール Tenor
岩手県出身。国立音楽大学及び同大学院、文化庁オペラ研修所修了。イタリア声楽コンコルソ・ミラノ大賞(第1位)、五島記念文化賞オペラ新人賞、出光音楽賞、エクソンモービル音楽賞本賞、等受賞多数。2014年第65回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。数々のオペラの主演では、ローエングリン、ドン・カルロ、オテロ、パルジファル、カラフ役等、英雄的かつノーブルな存在感と他者の追随を許さない優れた演唱で日本を代表するテノールとして聴衆を魅了。2016年3月びわ湖ホール・神奈川県民ホール・東京二期会他共同制作『さまよえるオランダ人』エリックも絶賛を博した。「第九」や宗教曲のソリストとしてもN響を始め主要楽団と共演、多くの国際的指揮者から信頼を得ている。2015年9月、小澤征爾 80歳誕生日コンサートにベートーヴェン「合唱幻想曲」ソリストとして友情出演(公演DVD発売中)。2016年9月東京二期会『トリスタンとイゾルデ』トリスタン、2016年10月、サントリーホール開館記念日コンサート「第九」(ズービン・メータ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)等に出演。CD「君を愛す」、「悲しくなったときは」等多数。2017年10月28日浜離宮朝日ホールでのリサイタル、2018年1月9日ハクジュホール(代々木八幡)福井敬×アントネッロCDリリース記念演奏会、2018年2月東京二期会オペラ『ローエングリン』タイトルロールで出演予定。国立音楽大学教授。東京藝術大学非常勤講師。二期会会員
HP http://www.fukuikei.net/ 

©Fumiaki Fujimoto

マルクス・アイヒェ Markus Eiche

バリトン Baritone
シュトゥットガルトやカールスルーエの音楽大学で学ぶ。スカラシップ賞を幾度か受賞し、バルセロナのフランシスコ・ヴィーニャス国際歌唱コンクールで第1位。01~07年まではマンハイム国立劇場、07~11年はウィーン国立歌劇場、11年より同歌劇場及びバイエルン国立歌劇場と専属契約を結んでいる。主なレパートリーとしては、〈フィガロの結婚〉アルマヴィーヴァ伯爵、〈ラ・ボエーム〉マルチェッロ、〈愛の妙薬〉ベルコーレ、〈ウェルテル〉アルベール、〈マノン・レスコー〉レスコー、〈エフゲニー・オネーギン〉オネーギン、〈ナクソス島のアリアドネ〉ハルレキンと音楽教師、〈蝶々夫人〉シャープレス、〈トリスタンとイゾルデ〉クルヴェナール、〈ばらの騎士〉ファニナル、〈神々の黄昏〉グンター、〈ラインの黄金〉ドンナー、《ファウスト》ヴァランタンなどがある。これまでに、ミラノ・スカラ座、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、ベルリン・ドイツ・オペラ、ドレスデン・ゼンパー・オーパー、シュトゥットガルト国立歌劇場、ザルツブルク音楽祭、バイロイト音楽祭等に数多く出演している。
これまでに共演した指揮者は、小澤征爾、アダム・フィッシャー、リッカルド・ムーティ、クリストフ・エッシェンバッハ、クリスティアン・ティーレマン等。 彼の多才さは、多様なスタイルと時代を含む幅広い演奏会レパートリーにも表れており、オルフ〈カルミナ・ブラーナ〉、ブラームス〈レクイエム〉、ブリテン〈戦争レクイエム〉、バッハ〈マタイ受難曲〉〈ロ短調ミサ曲〉〈ヨハネ受難曲〉やカンタータ、ヘンデル〈メサイア〉、ベートーヴェン〈第九〉、マーラー〈さすらう若人の歌〉〈大地の歌〉〈亡き子をしのぶ歌〉、メンデルスゾーン〈エリヤ〉〈聖パウロ〉等。録音はナクソスから、シューベルトの歌曲集とオルフ〈カルミナ・ブラーナ〉がリリースされている。

©東京・春・音楽祭実行委員会/青柳 聡

東京オペラシンガーズ Tokyo Opera Singers

合唱 Chorus
合唱指揮:村上寿昭  Chorus Master/Toshiaki Murakami

1992年、小澤征爾指揮、蜷川幸雄演出で話題を呼んだ〈さまよえるオランダ人〉の公演に際して、世界的水準のコーラスをという小澤氏の要望により、東京を中心に活躍する中堅、若手の声楽家によって組織された。当公演の合唱は圧倒的な成果を上げ、各方面から絶賛を受けた。その評価により同年、第1回サイトウ・キネン・フェスティバル松本〈エディプス王〉、バイエルン国立歌劇場日本公演〈さまよえるオランダ人〉(ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮)に招かれた。93年から、サイトウ・キネン・フェスティバル松本(2009年まで連続出演)、東京フィルハーモニー交響楽団主催コンサート(出演したオペラコンチェルタンテ・シリーズ「ヒンデミット3部作:大野和士指揮」は文化庁芸術祭大賞受賞)、東京・春・音楽祭等を活動の中心に置く他、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、キーロフ歌劇場管弦楽団(ヴァレリー・ゲルギエフ指揮)、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団(ユーリ・テミルカーノフ指揮)、イタリア国立放送交響楽団等の来日公演に出演、音楽界の活性化に大きく貢献することとなった。98年には長野冬季オリンピック開会式において、世界6ヵ国を結ぶ〈第九〉合唱で、中心となる日本側の演奏を担当した。99年にはエディンバラ音楽祭に出演(東急文化村制作〈トゥーランドット〉)、00/01年にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共演(小澤征爾、サイモン・ラトル指揮)した。東京・春・音楽祭には、東京のオペラの森合唱団として第1回から連続出演。06/07/10年に共演したリッカルド・ムーティ(ヴェルディ〈レクイエム〉、オルフ〈カルミナ・ブラーナ〉他)からも高い評価を得ている。10年からスタートした東京春祭ワーグナー・シリーズ〈パルジファル〉にも出演。2011年には主要メンバーによる「にほんのうた」シリーズを開始。また急きょ開催されたズービン・メータ指揮〈第九〉(東日本大震災被災者支援チャリティーコンサート)にも出演し、当公演は大きな感動を呼んだ。

©Michiharu Okubo

水戸室内管弦楽団 Mito Chamber Orchestra

水戸市は、日本の近代化の幕開けに多大な貢献を果たした歴史都市である。江戸時代(1603~1867)、徳川御三家のひとつとして栄え、徳川慶喜公は、徳川幕府最後の将軍として大政を朝廷に返還し、明治維新への道を開いた。日本三大名庭園の一つ「偕楽園」、江戸時代最大の藩校で多くの指導者、知識人を輩出した「弘道館」といった歴史文化遺産に恵まれている。水戸市は、そのような先進的精神を受け継ぎ、1990年に市制100周年を記念して、コンサートホール、劇場、美術ギャラリーを有する複合文化施設「水戸芸術館」を設立した。
水戸室内管弦楽団(以下MCO)は1990年、水戸芸術館の専属楽団として、初代館長・吉田秀和の提唱により誕生した。日本を代表する指揮者である小澤征爾が、2013年水戸芸術館の館長に就任すると同時にMCOの総監督となり、その運営にあたっている。メンバーは、ソリストとして、またオーケストラの首席奏者として、世界的な活躍を続ける21名の日本人音楽家および5名の外国人音楽家たち。水戸芸術館コンサートホールATMで開催される定期演奏会は、小澤征爾をはじめ指揮者を迎える演奏会とともに、指揮者を置かないアンサンブルによる演奏会にも力を入れている。音楽家たちは、演奏会の度に、世界各地から水戸芸術館に集まり、集中的にリハーサルを行う。
 日本人作曲家への委嘱も積極的に行っており、 一柳慧〈汽水域〉、 林光〈悲歌〉(95年度尾高賞受賞)、平義久〈彩雲〉 などの作品が初演されている。また、ソニークラシカル、ユニバーサル・ミュージックなどからCD16枚、NHKエンタープライズからブルーレイ/DVD2枚が発売されており、いずれも高い評価を受けている。
 1996年からは東京・サントリーホールや大阪・フェスティバルホールなど日本各地で演奏会を行い、高い評価を得ている。さらにMCOは活動の舞台を海外にも広げ、98年にはハンブルク、チューリッヒ、ウィーン、ルードヴィヒスブルク、フィレンツェの5都市、2001年にはフィレンツェ、ウィーン、パリ、ミュンヘンの4都市にて小澤征爾指揮で公演を行い、「世界有数の室内管弦楽団」との評価を確立した。08年の第3回ヨーロッパ公演(ミュンヘン、フィレンツェ、マドリード)は、指揮者なしで実施。その実力を絶賛された。