
現代美術ギャラリーCONTEMPORARY ART GALLERY
- 企画展
ジュゼッペ・テラーニ ファシズムを超えた建築
1998年4月11日[土]〜1998年6月7日[日] 9:30〜18:30(入場時間は18:00まで)

水戸芸術館現代美術ギャラリーでの会場風景
イタリア合理主義建築家ジュゼッペ・テラーニの初めての重要な個展は、コモのジュゼッペ・テラーニ財団が保存するオリジナル資料をもとにイタリア内外の公立機関および幾つかの民間資料館が近年行った膨大な研究成果をもとに、ジュゼッペ・テラーニ財団とロンバルディア州文化評議会事務局の協力を得て、ミラノ・トリエンナーレ事務局がミラノで開催し(1996年5月11日から12月31日)観客および評論家の絶大な評価を得ました。
本展は、その巡回展として、図面、スケッチ、絵画、模型、手紙などの文書資料あわせて300点を8つのテーマで展示、開催するものです。水戸芸術館では、これらに加えて、イタリアのミラノやコモに現存する、代表作「コモのカサ・デル・ファッショ」、「サンテリア幼稚園」や近年修復を終え美しい姿を取り戻したセーヴェゾの個人住宅「ヴィッラ・ビアンカ」を含む、本展のために撮り下ろした建築写真数十点で会場全体を構成します。(撮影:建築カメラマン、平井広行) さらに、実現しなかった重要な建築計画案として、ガス工場、リットリオ宮A案・B案、ダンテウム、ブレラ・アカデミー、コルテセッラ地区再開発計画、EUR会議場、オフィスビルの8つをCGアニメーションで再現し紹介いたします。(制作:筑波大学鵜沢研究室) 当時の状況を伝えるドキュメント・フィルムとあわせて、ジュゼッペ・テラーニの建築における業績を本格的に紹介する日本初の個展として開催いたします。 ジュゼッペ・テラーニが建築家として生きた時代は、ムッソリーニ政権下のイタリアファシズム期でした。その中にあって、テラーニはモダニズム運動の旗手の一人として「<新しい体制>の表現としての建築」にその生涯を託しました。 その作品はモダニズムの建築として近代イタリアという枠を超え、建築史上注目すべき重要な仕事として近年特に高く評価されています。インターナショナリズム(ラショナリズム)とナショナリズム、アヴァンギャルディズムとクラシシズム、あるいは、大衆のための建築と国家の建築といったアンヴィヴァレントなジレンマが、この当時の「近代」には含まれます。
本展が、ファシズムとその時代を超えて現代につながるテラーニ建築の魅力と謎に触れる場となり、加えて、建築家テラーニの生涯を俯瞰することで<建築と国家>、あるいは<建築と制度>、さらには<建築家とパトロネージ>の関係といった普遍的な問題を考察する機会になることを願っています。
開催情報
会場
水戸芸術館 現代美術ギャラリー
開催日
1998年4月11日[土]〜1998年6月7日[日]
開催時間
9:30〜18:30(入場時間は18:00まで)
休館日
月曜日 ※5月4日[月]は開館
入場料
一般800円、団体(20名以上)600円
※中学生以下、65歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名、年間パスをお持ちの方は無料
お問合せ
水戸芸術館(代表)TEL:029-227-8111
【主催】
水戸芸術館現代美術センター、ミラノ・トリエンナーレ事務局、ジュゼッペ・テラーニ日本展開催実行委員会
【企画協力】
ジュゼッペ・テラーニ財団、ロンバルディア州文化評議会事務局
【後援】
イタリア大使館、イタリア文化会館、社団法人日本建築学会
【助成】
国際交流基金
【協力】
株式会社竹尾、株式会社創夢、株式会社イッツ、株式会社ノバオーシマ、有限会社東京カラー工芸社、富士ゼロックス株式会社
【日本展監修】
鵜沢隆(筑波大学芸術学系助教授)
関連プログラム
1.講演会「二つの始まり―ノヴォコムンからジュリアーニ・フリジェーリオまで」
実施日:4月11日
講師:エリザベッタ・テラーニ(ジュゼッペ・テラーニ財団)
2.シンポジウム「建築と政治」
実施日:5月16日
パネリスト:磯崎新(建築家)、浅田彰(京都大学教授)、長田謙一(千葉大学教授)、福田和也(慶応義塾大学助教授)
3.サタデー・キャラリートーク「私とジュゼッペ・テラーニ」
1)実施日:4月25日
講師:石山修武(早稲田大学理工学部教授)
2)実施日:5月9日
講師:鵜沢隆(筑波大学芸術学系助教授)
3)実施日:5月23日
講師:田中純(東京大学総合文化研究科助教授・表象文化論)
4)実施日:6月6日
講師:鈴木了二(建築家)
4.サンデー・レクチャー・スペシャル「もうひとつの近代―テラーニを中心として」
実施日:5月17日
講師:岡部憲明(建築家)
5.シンポジウム TNプローブ・サロン
「ポストアヴァンギャルドとしての近代:ジュゼッペ・テラーニの作品をめぐって」
主催:TNプローブ
実施日:4月13日
会場:TNプローブ
パネリスト:多木浩二、若桑みどり、鵜沢隆、岡部憲明
6.関連出版『ジュゼッペ・テラーニ時代を駆け抜けた建築』
INAX叢書15/執筆(和):磯崎新、鵜沢隆、田中純、八束はじめ、五十嵐太郎、他
発行:INAX出版
総頁数:340頁