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【重要なお知らせ】

現代美術ギャラリーCONTEMPORARY ART GALLERY

  • 企画展

リフレクション
映像が見せる“もうひとつの世界”

2010年2月6日[土]〜2010年5月9日[日] 9:30〜18:00(入場時間は17:30まで)

八幡亜樹《circus tent Blue》 2007年 
水戸芸術館現代美術ギャラリーでの展示風景 撮影:阿野太一

ビデオカメラやコンピュータが身近になった今日、映像を撮影し発信する機会が多くの人にもたらされました。アーティストもビデオカメラの活用によって表現の幅を拡げた一方、同時にプロの表現者としてのアイデンティティを問い直されているともいえます。テレビやインターネットが生活に入り込んだ社会で、映像はますます一時的な娯楽や情報として「消費」される対象となるでしょう。

本展は、映像を今の社会や個人をめぐる多様な「もうひとつの世界」を反映(リフレクション)するメディアとしてとらえます。2000年以降の映像美術の中から、映像を「見えないもの/隠されたものを可視化するメディア」として用い、社会や個人の小さな物語を照らし出す国内外7名と2組の作品を紹介します。マスコミ報道とは異なるオルタナティブな視点で社会の周縁にある出来事や人びとを見つめるものから、個人の内面で紡ぎだされるイメージや世界観にビジュアルを与えるものまで、テーマやスタイルの異なる作品群が私たちを刺激的かつ耽美的な映像の旅へと連れ出します。思索(リフレクション)を誘うメディアとしての映像(リフレクション)をご覧ください。

※なお、本展の全映像作品の長さはあわせて約220分です。

開催情報

会場

水戸芸術館 現代美術ギャラリー

開催日

2010年2月6日[土]〜2010年5月9日[日]

開催時間

9:30〜18:00(入場時間は17:30まで)

入場料

一般800円、団体(20名以上)600円
※中学生以下、65歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名、年間パスをお持ちの方は無料
一年間有効フリーパス
「ハイティーンパス」(15歳以上20歳未満 ):1,000円
・「おとなのパス」(20歳以上):2,500円

お問合せ

水戸芸術館(代表)TEL:029-227-8111

主な展示作品

キングスアーティストランイニシアティブ(メルボルン)での展示風景
写真提供:国際交流基金 撮影:Christian Capurro Courtesy:山本現代


宇川直宏
《Dr.Toilet's Rapt-up Clinic》2006

マルチ映像インスタレーションからの静止画
Courtesy オオタファインアーツ


さわひらき《O》2009

『マニフェスタ5』(ドノスティア-サン・セバスチャン)よりドキュメント映像からの静止画 Courtesy: The Modern Institute/Toby Webster Ltd., Glasgow


ジェレミー・デラー
《A Social Parade》2004

「サンキューセレブプロジェクト アイムボカン」より 映像からの静止画
Courtesy 無人島プロダクション


CHIM↑POM《ばくはつ》2007

映像からの静止画


藤井光《ソーシャル・レイバー》2010

映像からの静止画


マティアス・ヴェルムカ&ミーシャ・ラインカウフ
《In-Between》2007/2008

映像からの静止画


八幡亜樹
《サーカス・テント・ブルー》2007

HDビデオ映像からの静止画 Courtesy:the artist and Elizabeth Dee, New York


ライアン・トゥリカーティン
《Sibling Topics (Section A)》2009

フィルム1080i/HD映像からの静止画
Produced by A.D.N. Factory
Courtesy:galerie schleicher+lange, Paris


ローラン・モンタロン
《海戦は明日あるだろうか?》2008

出品作家

さわひらき


1977年石川県生まれ。英・ロンドン在住。
スレード・スクール・オブ・ファインアーツ(ロンドン)で彫刻の修士号取得。独特のアングルで撮影した自宅の部屋や物、風景の映像を断片的にコラージュするなどして、実在の風景を異化し、シュールリアリスティックな世界観を体現する映像作品を発表している。飛行機がキッチンに発着陸するさまを描いた《dwelling》(2002)で注目を集める。『Hiraki Sawa, hako』(チゼンヘールギャラリー, ロンドン, 2007)の個展以降、サウンドトラックを有効にとりいれた瞑想的なマルチチャンネル映像インスタレーションが特徴的。世界各地の美術館や芸術祭に出品し、国際的に活躍する日本人若手作家。

宇川直宏


1968年香川県生まれ。東京都在住。
ファインアートや大衆文化といった既成の枠組みを越境し、現代美術、VJ、DJ、デザイン、執筆、大学教授など全方位的な活動を展開。1998年にサンフランシスコより帰国以後、バービカンアートギャラリー(ロンドン)と東京オペラシティアートギャラリーでの『JAM展』を皮切りにさまざまなグループ展に出品。アルスエレクトロニカ、レスフェストなどの国際デジタルフィルムフェスティバルでの受賞も多い。気鋭・各界の巨匠とのコラボレーションが多く、手がけたアートディレクションはボアダムズからブルガリまで、VJ共演はジェフ・ミルズからメルツバウまで、執筆はニコラ・テスラ概論から石立鉄男研究までと多岐にわたる。

ジェレミー・デラー


1966年英・ロンドン生まれ。同地在住。
一般市民を含むさまざまな人びとの恊働と参加で成立するプロジェクトを各地で展開。主流よりも「周縁」にある文化や人びとをテーマに扱う。代表作は、イギリス現代工業史において重要な1984年の炭坑労働者と警察との衝突を、当時の当事者を含む一般人が参加する形で再現した《オルグレーヴの闘い》(2001)。2004年には、ジョージWブッシュ前米国大統領の故郷であるテキサス州クロフォードと近隣ウェイコでの宗教団体ブランチ・ダビディアン事件についてのドキュメンタリーをもとにしたインスタレーション《記憶のバケツ》(2003)でターナー賞受賞。イギリスを代表する現代美術家の一人。

Chim↑Pom


卯城竜太、エリイ、林靖高、岡田将孝、稲岡求、水野俊紀の6名によって2005年に結成されたアーティスト集団。「ビデオカメラと愛嬌を武器に」活動を始め、社会に真っ向から介入する活動を展開。渋谷の鼠を捕獲するさまを映像に記録し、その鼠を剥製化してピカチュウに仕立てた個展『スーパー☆ラット』(2006)で注目を浴びる。また2008年に作品の素材撮りのために広島市上空に飛行機雲で「ピカッ」という文字を書いたことが騒動となり、展覧会を自粛、被爆者団体に謝罪した一連の事件について、書籍『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』(2009/河出書房新社)を刊行、自己検証を行なった。東京の画廊での個展のほか、『ライフがフォームになるとき―未来への対話/ブラジル、日本』(サンパウロ近代美術館, 2008)や『KITA! Japanese Artists Meet Indonesia』(ジョグジャ国立博物館,2008)など海外のグループ展への出品も多い。

藤井光


1976年東京都生まれ。同地在住。
パリ第8大学美学・芸術第三博士課程DEA卒。1995年渡仏。フランスでメディア・アーティストとして活動を始めるが、2005年帰国以降、現代日本の社会政治状況を直截的に扱う表現活動へと転換。社会運動と芸術の関わりについて制作および研究を行なっている。市民メディアセンターMediRの講師や、高校生・派遣労働者などを対象にした映像制作ワークショップを通して映像メディアの民主化に努める傍ら、大学やアートスクールでのレクチャーやトークも多い。『吉原治郎賞記念アートプロジェクト』(大阪府現代美術センター, 2007)などに出品。

マティアス・ヴェルムカ&ミーシャ・ラインカウフ


パフォーマンスを行なうヴェルムカ(1978年旧東独・ベルリン生 同地在住)と映像を担当するラインカウフ(1977年旧東独・ベルリン生 同地在住)による二人組。都市の公共空間で行なうゲリラ・パフォーマンスを記録し映像作品として発表している。ベルリンの地下鉄システムに入り込んだ《In Between》(2007-08)や、信号で停車中の公共交通機関の車両の窓を無断で掃除する《Thanks Anyway》(2006)など、公共システムに内在するスキや矛盾をユーモラスで軽妙に暴く。これまで主にフィルムフェスティバルなどで発表。受賞歴として、最優秀ドイツ人新進フィルムメーカー(フィルムフェスティバル/ハノーバー)、最優秀実験短編映画(国際フィルムフェスティバル/ウィーン)など。

八幡亜樹


1985年東京都生まれ。同地在住。
東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻在籍。河原のブルーテントに住まうピエロや、山間で自作の教会を営む老夫婦、癖のあるパン屋など、物語から飛び出して来たような一風変わった人びとにカメラを向け、自ら取材しながら撮影するドキュメンタリースタイルの表現を行なう若手作家。現実とも虚構とも判別がつかない世界をつくりあげ、その虚実のいかんを超えた視点から社会の周縁にある小さな物語を表現する。『金沢アートプラットフォーム2008』(金沢21世紀美術館, 2008)などに出品。

ライアン・トゥリカーティン


1981年米・テキサス生まれ。フィラデルフィア在住。
作家本人が友人知人らと出演してめまぐるしく展開する長編映像を制作。コンピュータやインターネット、ビデオカメラ、仮想空間に慣れ親しんだ世代状況をつよく反映し、情報過多な現代社会を舞台にゲイやトランスジェンダーといったセクシャル・マイノリティーやオルターエゴなどアイデンティティや存在論に関わる問題を、チープな映像エフェクトなどを用いて軽快に扱う。《I-BE Area》(2007)で脚光を浴びて以来、ハマーミュージアム(ロサンジェルス, 2008)で美術館初個展を行なうほか、『The Generational: Younger Than Jesus』(ニューミュージアム, 2009)等グループ展やフィルムフェスティバルで上映多数。アメリカで注目を集める新進気鋭作家。

ローラン・モンタロン


1972年仏・ヴェルヌイユ=シュル=アヴル生まれ。パリ在住。
占い、予知能力、夢といった視覚的に認知できない現象や世界観をモチーフに、主にループなど映像のレトリックを活用した瞑想的な映像表現を展開している。2009年、リヨンのIACならびにランスのFRACシャンパーニュアルデンヌでそれぞれ個展を開催するなどフランスを中心に欧米の美術館やギャラリーにて発表多数。

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