現代美術ギャラリーCONTEMPORARY ART GALLERY

「ケアリング／マザーフッド：『母』から『他者』のケアを考える現代美術」関連企画ホン・ヨンインによるアーティストトーク

ホン・ヨンイン《アンスプリッティング》2019年

展覧会出品アーティストが出品作品をはじめ自作について語るトークシリーズ。
パフォーマンス作品《アンスプリッティング》（2019年）を出品するホン・ヨンインの来日に際し、アーティストトークを開催します。

ホン・ヨンインは、パフォーマンス作品《アンスプリッティング》のドキュメンテーションを出品。2019年に「韓国芸術家賞」（国立現代美術館ソウル館）の機会に初演されたこのパフォーマンスでは、記録写真に写された工場や家庭で働く女性たちの姿や言語を介さずに意志を疎通する動物（鳥）の身のこなしを組み合わせた動きを、公募で集まったパフォーマーたちが演じました。

同作のタイトルに含まれる「スプリッティング」とは、物事を善・悪や敵・味方に分断する二元的な考え方のこと。ホンはこのパフォーマンスを通じて、歴史認識や政治思想を扱う議論において極端な二元論によって他者を否定するのではなく互いの認識を確認し合うことの切実さを訴えかけます。

アーティストトークでは、《アンスプリッティング》を含む一連のインスタレーション作品《祠堂B》の制作に至った背景や、テキスタイルを用いるようになったきっかけ、さらにパフォーマンス作品における演者や演奏者との協働についてなど、日本ではまだ知られていないホンの多岐に渡る活動をご紹介します。この貴重な来日講演の機会に、ぜひ足をお運びください。


ホン・ヨンイン
1972年韓国のソウル生まれ、現在英国のブリストルを拠点に活動。
歴史や政治の担い手として語られることのなかった存在に目を向け、そのイメージや声をダイナミックに描き直すことで世代や文化、種属的差異を超えて「等しくあること」の意味を問いかけている。作品に用いられる技法は機械刺繍やテキスタイルを中心に、彫刻、インスタレーション、パフォーマンスなど多岐にわたる。「We Where」（PKMギャラリー、ソウル、2022年）、「Looking Down from the Sky」（駐英国韓国文化院、ロンドン、2017年）などの個展のほか、10代の女性ストリートダンサーに向けて展示室を開放するパフォーマンス「Let Us Dance」（2014年初演）は、韓国、英国、フランスなどで上演されている。主なグループ展・国際展に「韓国芸術家賞2019」（国立現代美術館ソウル館、ソウル、2019年）、光州ビエンナーレ（光州、2014）など。