飯川雄大 大事なことは何かを見つけたとき
2026年2月28日(土)~5月6日(水・振) 10:00〜18:00(入場は17:30まで)
飯川雄大は時間の相対性や知覚のゆらぎに着目し、何気ない風景や身近な物事を注意深く観察することで、人々の認識の不確かさや、社会で見過ごされがちな存在に目を向けさせる作品を制作してきました。記録という行為とそこからこぼれおちるものの考察から生まれた〈デコレータークラブ〉シリーズでは、巨大なピンクの猫を街中に突如出現させたり、鑑賞者のかかわりによって移動・変化するオブジェを屋内外に設置したりと、立体、絵画、写真、映像等を自由に組み合わせ、空間の特性を生かした作品を展開しています。
本展では、飯川のこれまでの実践を包括的に紹介するとともに、情報の曖昧さや感覚の不完全さを新たな可能性と捉え、鑑賞者を巻き込む新作インスタレーションを制作します。それらへの応答として現れる振る舞いは、人々が時を忘れ、夢中になって遊ぶ姿を思い起こさせます。そしてその「遊び」の先、場所や時間を越えたところで、いつか誰かが、見知った日常とは異なる光景を見つけるかもしれません。思いもよらぬ出来事に出会ったときの衝撃、生々しいリアリティを持った想いを、私たちはそのことを知らない他者にどのように伝えることができるのか、その(不)可能性について、共に考える機会となるでしょう。
飯川雄大
プロフィール
1981年兵庫県生まれ。現在、神戸を拠点に活動。2007年より〈デコレータークラブ〉シリーズを展開。公共空間や展示の仕組みに目を向けながら、観客の身体感覚や想像力、場の偶発性によって変容する作品を手がけている。代表作に、観客の能動的な関与によって空間や物の在り方を変化させ、新たな関係性を立ち上げる《0人もしくは1人以上の観客に向けて》、視覚の断片を手がかりに空間を読み解いていく《配置・調整・周遊》がある。主な個展に「未来のための定規と縄」(霧島アートの森、鹿児島、2023)、「同時に起きる、もしくは遅れて気づく」(彫刻の森美術館、神奈川、2022)。主なグループ展に「感覚の領域 今、『経験する』ということ」(国立国際美術館、大阪、2022)、「ヨコハマトリエンナーレ2020」(横浜美術館・PLOT48)がある。2026年4月には、本展と同時期にKOTARO NUKAGA(天王洲)とgallery αMでも個展を開催予定。
https://www.takehiroiikawa.com
https://www.instagram.com/takehiro_bau
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参考図版
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