
コンサートホール ATMCONCERT HALL ATM
- 音楽
吉田秀和生誕100年記念コンサートⅢ内田光子 ピアノ・リサイタル
2013年11月5日[火]

Mitsuko Uchida ©Richard Avedon
内田光子と再会する
内田光子は、全身全霊をかけて作品の中に入り込み、徹底的な作品研究を背景に、他の誰も為し得ることのなかった新しい音楽の地平を、緻密な表現を通して出現させる。吉田秀和初代水戸芸術館館長は、「私がいま『世界のピアニスト』という本を書くとしたら、内田光子の名は落すわけにいかない(音楽会批評・1995年)」と評した。そして今や内田光子は、現代最高のピアニストのひとりとして、世界中から尊敬と賞賛を集めている。2011年に実現した水戸芸術館での最初のリサイタルの後、吉田館長は内田氏の楽屋を訪れ、このホールでの再会を希望した。その想いに応えるべく、内田光子が再び水戸芸術館のステージに登場する。
今回のリサイタルのプログラムは、ドイツ・オーストリア鍵盤音楽のおよそ200年の歩みを旅するものである。旅の始まりはJ.S.バッハの〈平均律クラヴィーア曲集〉。J.S.バッハの全作品の中でも、最高傑作の一つに数えられ、鍵盤音楽の「聖典」とも言える曲集である。続いて、時代は一足飛びに20世紀初頭へ。伝統的な調性を放棄し、新しい音楽の伝統の構築を願ったシェーンベルクの作品から、広大な無調の沃野に芽を出した〈6つの小さなピアノ曲〉が演奏される。そして、メイン・プログラムは、19世紀ロマン派の巨匠シューマンの3作品。シューマンのピアノ曲の中でもとりわけ有名な〈予言の鳥〉を含む、詩情溢れる〈森の情景〉作品82。古典派時代に燦然と打ち立てられたソナタという曲種に、シューマンが新しい道を拓こうと心血を注いだピアノ・ソナタ作品から〈第2番 ト短調〉作品22。そして、シューマンが暗い精神の闇に閉ざされてしまう直前に書き上げた、彼の生涯最後のピアノ曲集〈暁の歌〉作品133。死の時間は終わり、新しい生の時間が始まる――曙光の音楽に永遠が宿る。
【出演】内田光子(ピアノ)
【曲目】
J.S.バッハ:〈平均律クラヴィーア曲集 第2巻〉から第1番 ハ長調 BWV870、第14番 嬰ヘ短調 BWV883
シェーンベルク:6つの小さなピアノ曲 作品19
シューマン:森の情景 作品82
シューマン:ピアノ・ソナタ 第2番 ト短調 作品22
シューマン:暁の歌 作品133
【アンコール曲】
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2 〈月光〉 より 第1楽章
公演概要
会場
コンサートホールATM
開催日
2013年11月5日[火]
チケット情報
料金
【全席指定】A席13,000円、B席11,000円
18:30開場・19:00開演
チケットの取り扱い
水戸芸術館エントランスホール内チケットカウンター
水戸芸術館チケット予約センター 029-231-8000(9:30~18:00/月曜休館)
チケットぴあ http://pia.jp/t/ 0570-02-9999(Pコード207-068)
CNプレイガイド http://www.cnplayguide.com/ 0570-08-9990
MUSIC SHOPかわまた 029-226-0351
ヤマハミュージックリテイリング水戸店 029-244-6661
お問合せ
水戸芸術館(代表)TEL:029-227-8111
【主催】
公益財団法人 水戸市芸術振興財団
プロフィール

内田光子 Mitsuko Uchida
ピアノ piano
内田光子は、真実と美の姿を独自に追及しながら、自らが奏でる音楽の世界を深く掘り下げている演奏家である。コンサートやレコーディングにおいて、モーツァルト、シューベルト、ベートーヴェンの作品の解釈で高い評価を受ける一方、ベルク、シェーンベルク、ウェーベルン、ブーレーズなどの作品に光を当て新しい世代の聴衆に紹介している。
ピエール・ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団と録音したシェーンベルクのピアノ協奏曲は、グラモフォンの最優秀コンチェルト賞など4つの賞を受賞した。近年では、クリーヴランド管弦楽団を弾き振りしたモーツァルトのピアノ協奏曲選集を録音。これらのディスク全ては高い評価を受け2011年度グラミー賞を受賞した。
2013/14シーズンのハイライトは、サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、レオン・フライシャー指揮クリーヴランド管弦楽団、リッカルド・ムーティ指揮シカゴ交響楽団、マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団、ウラディーミル・ユロフスキ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、デイヴィッド・ジンマン指揮トーンハレ管弦楽団などとの共演が予定されている。その他パリ・シャンゼリゼ劇場、ウィーン・ムジークフェライン、シカゴ・シンフォニーセンター、ニューヨーク・カーネギーホールそして日本国内でのリサイタルを予定している。
世界のメジャーなオーケストラや音楽家たちと共演を重ねてきた。近年では、クリーヴランド管弦楽団のアーティスト・イン・レジデンスを務め、何シーズンにも渡り、ピアノを弾きながら指揮する形でモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏してきた。他にカーネギーホールの“パースぺクティヴ”にフィーチャーされ、”内田光子のウィーン再訪“というタイトルのシリーズに出演した。コンセルトへボウのカルテ・ブランシェ・シリーズでは、イアン・ボストリッジ、ハーゲン弦楽四重奏団、ヨーロッパ室内管弦楽団、ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団と共演し、シェーンベルクの〈月に憑かれたピエロ〉を演奏・指揮。その他、ウィーン・コンツェルトハウス、ザルツブルク・モーツァルト週間、そしてルツェルン音楽祭でアーティスト・イン・レジデンスを務め、室内楽コンサートやサー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とベートーヴェンのピアノ協奏曲のツィクルスを行った。
デッカと専属契約を結び、モーツァルトのピアノ・ソナタ、ピアノ協奏曲、シューベルトのピアノ・ソナタ全集、ドビュッシーのエチュード集、クルト・ザンデルリンク指揮でベートーヴェンの5つのピアノ協奏曲などを録音し、マーク・スタインバーグと共演したモーツァルトのピアノとヴァイオリンの為のソナタ集、EMIよりイアン・ボストリッジと共演した“美しき水車小屋の娘”、ベートーヴェン後期5大ソナタ集、2008年にはアンサンブル・アンテルコンタンポラン、ピエール・ブーレーズ、クリスティアン・テツラフと共演したベルクの室内協奏曲がリリースされている。最新のCDは、クリーヴランド管弦楽団を弾き振りしたモーツァルトのピアノ協奏曲で、1枚目はK.488とK.491、2枚目はK.466とK.595、3枚目はK.271とK.467のカップリングである。その他、絶賛されたシューマンのピアノ曲集2枚がある。DVDではザルツブルク音楽祭でのシェーンベルク作曲〈月に憑かれたピエロ〉のライブ演奏、それに付随したドキュメンタリーが、この作品の100周年を記念して先シーズンBel AirとFilm+coからリリースされた。
長年に渡り若い演奏家の成長を支援し、ボルレッティ=ブイトーニ・トラストの理事を務め、リチャード・グードと共にマールボロ音楽祭のディレクターも務めている。
2005年日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選出される。2012年にはロイヤル・フィルハーモニック・ソサエティーのゴールドメダルを授与された。
東京・サントリーホールのアソシエイト・アーティスト。
2009年には大英帝国勲章「デイム」の称号が授与された。
水戸芸術館では、2001年にマールボロ音楽祭で出会った若い演奏家たちとともに室内楽の演奏会、そして2011年にシューマン〈ダヴィッド同盟舞曲集〉作品6とシューベルト〈ピアノ・ソナタ イ長調〉D959のプログラムでリサイタルを行っている。
http://www.mitsukouchida.com
平成25年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業