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コンサートホール ATMCONCERT HALL ATM

  • 音楽

アルディッティ弦楽四重奏団~結成40周年記念演奏会~

2014年8月23日[土] 

©Markus Sepperer; Wien Modern 2013

脱世界Entrückung――現代の音楽はここから始まった

限りある命を授けられた人間が、その存在の儚さ故に、永遠を希求し、そして自身の存在理由やこの世の真理を推し測ろうとする。芸術作品が宿命として持つ革新性の背景には、現状では掴み得ないこれらの命題を、新しい次元に移行することでその答えを見つけたいという、人類の切実な望みが託されている。
ルネサンス以来、西洋音楽は、階層的な調性秩序を基盤として、発展してきた。そして、後期ロマン派と位置付けられるシェーンベルクの時代に、調性は崩壊し、不協和音は「解放」され、いわゆる「無調」の音楽へと到達することになる。無限の空間に粉々に砕けた音が存在する「無調」の音世界では、作曲家の恐ろしく繊細で鋭敏な感性があってこそ、音楽は結実することになる。
 今回の演奏会では、シェーンベルクがその終楽章で「無調」に到達した記念碑的作品、〈弦楽四重奏曲 第2番〉を取り上げる。この弦楽四重奏曲の後半の2つの楽章では、シュテファン・ゲオルゲの詩がソプラノ歌手によって歌われる。問題の終楽章に配された詩は、既存の世界から脱却し、新次元への飛翔を宣言する「脱世界Entrückung」。今日の私達が抱える閉塞的な状況を打ち破るべく、「脱世界」を夢見たシェーンベルクの音楽に、あらためて立ち還ってみたいと思う。

演奏は、現代作品を手掛ける弦楽四重奏団として、世界のトップを走り続けるアルディッティ弦楽四重奏団。今回のリサイタルは、同四重奏団の結成40周年を記念する公演として開催される。シェーンベルク作品で共演するソプラノのサラ・マリア・ズンは、アーヴィン・アルディッティもその実力を認める、現代作品のスペシャリストだ。

この記念公演にアルディッティ弦楽四重奏団が用意したプログラムには、彼らの数百を超えるレパートリーの中から、厳選された作品が並べられている。冒頭には、シェーンベルクの革新的な試みを受け継ぎ、発展させた弟子・ベルクの「無調」作品が取り上げられる。続く2曲は、これまでのアルディッティ弦楽四重奏団の数多の作曲家との共同作業の中でも、特に濃密な関係を築いた、アーヴィンと同郷の2人のイギリス人作曲家、ファーニホウとバートウィスルの作品が選ばれた。そして最後に、現代の音楽創造の出発点とも言える、シェーンベルクの作品と私たちは邂逅する。

【出演】
アルディッティ弦楽四重奏団
アーヴィン・アルディッティ(第1ヴァイオリン)
アショット・サルキシャン(第2ヴァイオリン)
ラルフ・エーラース(ヴィオラ)
ルーカス・フェルス(チェロ)


サラ・マリア・ズン(ソプラノ)
片山杜秀(おはなし)

【曲目】
アルバン・ベルク:弦楽四重奏曲 作品3(1910)
ブライアン・ファーニホウ:弦楽四重奏曲 第3番(1987)
ハリソン・バートウィスル:弦楽四重奏曲〈弦の木〉(2007)
アルノルト・シェーンベルク:弦楽四重奏曲 第2番 嬰へ短調 作品10(1907-08)

公演概要

会場

コンサートホールATM

開催日

2014年8月23日[土] 

チケット情報

料金

【全席指定】一般3,500円 ユース1,000円
15:30開場 16:00開演


チケットの取り扱い
水戸芸術館エントランスホール・チケットカウンター水戸芸術館チケット予約センター TEL.029-231-8000MUSIC SHOPかわまた TEL.029-226-0351ヤマハミュージックリテイリング水戸店 TEL.029-244-6661e+(イープラス) http://eplus.jp(PC・携帯)CNプレイガイド TEL.0570-08-9990
ユースチケットについて
・25歳以下の方が対象のお得なチケットです。 ・ご購入いただいたご本人様のみご利用いただけます。・当日ご入場の際には、年齢を証明するものが必要となります。・取り扱いは水戸芸術館のみとなります。

お問合せ

水戸芸術館(代表)TEL:029-227-8111

プロフィール

©Philippe Gontier

アルディッティ弦楽四重奏団
Arditti String Quartet

アーヴィン・アルディッティ(第1ヴァイオリン)
Irvine Arditti, 1st violin
アショット・サルキシャン(第2ヴァイオリン)
Ashot Sarkissjan, 2nd violin
ラルフ・エーラース(ヴィオラ)
Ralf Ehlers, viola
ルーカス・フェルス(チェロ)
Lucas Fels, violoncello


現代作品そして20世紀初期の作品の深い解釈、高い技術、洗練された演奏で、世界各地に広く知られ、高い評価を得ている。そして、2014年はグループ創設40周年を迎える。第1ヴァイオリンのアーヴィン・アルディッティが1974年に創設して以来、この40年の間に、数百もの弦楽四重奏曲がアルディッティ弦楽四重奏団のために作曲され、その多くが、20世紀を代表するレパートリーとして確立している。また、アデス、アンドリーセン、アペルギス、バートウィスル、ブリテン、ケージ、カーター、デニソフ、ディロン、デュフォー、デュサパン、フェデレ、ファーニホウ、フランチェスコーニ、グバイドゥーリナ、ゲレーロ、ハーヴェイ、細川、カーゲル、クルターク、ラッヘンマン、リゲティ、マデルナ、マヌーリ、ナンカロウ、レイノルズ、リーム、シェルシ、シャリーノ、シュトックハウゼン、クセナキスなどの作曲家の作品を世界初演。ほかに何百もの作品がレパートリーとなっている。
現代の作品を演奏する過程で、作曲家と密接な共同作業が欠かせないものであるという信条を掲げている。また、マスタークラスやワークショップを通して若い世代の演奏者や作曲家に指導も行う。
CDは190枚以上あり、フランスのレーベル、ナイーヴ・モンターニュからは、話題沸騰のシュトックハウゼン「ヘリコプター・クァルテット」を含む42枚がシリーズでリリースされた。録音には多くの作曲家が立会った。新ウィーン楽派の作曲家による作品の初デジタル録音となったこのシリーズは、1992年国際批評家賞を受賞。2014年には、ファーニホウの弦楽四重奏曲全曲と三重奏曲をおさめたCDがAeonよりリリースされた。
これまでに、ドイツレコード大賞数回、カーター作品集(1999年)とバートウィスル作品(2002年)のCDでグラモフォン賞を受賞。現代音楽への寄与に対しCoup de Coeur賞(フランス・2004年)、1999年には、「lifetime achievement=生涯の業績」としてエルンスト・フォン・シーメンス賞が授与された。

アルディッティ弦楽四重奏団のすべての演奏記録は、ザッハー財団(スイス)に収められ管理されている。
水戸芸術館では2000年の単独演奏会、2004年の「べリオの肖像」、2010年の「リゲティの肖像」、2012年「シュニトケの肖像」に出演している。

Photo:Rüdiger Schestag

サラ・マリア・ズン(ソプラノ)
Sarah Maria Sun, soprano


10歳より声楽を始める。ケルンとシュトゥットガルトで声楽を学んだのち、シビル・ナップとダリンカ・セゴタに師事した。16世紀から21世紀の作品をレパートリーにしているが、特に現代音楽に専門的に取り組んでおり、サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、アンサンブル・モデルン、ムジーク・ファブリーク・ケルン、アンサンブル・ルシュルシュ、ライプツィヒ・シンフォニエッタ、アンサンブル2e2m、アルディッティ弦楽四重奏団、ディオティマ弦楽四重奏団などと共演している。また、アムステルダムのミュジークへボウ、チューリッヒ・トーンハレ音楽堂、マドリード国立音楽堂、ジョルジュ・エネスコ国際音楽祭、コンツェルトハウス・ベルリン、ベルリン・フィルハーモニー、ケルン・フィルハーモニー、パリ・ビエンナーレ、ヴェネツィア・ビエンナーレ、ミュンヘン・ビエンナーレ、アルノルト・シェーンベルク・センター・ウィーンなど、世界中の名だたるホールや音楽祭で歌っている。レパートリーには、歌曲やオペラ、オラトリオのほかにも数百もの現代曲が含まれており、ベルリン国立歌劇場、デュッセルドルフ歌劇場、ライプツィヒ歌劇場、マインツ国立歌劇場、マンハイム国立歌劇場、シュトゥットガルト州立歌劇場などで披露されている。2007年には、シュトゥットガルトのノイエ・ヴォーカリステンのソプラノに抜擢された。このノイエ・ヴォーカリステンは、30年以上にわたって現代音楽を専門に第一線で活躍し続けている類まれな声楽アンサンブルである。
2011年には、サイモン・ラトル率いるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と共演し、リゲティの〈アヴァンチュール〉と〈新アヴァンチュール〉、そしてチン・ウンスクの〈折句—言葉の遊戯〉を歌った。また、2012年にはミュンヘン・ビエンナーレとフランクフルト歌劇場で、アルヌルフ・ヘルマン作曲のオペラ〈ヴァッサー(水)〉の世界初演で主役のカーチャ役を演じた。2013年には、ヴィッテン現代室内楽音楽祭、ウィーン・モデルン現代音楽祭、ジョルジュ・エネスコ国際音楽祭などに招かれて歌った。2014年から2015年にかけては、ケント・ナガノ指揮アンサンブル・モデルンとの共演でレナード・バーンスタインによる室内オペラのプロダクションに参加する予定である。さらに2015年には、スイス・バーゼル歌劇場でペーター・ルジツカ作曲〈ヘルダーリン〉のソプラノの主役をつとめることが決まっている。