
コンサートホール ATMCONCERT HALL ATM
- 音楽
内田光子 ピアノ・リサイタル
2018年10月26日[金]

© Decca/Justin Pumfrey
シューベルトが見つめた「永遠」を、内田光子のピアノが現前させる。
現代最高のピアニストのひとりとして、世界中から尊敬と賞賛を集めている内田光子の水戸芸術館でのソロ・リサイタルが5年ぶりに実現する。内田は、全身全霊をかけて作品の中に入り込み、徹底的な作品研究を背景に、他の誰も為し得ることのなかった新しい音楽の地平を、緻密な表現を通して出現させる。
少女時代をウィーンで11年間過ごし、ウィーン文化を吸収した内田光子が、「誰よりも心に語りかけ、強い影響を受けた、愛してやまない作曲家」と語るのが、シューベルト(1797-1828)である。今シーズンの内田は、そのシューベルトのピアノ・ソナタ作品ですべてを構成するプログラムで、世界ツアーを行っている。
水戸のリサイタルに選ばれたのは、〈第7番 変ホ長調〉、〈第14番 イ短調〉、〈第20番 イ長調〉の3曲。〈第7番 変ホ長調〉はシューベルトのピアノ・ソナタ創作の初期にあたる作品で、1815年のピアノ・ソナタ初作から2年後の1817年、20歳の時に作曲された、みずみずしい作品である。〈第14番 イ短調〉は、シューベルトの成熟したピアノ・ソナタの最初の作品と言われており、1823年に作曲されている。この〈第14番〉が完成する前年の1822年末に、シューベルトの生涯にとって重要な事件が起こってしまう。彼の生命をわずか31歳で奪ってしまうことになる病気が発見されるのだ。以来、シューベルトにとって音楽は、終末に向かいつつある我が身の絶望を表明し、魂の救済を希求する場となった。そうしたシューベルトの苦悩と救済の音楽の傑作群が、死の2か月前、1828年9月に作曲された3曲のピアノ・ソナタである。〈第20番 イ長調〉はその中でも、もっとも流麗で光に溢れている。
儚い「生命」のその先にシューベルトが見つめた「永遠」を、神に祝福された才能をもつ内田光子のピアノが現前させる。
【曲目】
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第7番 変ホ長調 D568
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第14番 イ短調 D784
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第20番 イ長調 D959
公演概要
会場
コンサートホールATM
開催日
2018年10月26日[金]
チケット情報
料金
【全席指定】A席13,000円、B席11,000円
18:30開場 19:00開演
チケットの取り扱い
水戸芸術館・エントランスホール・チケットカウンター・チケット予約センター 029-231-8000・ウェブ予約 http://arttowermito.or.jp/tickets/ticket.html
e+(イープラス)http://eplus.jp(PC・携帯)かわまた楽器店 029-226-0351ヤマハミュージックリテイリング水戸店 029-244-6661(店頭販売のみ)
お問合せ
水戸芸術館(代表)TEL:029-227-8111
【主催】
公益財団法人 水戸市芸術振興財団
プロフィール

内田光子(ピアノ)
Mitsuko Uchida, Piano
内田光子は、真実と美の姿を独自に追求しながら、自らが奏でる音楽の世界を深く掘り下げている演奏家である。モーツァルト、シューベルト、ベートーヴェンの作品の解釈で高い評価を受ける一方、ベルク、シェーンベルク、ウェーベルン、ブーレーズなどの作品に光を当て新しい世代の聴衆に紹介している。
2017/18シーズンは2年に及ぶシューベルトのピアノ・ソナタ・シリーズをスタート。シューベルトのピアノ・ソナタより12作品をセレクトし、ヨーロッパとアメリカをツアー。このシリーズは主にロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホール、ウィーン楽友協会、ニューヨークのカーネギーホール、ベルリンのフィルハーモニーで演奏会を行った。またラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、エサ=ペッカ・サロネン指揮シカゴ交響楽団、ドゥダメル指揮ロサンゼルス・フィルハーモニックと共演したほか、モーツァルトの協奏曲の弾き振りでクリーヴランド管弦楽団と共演している。
2016/17シーズンには、アーティスティック・パートナーを務めるマーラー・チェンバー・オーケストラと共に、モーツァルトの協奏曲の弾き振りでヨーロッパ、日本ツアーを行った。さらにハンブルクに建設されたエルプフィルハーモニーのアーティスト・イン・レジデンスに就任し、2017年1月のホールこけら落とし公演でピアノ・リサイタルを開催した。またロンドンのサウスバンク・センターと3年にわたる共同企画をスタートさせている。
室内楽曲でも優れた音楽家との共演に積極的に取り組み、最近ではイェルク・ヴィトマンとウィグモア・ホール、エルプフィルハーモニー、カーネギーホールで共演、ドロテア・レシュマン、エベーヌ弦楽四重奏団、マグダレーナ・コジェナーとも共演している。
またカーネギーホールのコンサートシリーズ「パースペクティブ」に『内田光子のウィーン再訪』というタイトルでフィーチャーされ、さらにコンセルトヘボウの「Carte Blanche」シリーズにも出演している。
デッカと専属契約を結び、モーツァルトのピアノ・ソナタ全集やシューベルトのピアノ・ソナタ集など幅広いレコーディングを残している。2008年以来クリーヴランド管弦楽団を弾き振りしてモーツァルトのピアノ協奏曲の数々をライヴ録音し、最初にリリースされたアルバムは11年のグラミー賞を受賞。16年秋には、モーツァルトのピアノ協奏曲K.453 とK.503 がリリースされた。クリーヴランド管弦楽団・ブーレーズ指揮シェーンベルクのピアノ協奏曲は、グラモフォン賞(最優秀コンチェルト賞)など4種類の賞を受賞。2017年にはドロテア・レシュマンとで録音したアルバム『シューマンとベルク』でグラミー賞を受賞。
長年にわたり若い演奏家の成長を支援し、ボルレッティ・ブイトーニ・トラスト(Borletti-Buitoni Trust)の理事を務めている。
2005年日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選出、09年には大英帝国勲章「デイム」の称号が授与された。作品に対する深い探究と解釈が評価され、12年にはロイヤル・フィルハーモニック・ソサエティーのゴールドメダル、14年にはケンブリッジ大学より名誉博士号が授与された。15年、ザルツブルク・モーツァルト週間で金賞受賞、高松宮殿下記念世界文化賞(音楽部門)を受賞。サントリーホールのアソシエイト・アーティスト。
水戸芸術館では、2001年にマールボロ音楽祭で出会った若い演奏家たちとともに室内楽の演奏会、そして11年と13年にリサイタルを行っている。今回、5年ぶりのリサイタルが実現する。
http://www.mitsukouchida.com