チケット

【重要なお知らせ】

コンサートホール ATMCONCERT HALL ATM

  • 音楽

リゲティの肖像

2010年6月20日[日] 

Photo:H.J.Kropp/Schott Promotion

私たちの未来に、希望を持ち続けるために
リゲティの音楽に耳を傾ける。

「私は、様々な文化や人間に出会い、異なる文化や人間をそのままに、つまり、異なるまま尊重するということを学びました。ひとつの国が他の国より優れているとか、あるいはある文化が他の文化より劣っているとか、そんな優劣は一切ありえない。(※)」とリゲティは語る。 
ハンガリーのユダヤ人の家に生まれたリゲティは、その前半生に2つの抑圧を経験している。1つ目はドイツ軍のハンガリー占領による、ナチ政権のユダヤ人の弾圧。彼の父や兄や多くの親戚が強制収容所に送還され、命を奪われた。2つ目は、第二次世界大戦後の社会主義制度下の思想、芸術創造上にまでおよんだ弾圧。
その後、人類はこうした愚行を繰り返してはならないと、自由で平等な社会の実現を目指した。しかし、21世紀を迎え、人類は再び、それぞれの利権を大声で主張し、殺し合いの泥沼に堕ち込んでいこうとしている。
だからこそ、先の世紀の犠牲者であり、それ故に心から、国家・民族を超えた人類のあり様を希求したリゲティの残した音楽に、あらためて耳を傾けてみたい。
 
リゲティの創作の系譜を追うことは、そのまま第二次世界大戦後の作曲の歴史の全体を眺めることになる。彼は、戦後生み出されたあらゆる手法に対して、鋭敏な感性と知性で向かい合い、独自の作品を生み出し続けていった。
現代に創作される音楽が、大衆からかけ離れ、エリート主義によってかき乱されている中で、リゲティの音楽はそうした権威とは無縁であるが故に、幅広い層の人たちに受け入れられてきている。その音楽は、豊かなイマジネーションを喚起するものであり、紛れもない音響の美しさを宿している。

は、ハンガリーで反ファシズムの英雄とみなされていたバルトークの影響の下に書かれた初期の作品である。2台ピアノのためのは、ミニマル・ミュージックの旗手ライヒとライリー、その先駆者としてのショパンの名を冠した、リゲティ独自のミニマル作品。後期の最大の傑作のひとつと評されているのが。その演奏には高度の名人芸が要求される、ピアノ音楽の限界を打ち破る作品だ。も演奏には超絶技巧を要し、ルーマニア民謡などの要素を取り入れ、民族音楽などに息づく始原の響を感じさせる自然倍音に着目して作曲された。は、色彩が輪郭に取って代わるセザンヌの絵の技法のように、特定の主題や輪郭をもたないマイクロ・ポリフォニーという手法で書かれた作品。は、16人の混声合唱のための無伴奏作品で、キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』でも使用された。カトリックにおける死者のための聖餐という意味をもつ音楽である。

※TBSブリタニカ刊『ポリフォーンVol.10』の「武満徹連続対談10ジェルジ・リゲティ」より引用

公演概要

会場

コンサートホールATM

開催日

2010年6月20日[日] 

チケット情報

料金

【全席指定】一般3,500円、学生1,000円 
プレ演奏あり13:15~


プレ演奏[1]13:15開演パイプオルガン・コンサート
リゲティのオルガン作品によるプレ演奏を開催します。会場:水戸芸術館エントランスホール料金:入場無料(予約不要)出演:近藤 岳(オルガン)フレスコバルディ:音楽の花束より<クレドの後の半音階的リチェルカーレ>(1635)リゲティ:リチェルカーレ~フレスコバルディへのオマージュ(1951)
リゲティ:ヴォルーミナ(1961/62)
プレ演奏[2] 14:00開場・開演100台のメトロノームのための (1962)
※料金は演奏会入場料に含まれます。会場:水戸芸術館コンサートホールATM
※学生券は水戸芸術館のみの取り扱いとなります。
本演奏 15:00開演
[曲目]
弦楽四重奏曲 第1番 <夜の変容> (1953-54)
ライヒとライリーのいる自画像(背景にショパンもいる)(1976)
ピアノのための練習曲集 
第1巻 VI. ワルシャワの秋(1985)
第1巻 V. 虹(1985)
第2巻 XIII. 悪魔の階段(1993)
無伴奏ヴィオラ・ソナタ(1991-94)
弦楽四重奏曲 第2番(1968)
ルクス・エテルナ(永遠の光)(1966)

[出演]
アルディッティ弦楽四重奏団
小坂圭太(ピアノ)
中川賢一(ピアノ)
松井慶太(合唱指揮)
東京混声合唱団(合唱)
白石美雪(おはなし)
チケットの取り扱い
・水戸芸術館チケット予約センター TEL.029-231-8000(9:30~18:00 月曜休館)
・MUSIC SHOPかわまた TEL.029-226-0351
・ヤマハミュージック関東 TEL.029-244-6661
・チケットぴあ TEL.0570-02-9999(Pコード348-719)
・CNプレイガイド TEL.0570-08-9990
◎公演の内容は、変更になる場合があります。
◎未就学児のご入場はご遠慮ください。
◎公演中止の場合を除き、一度購入されたチケットの払い戻し、交換等は出来ませんのでご了承ください。

お問合せ

水戸芸術館チケット予約センター TEL.029-231-8000(9:30~18:00 月曜休館)

ジェルジ・リゲティ

Photo:Peter Andersen/Schott Promotion


1923年、トランシルヴァニアのディチェーセントマールトン(現ルーマニアのティルナヴェニ)で、ユダヤ人の家庭に生まれる。クラウゼンブルク音楽院でファルカシュに作曲を学び(1941-43)、第二次世界大戦が終わるとリスト音楽院で作曲の勉強を再開し、ファルカシュ、バールドシュ、ヤールダーニに作曲を師事。卒業後、ルーマニアの民俗音楽の実地調査に携わる。50年からリスト音楽院の和声、対位法、楽曲分析の教授に任命される。
56年のハンガリー動乱に際し、ウィーンに亡命。アイメルトに招かれてケルンの西ドイツ放送電子音楽スタジオの自由研究員となり、2つの作品を残す。59年からダルムシュタット現代音楽夏期講習会で毎年のように講義を行う。60年の国際現代音楽協会(ISCM)音楽祭などで、リゲティの作品は熱狂的に迎えられ、次第に彼の名は国際的に知られるようになっていく。61年からはストックホルム音楽アカデミーで作曲の客員教授を定期的に務めた。72年にカリフォルニアのスタンフォード大学の客員講師就任に続き、73年にはハンブルク音楽大学の作曲家教授に就任している。
スウェーデン王立音楽アカデミー、ハンブルク自由芸術アカデミー、西ベルリン芸術アカデミー会員。88年フランス芸術勲章、91年高松宮殿下記念世界文化賞、93年ジーメンス財団音楽賞、96年ユネスコ国際音楽評議会音楽賞、2001年京都賞、03年テオドール・W・アドルノ賞、04年スウェーデン王立アカデミー・ポーラ音楽賞などを受賞。
06年6月12日、ウィーンにて逝去。

演奏者

アルディッティ弦楽四重奏団


1974年に第一ヴァイオリンのアーヴィン・アルディッティがクァルテットを創設、活動を開始。現代作品の深い解釈と卓抜した演奏は、世界各地に広く知られ、高い評価を確立している。この30余年の間に、数百もの弦楽四重奏曲が彼らのために作曲されている。ケージ、カーター、グバイドゥーリナ、細川俊夫、カーゲル、ラッヘンマン、リゲティ、シュトックハウゼン、クセナキスなどの作品の世界初演を行なっている。CDは130枚以上がリリースされている。99年、エルンスト・フォン・シーメンス音楽賞を受賞。2009年1月には、ローマで再演されたシュトックハウゼンので注目を集めた。水戸芸術館では00年の単独演奏会、04年の「べリオの肖像」に出演している。

小坂圭太

ピアノ
東京芸術大学音楽学部を経て、1987年同大学院修士課程を修了。85年第54回日本音楽コンクール(ピアノ部門)入選。89年第58回同コンクール声楽部門にてコンクール委員会特別賞(協演賞)。在学中より、ソロ、伴奏、室内楽、オーケストラの鍵盤楽器、コレペティートゥアなど多岐に亘る活動を開始。現在、お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科准教授、愛知県立芸術大学音楽学部、相愛大学音楽学部でも後進の指導にあたっている。水戸芸術館では本年2月の「中学生のための音楽鑑賞会2010」、「ちょっとお昼にクラシック9」などに出演している。

中川賢一

ピアノ
桐朋学園大学音楽学部ピアノ専攻卒業。同時に指揮も学ぶ。卒業後渡欧し、ベルギーのアントワープ音楽院ピアノ科最高過程、特別過程を首席で修了。1997年オランダのガウデアムス国際現代音楽コンクール第3位。ベルギー、パリ、イギリスなど各地の音楽祭に出演する。98年帰国後は、ソロ、室内楽奏者として活動。指揮者としては、2005年広島交響楽団と共演。東京室内歌劇場ではグラス、ヒンデミット、ナイマンなどのオペラ作品で指揮者を務めている。現在、お茶の水女子大学、桐朋学園大学で後進の指導も行っている。水戸芸術館では、04年「現代音楽を楽しもうXVII アンサンブル・ノマド」、「べリオの肖像」に出演している。

松井慶太

合唱指揮
16歳の時、ピアニストとしてポーランド国立クラクフ交響楽団と共演。2006年、韓国で行われたアジア・フィルハーモニー管弦楽団に参加し、チョン・ミョンフンに指揮を学ぶ。07年、東京音楽大学指揮科卒業。これまでに指揮を広上淳一、汐澤安彦に師事。07年、ハンガリーのブダペストにてドゥナ交響楽団を指揮。国内では日本フィルハーモニー交響楽団、オーケストラアンサンブル金沢、京都市交響楽団等を指揮。08、09年には、NHK交響楽団定期演奏会で東京混声合唱団の合唱指揮者を務める。09年、第15回東京国際音楽コンクール<指揮>入賞、奨励賞受賞。

東京混声合唱団

合唱
1956年、東京芸術大学声楽科の卒業生により創設されたプロ合唱団。レパートリーは、作曲委嘱活動で生まれた194曲をはじめ、グレゴリオ聖歌からルネサンス、古典派、ロマン派、シェーンベルク、クセナキス、リゲティ等の現代作品、そしてわが国の現代作曲家による作品まで、あらゆる合唱作品を網羅している。文化庁芸術祭大賞、音楽之友社賞、毎日芸術賞、京都音楽賞などを受賞。アメリカ、スウェーデン、ベルギー、フィンランド、カナダなどでも公演を行っている。田中信昭(音楽監督・桂冠指揮者)、ヴォルフディーター・マウラー(首席客演指揮者)、松原千振(常任指揮者)、大谷研二(指揮者)など、多彩な指揮者陣を擁している。2007年、第38回サントリー音楽賞、第25回中島健蔵音楽賞を受賞。

近藤岳

オルガン
東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。同大学別科オルガン科修了。同大学大学院修士課程音楽研究科(オルガン)修了。作曲を野田暉行、川井 学、永冨正之、尾高惇忠に、パイプオルガンを今井奈緒子、廣野嗣雄の各氏に師事。文化庁派遣芸術家在外研修員としてフランス(パリ)に留学。オルガンおよび即興演奏をフィリップ・ルフェーブル氏に師事。オルガニストならびに作・編曲家として、国内外でのソロ演奏の他、アンサンブルやオーケストラとの共演、自作自演や邦人作曲家作品の初演も数多く手がけている。各コンサートホール、オルガニストからの委嘱作品も多数。現在、ミューザ川崎シンフォニーホール・オルガニスト。東京藝術大学非常勤講師。日本オルガニスト協会会員。