バンジャマン・アラール オルガン・リサイタル
2024年6月30日(日) 18:30開場・19:00開演
水戸芸術館で8年ぶりとなる「オール・バッハ・プログラム」によるオルガン・リサイタルを、フランスの鍵盤楽器の名手、バンジャマン・アラールを迎えてお贈りします。モネの描いた大聖堂で有名なルーアン出身のアラールが、幼い頃、強烈に惹かれたというのが、街にあった18世紀製のオルガン。いざオルガンを学び始めると、必然的に興味はJ.S.バッハの音楽へ。すぐに頭角を現したアラールは、数々の国際古楽コンクールで優勝し、レオンハルトやクイケンら古楽の先駆者たちからも薫陶を受け、ソリストや通奏低音奏者として世界各地で活躍を始めます。近年は「バッハに影響を与えた周辺の作曲家を含め、丹念にバッハの成長を追いたい」という探究心のもと、J.S.バッハの鍵盤作品を全曲録音するという壮大なプロジェクトに挑んでいます。作曲当時の時代状況をふまえ、欧州各地のオルガンやチェンバロ、クラヴィコードの中から最適な楽器を選択して鮮やかに弾き分けるさまは、まさに若き巨匠という言葉がぴったりです。
アラールのバッハ演奏の魅力は、オーセンティックであることと自由であることが絶妙なバランスで共存していること。昨今は巷にて、奔放で現代的な装飾を施した演奏なども聴かれる中、アラールは派手な演奏効果を狙うことを良しとしません。とはいえ衒学的になることも慎重に避けながら、バッハ音楽が持つ精妙な構築美や生き生きとした躍動感を、抜群のセンスで今日に蘇らせてくれるのです。今回のプログラムでは、バッハが残した約250ものオルガン曲の中から、ドイツの先人たちの音楽を貪欲に学んだ才気迸る青年時代の作品、イタリアやフランス音楽など幅広いスタイルを研究してオルガン曲として昇華させた、編曲の大家ぶりが感じられる作品、そして教会カンタータをオルガン・コラールとして創作した勤勉さや敬虔さが滲む作品など、青年期から円熟期にかけての作曲家の多面性が自ずと伝わってくる曲目が選ばれました。
バッハの世界への耳があらためて開かれるようなひととき。バンジャマン・アラールという若き挑戦者の演奏で、ぜひ一緒に楽しんでみませんか。
【曲目】
J.S.バッハ :
トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
フーガ ト長調 BWV577
シュープラー・コラール集 BWV645-650
第1曲 〈目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声〉
第3曲 〈ただ尊き御神のままに〉
第2曲 〈われいずこに逃れ行かん〉
第5曲 〈われらとともに留まりたまえ〉
第6曲 〈主を褒めまつれ〉
第4曲 〈わが魂は主をあがめ〉
マニフィカト「わが魂は主をあがめ」にもとづくフーガ BWV733
協奏曲 イ短調 BWV593([原曲]ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 RV522)
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トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564
フーガ ト短調 BWV578
トリオ・ソナタ第3番 ニ短調 BWV527
トッカータ(前奏曲)とフーガ ヘ長調 BWV540
【アンコール】
J.S.バッハ :
18のコラール より 〈いざ来たれ、異教徒の救い主よ〉 BWV659
トリオ・ソナタ 第5番 ハ長調 BWV529 より 第1楽章 アレグロ