小菅 優「ソナタ・プロジェクト」Vol.3
神秘・魅惑
2025年3月20日(木・祝) 14:30開場 15:00開演
小菅優が満を持して挑む「ソナタ・プロジェクト」
Vol.3は聴く者を“闇の世界”に連れて行く「神秘・魅惑」
大絶賛を博したベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ全曲シリーズ」の後、水・火・風・土の4元素に基づいた「Four Elementsシリーズ」を自ら企画し、鋭く、深く音楽を掘り下げてきた小菅優が、2023年からピアノ・ソナタをテーマとする「ソナタ・プロジェクト」をスタートさせました。
バロック時代から現代まで、様々な作品に彩られたソナタの歴史を俯瞰し、小菅優ならではの視点で各回のプログラムを構成していきます。
Vol.3のテーマは「神秘・魅惑」。選ばれた作品は、いずれもある種、異様な音のかたちをした単一楽章のソナタで、スクリャービンの〈黒ミサ〉、藤倉大の委嘱新作、ベルクの初期の傑作、そしてリストの長大なロ短調ソナタ。小菅優の念願が叶う、危険な香り漂うプログラムです。“闇の世界”で私たちは何を見、何を聴くのでしょうか。
皆様に秘密を打ち明けよう。以前から一度ちょっと危ないリサイタルをしてみたかった。全部が単一楽章というサブテーマもあるが、いきなりお客様に恐怖を感じさせるリサイタルだ。それこそが今回の「神秘・魅惑」。
スクリャービンのソナタ第9番〈黒ミサ〉で思い浮かぶのは、それまでの作品の色彩とエクスタシーとは異なる悪夢、倒錯、暗黒。そして藤倉大のソナタが続く。これまでに演奏してきた大さんの作品から私がまず思いつくのは官能と絶頂だが、大さんならではの美しいハーモニーが続く中に、この作品には何だかダークなところも垣間見えると思う。
そしてベルクの悲観的でエクスタシーに溢れる感情的なロ短調のソナタに続き、同じ調性のリストのソナタ。この大曲はゲーテの「ファウスト」のストーリーとよく結びつけられるが、やはり悪魔や誘惑の炎が迸る。でも“悪”には“善”も伴い、暗黒の世界にも希望があるのではないだろうか?
小菅 優
【出演】
小菅 優(ピアノ)
【曲目】
スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第9番 作品68〈黒ミサ〉
藤倉 大:ピアノ・ソナタ(委嘱日本初演)
ベルク:ピアノ・ソナタ 作品1
リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調