伝統芸能のススメ[聲明]四箇法要 花びらは散っても花は散らない 附 宮内康乃作曲〈海霧讃歎〉〈海霧廻向〉
2026年3月14日(土) 14:30開場・15:00開演(休憩なし・終演予定16:30)
【出演】声明の会・千年の聲[七聲會(天台聲明)、迦陵頻伽聲明研究会(真言聲明)]
【構成・演出】田村博巳
仏教の経文に旋律を付けて詠唱する声の芸術「聲明」(声明=しょうみょう)は、奈良時代に中国から日本に伝わり、今日まで連綿と受け継がれてきました。平曲や能(謡曲)、浄瑠璃なども、その基礎には聲明の影響が見られ、聲明は日本の伝統芸能の源流の一つともされています。
記録に残る日本最古の聲明は、天平勝宝4年(752年)の東大寺大仏開眼供養において一万人を超える僧侶により盛大に催された「四箇法要(しかほうよう)」(唄(ばい)、散華(さんげ)、梵音(ぼんのん)、錫杖(しゃくじょう))でした。今回の公演では、聲明の二大流派である真言宗と天台宗の僧侶たちが結集した「声明の会・千年の聲」の出演、田村博巳の演出により、天台聲明と真言聲明が応答し合う独自の構成の四箇法要が唱えられます。そしてその中心部と終結部では、2011年の東日本大震災の津波で亡くなった女性が生前に詠んだ短歌とその息子による返歌を用いた宮内康乃の新作聲明〈海霧讃嘆(うみぎりさんだん)〉〈海霧廻向(うみぎりえこう)〉を上演します。
海霧に とけて我が身も ただよはむ
川面をのぼり 大地をつつみ
佐藤淳子
彼岸に渡り 銀河の砂塵と 散りゆきて
なおもあまねく 命のほとり
佐藤 慧
「3・11」から15年。震災の記憶を風化させることなく伝えてゆくため、聲明の伝統と現代の創造が、ここに共鳴します。
【曲目】
唄(ばい)
散華(さんげ)
梵音(ぼんのん)
宮内康乃 作曲 〈海霧讃歎(うみぎりさんだん)〉(2012)
錫杖(しゃくじょう)
後唄(ごばい)
合殺(かっさつ)
般若心経(はんにゃしんぎょう)
三句念仏(さんくねんぶつ)
甲念仏(こうねんぶつ)
宮内康乃 作曲 〈海霧廻向(うみぎりえこう)〉(2021)
関連企画 講座「はじめての聲明」
本公演に出演する「声明の会・千年の聲」のメンバーが、聲明の歴史や宗派ごとの特徴を、実演も交えて解説します。ご参加の皆様に聲明の詠唱を体験していただくコーナーもございます。
【講師】川城孝道(真言聲明 迦陵頻伽聲明研究会)、室生述成(天台聲明 七聲會)
【日時】2026年2月8日(日)14:30開場・15:00開始(16:30終了予定)
【会場】水戸芸術館コンサートホールATM
【料金】全席自由・500円
※講座チケットのお取り扱いは水戸芸術館のみ。
※未就学児のご入場はご遠慮ください。
※聲明公演のチケットをお持ちの方も、別途講座チケットが必要です。