小菅 優「ソナタ・プロジェクト」 Vol.4(最終回)
黄昏
2026年3月22日(日) 14:30開場 15:00開演
大絶賛を博したベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ全曲シリーズ」の後、水・火・風・土の4元素に基づいた「Four Elementsシリーズ」を自ら企画し、鋭く、深く音楽を掘り下げてきた小菅優が、2023年からピアノ・ソナタをテーマとする「ソナタ・プロジェクト」をスタートさせました。
バロック時代から現代まで、様々な作品に彩られたソナタの歴史を俯瞰し、小菅優ならではの視点で各回のプログラムを構成。これまでに「開花」「夢・幻想」「神秘・魅惑」というテーマで、大作曲家たちのソナタの創作に迫ってきました。
最終回は「晩年」。モーツァルト、ウェーバーの晩年の傑作を経て、ピアノ・ソナタというジャンルのひとつの金字塔とも言えるシューベルトの最後のソナタに到達します。この偉大な作品をゴールに見据えてプロジェクトに取り組んできた小菅優は、どのような境地に至るのでしょうか。
ついにソナタ・シリーズのゴール地点に達した。演奏会一つ一つが大きな課題だったが、最終回では更に大きな目標が私を待っている。
晩年に達すると、人は何を考え、感じるのだろう。今の私には想像しかできないが、最終回で取り上げる究極の3つのソナタには次のようなことが思い浮かぶ。どの作品も死神のような怖い存在と同時に、葛藤や苦悩を耐え忍んだ境地を超えた、寛大な優しさを。それぞれの凝縮された内容の中には、「まだ」というか、最後だからこそ訴えようとする、内なる炎が燃えている。
見事な対位法を用い、快活さを装いながらも、どこか寂しいモーツァルトの最後のソナタ。苦悩と恐怖、和解と優しさを、ピアノの持ち味を使って華やかに表すウェーバーの最後のソナタ。そして青春の喜びや懐かしさ、苦境と哀しみの間を彷徨い、人生の全てを語る、儚いシューベルトの最後のソナタ。
抒情。この上ない完成度。そして哀しみを垣間見せながらも常に生きることへの愛を感じさせる深い感情。作曲家たちの最後の静かな訴えを、皆さまに聴いていただきたい。
小菅 優
【出演】
小菅 優(ピアノ)
【曲目】
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第18番 ニ長調 K.576
ウェーバー:ピアノ・ソナタ 第4番 ホ短調 作品70
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D960