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2016-10-10 更新

劇団ACM・澤田考司 ラスト・インタビュー

水戸芸術館専属劇団ACMメンバー・澤田考司が、今年12月末で劇団を退団することになりました。
12年間の専属劇団員としての活動に終止符を打つ澤田さんに、これまでの思い出を振り返ってもらいました。

●俳優になったきっかけ

福井県で生まれ育ち、茨城大学入学を機に水戸に来ました。
もともとは声優になりたいという夢があったんです。演技の勉強になるかと思い、大学の演劇研究会に入りました。東京の声優の学校にも並行して通ってました。後々、俳優と声優は全然違うということがわかりましたけれど(笑)
大学時代は演劇にどっぷりの生活でしたね。初舞台は今は無き南町のサントピア・サウスコアです。

 

●劇団ACMに入る

大学在学中に、演劇研究会の仲間に誘われて、ACM劇場プロデュース公演「泣かないのか?泣かないのか一九七三年のために?―2002」のキャストに応募したのが水戸芸術館に関わった最初です。
それまでは大学での活動が中心で、ACM劇場の公演は観たことがありませんでした。
それを機に、朗読公演「マクベス」に誘っていただき、
大学を卒業してすぐ、現メンバー遠島立夫さんに「命を弄ぶ男ふたり」という二人芝居に声をかけてもらい、出演しました。
その後2004年に、同じ演劇研究会の仲間だった小林祐介くんと一緒に劇団ACMに入団することになりました。

 

●出演作で印象に残っている作品は何ですか?

劇団ACMでの俳優活動のなかで印象に残っているのは、森新太郎さん演出の舞台シリーズ※です。
一日中演劇のことを考え稽古に没頭する森さんの現場では、プロとして第一線で活躍する方の凄さに触れ、
非常に刺激を受けました。芝居への向き合い方が変わりましたし、作品への理解を深められたような気がします。

「夏の夜の夢」演出:森新太郎

「十二夜」 演出:森新太郎

「十二夜」

 

また、「パパ、I LOVE YOU!」「キャッシュ・オン・デリバリー」「遺産と誤算の狂騒曲」などの英国コメディ・シリーズも印象に残っています。
コメディでは、お客さんとのコミュニケーションが必要です。観客と一緒に舞台を創り上げていくような感覚を経験できました。

「パパ、I LOVE YOU!」 演出:松本小四郎

 

「キャッシュ・オン・デリバリー」 演出:野村万蔵

「遺産と誤算の狂騒曲」 演出:西川信廣

●大変だったことはありましたか?

「小学生のための演劇鑑賞会」ですかね。
現在はACM劇場で公演を見ていただいてますが、2012年までは水戸市内の小学校を訪問して、公演を行ってました。
朝から体育館に舞台の仕込みをし、リハをして、本番で全児童にお芝居を観てもらい、
舞台をバラしてトラックに積み込み、連日の時は次の学校の体育館に仕込みに向かう・・・
子どもたちの反応はダイレクトで楽しかったですが、体力的に非常にハードでしたね(笑)

小学生のための演劇鑑賞会 「走れメロス」 演出:長谷川裕久

「大どろぼうホッツェンプロッツ」 演出:大杉良

●好きだった役

『パパ、I LOVE YOU!』のおじいちゃん役ですかね。
めちゃくちゃな役で、好き勝手し放題に出来たのが楽しかったです。
それと、2015年の『赤シャツ』で演じた「うらなり」という役は、実際の自分に一番近い役だったように思います。

「パパ、I LOVE YOU!」

「赤シャツ」 演出:西川信廣

●応援してくれたお客さまにメッセージ

小学校の鑑賞会でお芝居を観てくれた子どもたちの一人が、大人になって俳優として同じ舞台に立つ、というような嬉しい経験もありました。
たくさんの観客の皆さんの応援があったからここまでやってこられました。
時にはひどく凹まされたこともありますが(笑)、俳優として成長することができたと思います。
今まで本当にありがとうございました。これからも劇団ACMをよろしくお願いします。

●水戸芸術館での最後の舞台  「ルドルフとイッパイアッテナ」

「ルドルフとイッパイアッテナ」で演じているブッチー役は、もともと猫好きなので演じていて楽しいです。
ルドルフに影響されてちょっとずつ成長していくブッチーを、自分なりに表現できればいいなと思います。
俳優活動の中で、ファミリーシアター&演劇鑑賞会は、一番ステージ数も多く、
演劇を普及するという意味でやりがいを感じていたシリーズだったので、ACM劇場での最後の舞台がこの作品で良かったと思っています。
地元の福井に戻っても演劇は続けますが、水戸芸術館での最後の作品となる『ルドルフとイッパイアッテナ』、
ぜひ観に来ていただけたら嬉しいです。

公演情報 『ルドルフとイッパイアッテナ』