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2023-01-16 更新

【茨城新聞・ATM便り】1月15日付の記事を掲載しました~MCOセミナー・ウインズ2023~

茨城新聞で水戸芸術館音楽部門が月1本のペースで連載しているコーナー「ATM便り」。1月15日掲載の記事を転載します。今回は1月22日に開催する「MCOセミナー・ウインズ2023 ―水戸室内管弦楽団の管楽器メンバーとセミナー受講者の合同コンサート―」に関する記事です。


変則的な編成で合奏も

「MCOセミナー・ウインズ2022」での講師とセミナー受講者全員による合奏の様子
「MCOセミナー・ウインズ」の前回公演での講師とセミナー受講者全員による合奏の様子(撮影:田澤純)

1月22日に水戸芸術館で開催するコンサート「MCOセミナー・ウインズ」は、水戸室内管弦楽団(MCO)に参加する、日本を代表する管楽器奏者4人と、茨城県で活動する4組の管楽器アンサンブルとがコラボレーションする企画です。管楽器アンサンブル4組それぞれに、MCOの管楽器奏者が一人ずつ講師として付き、昨年11月に3日間のレッスンを行いました。より美しい歌い方を目指してフレージングを徹底的に見直したグループ、曲の解釈を綿密に話し合って音楽を練り上げたグループ……どのグループも予定時間を上回る熱のこもったレッスンで、講師と参加者の笑顔からは充実感が伝わってきました。実際、4組いずれも素晴らしい仕上がりです。

今月開催するコンサートは、このレッスンの成果発表となりますが、それだけではありません。今回の講師と参加者全員での合奏もあります。総勢23人。小さな吹奏楽団の規模です。

しかし講師と参加者全員を単純に足し合わせた楽器編成は、吹奏楽のバンドとしてはかなり変則的です。たとえば、一般的な吹奏楽のバンドで一番多いクラリネットは、今回4人。これに対してフルートが6人もいます。金管楽器ではホルンとトロンボーンが3人ずついるのに、トランペットがいません。
「こんな編成でできる曲、あるの?」
と、講師からも訊かれました。

なんと、ありました!

それどころか、このような変則的な編成に対応できるよう、楽器の組み合わせを柔軟に変えられる楽曲が、近年、多く登場しています。少子化を背景に、標準的な吹奏楽の編成が組めないバンドでも音楽を楽しめるようにと、このような楽曲が多く作られ、出版されるようになったようです。

1月22日のコンサートで講師と参加者全員で合奏する曲にも、そのように編曲されたクラシックの名曲を選びました。特にドヴォルザークの《スラヴ舞曲》は、聴いたことのある方が多いことでしょう。今回だけの楽器編成から生まれる、馴染みのある響きとは少し違ったサウンドを、お楽しみいただければ幸いです。


水戸芸術館音楽部門 学芸員 篠田大基