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2020-10-26 更新

【茨城新聞・ATM便り】10月25日付の記事を掲載しました~水戸室内管弦楽団第106回定期演奏会~

茨城新聞で水戸芸術館音楽部門が月1本のペースで連載しているコーナー「ATM便り」。10月25日掲載の記事を転載します。今回は10月31日と11月1日に開催する「水戸室内管弦楽団第106回定期演奏会」に関する記事です。



水戸室内管弦楽団第104回定期演奏会より。撮影:大窪道治

今年はベートーヴェンの生誕250年の記念の年。世界中でベートーヴェンを特集する演奏会が企画されています。しかし、折からのコロナ禍で、残念ながら、中止や延期になった演奏会も、少なくありません。

最近になってようやく、各地で演奏会が再開されるようになりました。まだコロナ以前と同じとはいかないものの、明るく喜ばしいニュースです。水戸芸術館専属の水戸室内管弦楽団(MCO)も、9か月ぶりに演奏会を開催できることになりました。10月31日(土)と11月1日(日)の第106回定期演奏会です。

活動再開とはいえ、MCOの管楽器奏者を中心に、海外在住演奏家の渡航困難な状況は今も続いており、感染症終息の兆しも見えません。そこで今回は、国内在住の演奏家のみによる、全編弦楽合奏のプログラムでお贈りいたします。生誕250年のベートーヴェンの音楽も、日本を代表する演奏家が揃うMCOのアンサンブルで、お楽しみいただきます。

弦楽オーケストラで聴くベートーヴェン、ということで、今回の演奏会で取り上げるのは、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番〈セリオーソ〉の弦楽オーケストラ版。19世紀ドイツの作曲家マーラーによる編曲です。〈セリオーソ〉は、ベートーヴェンの16曲ある弦楽四重奏曲のなかで、演奏時間としては最も短いながら、切り詰められた構成と急速な展開が、作品の愛称(セリオーソ=真剣、厳粛の意)のとおりの緊迫感を生み出しています。

弦楽四重奏は、いわばクラシック音楽の精髄。4つのパートに凝縮された緊密な音楽です。そこには、奏者が4人だけだからこそ、互いに息を合わせられ、音を聴き合え、演奏ができるという面もあります。今回は、その5倍の20人の演奏家が、指揮者なしで、弦楽四重奏曲に挑みます。交響曲より演奏が難しいとさえ言われるマーラー編曲のベートーヴェンの弦楽四重奏曲。MCOの真剣勝負を、刮目してご覧ください。

水戸芸術館音楽部門 学芸員 篠田大基