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2024-12-05 更新

【茨城新聞・ATM便り】12月5日付の記事を掲載しました~樫本大進(ヴァイオリン)&ラファウ・ブレハッチ(ピアノ)~

茨城新聞で水戸芸術館音楽部門が月1本のペースで連載しているコーナー「ATM便り」。12月5日掲載の記事を転載します。今回は12月17日に開催する「樫本大進&ラファウ・ブレハッチ」に関する記事です。

演奏会は12月17日、19時開演。出演は、樫本大進さん(ヴァイオリン)、ラファウ・ブレハッチさん(ピアノ)です。チケットは全席指定S席9,000円、A席6,000円、B席4,000円。枚数限定で、U-18(小学生以上18歳以下)0円、保護者S席4,500円、保護者A席3,000円。皆さまのご来場をお待ちしております。



©Keita Osada                                        ©Marco Borggreve


時代上り詰めた俊英

 水戸芸術館では、水戸市民会館と連携して、同会館のグロービスホール(大ホール)で、クラシック音楽の演奏会を定期的に開催してきています。その第3回公演として12月17日に開催するのが、ヴァイオリニストの樫本大進とピアニストのラファウ・ブレハッチという、時代を上り詰めた俊英2人によるデュオ・コンサートです。
樫本大進は、オーケストラのヴァイオリン奏者として最高峰の地位である、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めています。コンサートマスターというのは、第1ヴァイオリンの首席奏者であると同時に、指揮者の目指す音楽を実現すべくオーケストラの全奏者を統率する役職です。したがって、100人前後のオーケストラ奏者全員から、演奏家としても人間としても尊敬され信頼されるような人物でないと務まりません。樫本大進は、このコンサートマスターをベルリン・フィルという世界ナンバーワンとも言えるオーケストラで務めているのです。ちなみに彼は、水戸芸術館専属の水戸室内管弦楽団(MCO)の演奏家達とも深い縁で結ばれています。MCO総監督の小澤征爾がベルリン・フィルを最後に指揮した2016年4月の演奏会で、コンサートマスターを務めたのが他ならぬ樫本でした。また、樫本のジュリアード音楽院プレカレッジ時代の師匠がMCOメンバーの田中直子で、MCOの第63回定期演奏会(2005年)では、田中直子がコンサートマスターを務め、樫本がメンデルスゾーン等の協奏曲を独奏しました。
一方のラファウ・ブレハッチは、ピアノの国際コンクールとして最も権威があるショパン国際ピアノ・コンクールの覇者です(2005年、第15回)。このコンクールは、その名が示す通り、ショパンの故郷ポーランドのワルシャワで開催され、ショパン作品の演奏を対象としています。当然、地元ポーランドのピアニストは数多く参加していますが、ポーランド人の優勝者はクリスチャン・ツィメルマン(1975年、第9回)とラファウ・ブレハッチの2人だけです。さらに、ブレハッチは、「ピアノのノーベル賞」とも称されるギルモア・アーティスト賞を2014年に受賞しています。この賞の賞金は30万ドル(約4,400万円)という巨額で、複数の選考委員が、本人たちには内緒で、長期間にわたって候補者たちの演奏や録音物を調査して、4年に1人だけ受賞者を決定します。レストランのミシュランの星の決め方と似ていると言えそうです。
 時代を上り詰めた2人の豪華デュオを、水戸市民会館でお楽しみください。


水戸芸術館音楽部門芸術監督・中村 晃