アートセンターをひらく 第Ⅱ期
2019年10月26日(土)~2020年1月26日(日) 9:30〜18:00(入場は17:30まで)
2020年に開館30周年を迎える水戸芸術館現代美術センターは、移り変わる社会の中で今アートセンターに求められる役割を探る企画「アートセンターをひらく」を2期に分けて実施しています。
2019年3月から5月にかけて行った第Ⅰ期では、アートセンターを「アートが生まれる場」と捉えなおし、ギャラリーをアーティストや来場者の「創作と対話」のために活用しました。第Ⅱ期では、展覧会を軸に、対話とさまざまな活動を育む場としてギャラリーをひらきます。
本展では、第Ⅰ期にて1カ月の滞在制作を行ったアーティスト6名が地域や当館をリサーチし、市民の協力を得て制作した新作を発表します。また、第Ⅰ期から継続中の砂連尾理による身体表現と対話のワークショップ「変身」の様子を公開します。
第Ⅰ期の会期中、カフェやパブリック・プログラムの会場と隣り合わせのギャラリーで行われたアーティストによる創作活動は、来館者と当センターとの関係性や地域住民との関わり合いの中で構築されました。また、展示空間での制作は、現場での実験や新たな挑戦をより身近にしたといえるでしょう。その創作行為が第Ⅱ期にて結実し、みなさんに対話を誘いかけます。
第Ⅰ期で好評を得た「ひらくカフェ」は、場所をワークショップ室に移して出現。さまざまな人々が思い思いに過ごし、出会い、活動できる場を設けます。作品をきっかけに対話や関わりが生まれ、次へとつながりうる社会的な場としてギャラリーをひらくことで、今求められるアートセンターの役割を実践的に探ります。
撮影:草本利枝
呉 夏枝(お はぢ)
Haji Oh
1976年大阪生まれ、ウロンゴン(オーストラリア)在住
プロフィール
染織、刺繍、編む、結ぶなどの技術による制作を基点に、テキスタイルや写真、音声を用いた空間的な作品を発表している。布にまつわる行為から、ワークショップや対話を通じて、言葉にされることのなかった人びとの物語や生とともにある記憶を収集し、自らの作品のモチーフへと展開する。近年の展示に「東アジア文化都市2018金沢『変容する家』-Altering Home-」(2018/金沢市内)。2014年より、オーストラリア、日本、韓国の間を、海を越えて渡った人びとの軌跡を調査し歴史と織り交ざった個人の物語に目を向ける試みとして、連作「grand-mother island」プロジェクトに取り組んでいる。小山市車屋美術館にて個展「手にたくす、糸へたくす」(会期:2019年10月12日〜12月15日)を開催予定。
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ハロルド・オフェイ
Harold Offeh
1977年アクラ(ガーナ)生まれ、ケンブリッジ(英国)在住
プロフィール
身体を通して見出される空間や場所にまつわる物語に関心を寄せ、大衆文化や社会現象を引用した作品を制作する。パフォーマンスを軸とした遊び心あふれるその表現は、笑いや参加をきっかけに、身体やアイデンティティの表象、または習慣やしぐさに隠された問いを提起する。70、80年代ポピュラー音楽へのオマージュである連作「カバーズ」をハーレム・スタジオ美術館(2014/米国)ほか各地で発表。2018年にはトロント(カナダ)のニュイ・ブランシュに招待され、同市のクイアカルチャーが辿った抑圧と解放の歴史を掘り下げる作品を上演した。
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撮影:三浦博之
砂連尾 理(じゃれお おさむ)
Osamu Jareo
1965年大阪生まれ、東京在住
プロフィール
1991年、寺田みさことダンスユニットを結成。2002年、「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2002」にて「次代を担う振付家賞」(グランプリ)、「オーディエンス賞」をW受賞。2004年、京都市芸術文化特別奨励者。2008年度文化庁・在外研修員としてベルリンに1年滞在。近年はソロ活動を中心に、ドイツの障がい者劇団ティクバとの「Thikwa+Junkan Project」、京都・舞鶴の高齢者との「とつとつダンス」、宮城・閖上の避難所生活者への取材が契機となった「猿とモルターレ」等を発表。2017年より、父親の老いと病をきっかけに生の揺らぎをテーマとした「変身プロジェクト」を展開。著書に『老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉―ダンスのような、介護のような―』(晶文社)。
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末永史尚(すえなが ふみなお)
Fuminao Suenaga
1974年山口生まれ、東京在住
プロフィール
日常的に目にする物や、美術作品をとりまく状況や空間に目を向け、その視覚的な特徴をもとにした絵画・立体作品を制作している。対象のイメージを写しとったり、その特定の要素を拡大または抽出するなど、ありのままとは少し異なる対象の姿をみちびきだすことで、描くことの本質的な意味をひらく連作に取り組んでいる。
主な展示に「APMoA Project, ARCH vol. 11 末永史尚『ミュージアムピース』」(2014/愛知県美術館)、「開館40周年記念1974 第1部 1974年に生まれて」(2014/群馬県立近代美術館)。
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潘 逸舟(はん いしゅ)
Ishu Han
1987年上海生まれ、東京在住
プロフィール
等身大の個人の視点から、社会と個の関係の中で生じる疑問や戸惑いを、自らの身体を用いたパフォーマンス性の高い映像作品、インスタレーション、写真、絵画など様々なメディアを駆使しながら、真摯に、時にユーモアも交えながら表現している。主な個展に「The Drifting Thinker」(2017/上海MoCAパビリオン)、「私たちの条件」(2017/URANO、東京)、グループ展に「水と土の芸術祭2018」(新潟)、「In the Wake - Japanese Photographers Respond to 3/11」(2015/ボストン美術館、米国)、「Sights and Sounds: Highlights」(2016/ジューイッシュミュージアム、米国)など。日産アートアワード2020ファイナリスト。
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撮影:Naoko Maeda
毛利悠子(もうり ゆうこ)
Yuko Mohri
1980年神奈川生まれ、東京在住
プロフィール
磁力や重力、光など、目に見えず触れられない力をセンシングするインスタレーションを制作。個展「Voluta」(2018/カムデン・アーツ・センター、英国)、「毛利悠子:ただし抵抗はあるものとする」(2018/十和田市現代美術館)のほか、「アジア・パシフィック・トライアニュアル2018」(オーストラリア)、「リヨン・ビエンナーレ2017」(フランス)、「コーチ=ムジリス・ビエンナーレ2016」(インド)、「ヨコハマトリエンナーレ2014」(神奈川)など国内外の展覧会に多数参加。2015年に日産アートアワード グランプリ、2016年に神奈川文化賞未来賞、2017年に第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。2015年、アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)のグランティとして渡米。
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撮影:Pete Woodhead
エマニュエル・レネ
Emmanuelle Lainé
1973年パリ生まれ、マルセイユ(フランス)在住
プロフィール
展覧会ごとにその場特有の性質に着目し、その施設の属性や会場の建築的要素を取り込み、また、そこで働くスタッフの職場環境に取材するなどして、サイトスペシフィック・インスタレーションを制作。実寸大の写真に有機物や日用品など身近なものを組み合わせたインスタレーションは、ヨーロッパを中心に各地で発表されている。主な個展として、ヘイワード・ギャラリー/ヘニ・プロジェクト・スペース(2018/英国)、FRACシャンパーニュ-アルデンヌ(2018/フランス)、パレ・ド・トーキョー(2017/フランス)、主な国際展にリヨン・ビエンナーレ(2015/フランス)がある。
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参考図版
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