ベルチャ弦楽四重奏団
Belcea Quartet
プロフィール
“この音楽を駆り立てている衝動は、自由への憧れや、自分自身の限界を広げて真実を得ることなど、抑えきれない欲望の中に存在する”。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集の録音に際し、そのライナーノーツにベルチャ弦楽四重奏団は自身の音楽哲学をこのように語っている。
伝統的なことに捉われず、様々な文化的背景に裏打ちされたダイナミックで自由な音楽解釈を持つベルチャ弦楽四重奏団は、1994年、ルーマニアのコリーナ・ベルチャ(ヴァイオリン)、ポーランドのクシシュトフ・ホジェルスキー(ヴィオラ)、その他2人の創設者と共に英国王立音楽大学で結成された。このそれぞれ母国が異なる4人のアンサンブルは、歴史あるカルテットのアルバン・ベルク四重奏団やアマデウス四重奏団に師事する。その後、フランスのアクセル・シャハー(ヴァイオリン)とアントワーヌ・レデルラン(チェロ)が加わり、多様な影響を共通の音楽言語へ調和させていった。
この多様性がベルチャ四重奏団の幅広いレパートリーを可能にしており、弦楽四重奏曲の全曲録音では、バルトーク、ベートーヴェン、ブリテンのほか、ブラームスのアルバムがディアパソン・ドール賞を受賞した。また、ベルク、デュティユー、モーツァルト、シェーンベルク、シューベルトの録音をリリースしている。2018年にはピョートル・アンデルジェフスキとの「ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲&弦楽四重奏曲第3番」を、2019年に「ヤナーチェク、リゲティ:弦楽四重奏曲」をリリースし、いずれも絶賛を博す。
一方で数多くの現代作品の初演も行っており、自身の創設した財団との共同委嘱で、ジョゼフ・フィブス、クシシュトフ・ペンデレツキ、トーマス・ラルヒャー、マーク=アンソニー・タネジ等の初演を行っている。弦楽四重奏のレパートリーを継続的に拡充するとともに、若手演奏家への指導とサポートも積極的に行っており、受け継がれた伝統と培ってきた経験を次世代へと繋いでいくことを目標としている。
これまでにウィグモア・ホール、ベルリン・フィルハーモニー、ピエール・ブーレーズ・ザール、シャンゼリゼ劇場など欧州の著名な会場でコンサートを行ってきたほか、ウィーン・コンツェルトハウスではレジデント・アーティストとしての活動を行っている。
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