オルガン・レクチャーコンサート Vol.7
19世紀ドイツのオルガン音楽 ~ドイツ的とは?~コーディネーター:室住素子
2023年7月2日(日) 18:30開場 19:00開演
芸術館が開館したばかりの頃、藝大生だった椎名雄一郎さんは、よくプロムナードコンサートに弾きに来てくれました。彼の演奏には深い歌があり、学芸員として譜めくりする私は感動しました。当時の音楽部門の監督は、膝を痛めていたのに階段を駆け上がってオルガンまで来て、彼を絶賛していたのが昨日の事のようです。
ただ、レクチャーの講師は、演奏が上手い事に加えて、初めていらしたお客様にも楽しんでいただき、わかりやすく伝える力が必要です。その点、椎名さんは、レクチャーの第3回「バッハへの道」や、第4回「バッハの歩んだ道」で、それを素晴らしく成し遂げて下さり、お客様は楽しい雰囲気の中で、オルガンの歴史に触れてくださったと思います。
今回、ドイツのロマン派音楽を、彼がどんな風に語り、弾くのか、とても楽しみなところです。皆様のご来場を、心よりお待ち申し上げます。
コーディネーター 室住素子
講師からのメッセージ
J.S.バッハの音楽は、彼の死後も鍵盤楽器の分野では絶えることなく、影響を与え続けました。モーツァルト、ベートーヴェンなどウィーン古典派と呼ばれる音楽はもちろんのこと、19世紀ドイツを代表する作曲家の一つの道しるべとなったことは明らかです。メンデルスゾーンはオルガン演奏会をヨーロッパ各地で開催するほか、ライプツィヒ・トーマス教会前にバッハ像建立のためのチャリティーコンサートを開くなど積極的にバッハにアプローチしました。シューマン、リスト、ブラームスもオルガン作品を残していますが、いずれもバッハとの関連の中で作曲しています。19世紀は文化的、政治的、社会的にドイツが1つの国としてまとまっていこうとする時代です。その中で音楽家たちはドイツのイメージとして「J.S.バッハ」をドイツ的なもの代表として考えたのでした。このレクチャーコンサートでは、19世紀のバッハ受容と、当時の創作の潮流であるロマン主義音楽の多様な側面を社会的背景との関係で読み解いていきます。
椎名雄一郎
【講師・演奏】椎名雄一郎(オルガニスト)
【曲目】
モーツァルト:ジーグ ト長調 K.574
メンデルスゾーン:前奏曲とフーガ ハ短調 作品37の1
オルガン・ソナタ 第6番 ニ短調 作品65の6 より 第1楽章
オルガン・ソナタ 第4番 変ロ長調 作品65の4 より 第3楽章、第4楽章
シューマン:《ペダル・ピアノのための練習曲集》作品56 より 第4番 変イ長調
リスト:バッハの主題による前奏曲とフーガ S.260
ブラームス:《11 のコラール前奏曲》作品122 より 第4曲〈われ心より喜ぶ〉、第5曲〈身を飾れ、おお愛する魂よ〉、第3曲〈世よ、われ汝を去りて〉