STORYストーリー
前年最愛の恋人を亡くした十八歳の光圀は、その形見を彼女の故郷に供の者と一緒に届けた帰り道、完成間もない日光東照宮をお忍びで詣でていた。日光街道は東照宮を詣でる旅人で賑わっていたが、なぜか光圀主従そっくりな格好の二人組や、ちりめん問屋の陽気な老人も旅していた‥。出会うわけのない三者三様の旅人たちだったが、街道を牛耳る代官の悪だくみが意外な出会いと事件を引き起こすのだった‥。光圀は果たして事件を乗り越えられるのだろうか?
〈夏の陣ダイジェスト〉
〈青春篇オープニング映像 夏の陣/冬の陣ダイジェスト〉
2020年秋、コロナ禍真っ最中、なんとか音楽劇「夜のピクニック」を上演したものの、その年のほとんどの公演はキャンセル、それ以降も東京からやってくる人材を当てにした企画は立て難く、先が全く見えない状況でした。もちろん県内のアーティストたちもほとんど仕事がなく、仕事場どころか人前でやって見せる機会すら失われていました。そうしたアーティストに寄り添えることはできないか、というのがこの企画の始まりです。
地元茨城を盛り上げようと頑張っている安達勇人さんと知り合ったこともあって、そんな若者が茨城を盛り上げるための同世代の仲間探しをモチーフにすれば、演劇以外の人材も登場させられる連続した物語が作れるだろうと考え、当たるを幸いに県内アーティストを訪ね始めました。そしてその集まったアーティストが最終的に目指すものは、「やっぱ、舞台化じゃない? しかもミュージカルで!」というフリートークの発言そのままにそれを目指すことになりました。というわけでタイトルも『目指せ“ミュージカル水戸黄門”?』と決まったわけです。今思うと、思い切りが良いというのか、アバウトというのか不思議なスタートでしたが、あの時ならではのアイデアと決断だったのです。
思わぬ形で始まった企画ですが、出会ったアーティストたちの凄いこと。講談師・マジシャン・ストリートダンサー・津軽三味線・尺八・アイドル・ミュージカル俳優・舞台俳優…、その才能が舞台に結集した時の弾け方もハンパじゃありません。コロナでもなかったらこうした出会いもなかったでしょうが、フィールドが違うとはいえ未来を拓こうと頑張っている若いアーティストたちの姿には、何度も元気づけられました。幸い三度にわたる仲間探しの旅も終わり、奇しくもコロナが一段落した本年2023年の終わりに、その力を結集したオリジナル作品「ミュージカル水戸黄門」を上演するほど成長できました。
若き光圀の青春の葛藤が、次の時代を確実に担う茨城の若きアーティストたちの力で、見事に蘇ります。「コロナ禍でもどっこい負けません」と燃えあがった炎が、「コロナ後、俺たちが未来を創るぜ宣言」となる狼煙のような作品となりました。
気合もたくさん、エンタメもたっぷり、そして未来への希望もたくさん入った「目指せ、“ミュージカル水戸黄門?”」の集大成、どうぞ見届けてやってください。
井上 桂(企画・脚本 前・水戸芸術館ACM劇場芸術監督)
前年最愛の恋人を亡くした十八歳の光圀は、その形見を彼女の故郷に供の者と一緒に届けた帰り道、完成間もない日光東照宮をお忍びで詣でていた。日光街道は東照宮を詣でる旅人で賑わっていたが、なぜか光圀主従そっくりな格好の二人組や、ちりめん問屋の陽気な老人も旅していた‥。出会うわけのない三者三様の旅人たちだったが、街道を牛耳る代官の悪だくみが意外な出会いと事件を引き起こすのだった‥。光圀は果たして事件を乗り越えられるのだろうか?
演劇の分野の才能だけでなく、全国や海外で活躍する講談師・マジシャン・ストリートダンサーにご参加いただきましたが、彼らの魅力をふんだんに盛り込んだショーアップされた舞台となりました。物語は、名君と言われた水戸光圀(水戸黄門)は、実は若い時にグレてやんちゃだったという史実を踏まえ、そんな若き水戸光圀の青春の一風景をミュージカルに出来ないかと動き出す若者たちの姿を描いています。実現へのヒントも見つかり、そのために必要な人材探しに出かけるところで物語は終わります。
冬の陣では、『ミュージカル 水戸黄門』の上演に必要な人材探しの旅が描かれました。茨城県は全国で活躍する素晴らしいストリートダンサーに加え、津軽三味線も盛んで全国トップレベルの素晴らしい奏者も多く輩出しています。そうした人材をメンバーに迎え、物語はやんちゃだった若き光圀が、吉原の花魁・胡蝶の導きにより、人生を見つめ直すきっかけに迫ります。
『ミュージカル 水戸黄門』を彩るヒロインにして最後のパーツとなる人物がいよいよ登場します。ようやくメンバーが揃ったところで、本編となる物語が展開し始めます。若き光圀に名君としての指針を与えたのは誰だったのか…。その隠れた伝承を掘り起こします。世間知らずの若き光圀が出会った意外な人物とは…。
2014年に始まった未来サポートのプロジェクトは、茨城にゆかりのあるアーティストの発掘と舞台出演の機会の提供だけでなく、地域が誇りに思うべき先人や取り組みを舞台化して、大きな成果を挙げてきました。2020年には装いを新たに、「茨城の魅力は若者だ」という視点で、ジャンルの枠を飛び越えて様々なコラボ―レーション現場を創作。改めて茨城県の魅力を発信する企画としてスタートしました。
未来サポートの軌跡
桜川市出身
ミュージカル『忍たま乱太郎』『王室教師ハイネ』『フルーツバスケット』の出演のみならず、茨城県を盛り上げるため2018年から1500人規模の町おこし音楽フェスを開催するなど、いばらき大使としても精力的に活躍中。2020-2021年は単独での東名阪Zepp LIVEツアーを開催。カフェ、ファッションブランドなどのプロデュースも手掛ける。
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水戸市出身
2004年ミュージカル『テニスの王子様』でデビュー。以来、ミュージカルからストレートプレイまで幅広く活躍するオールラウンドプレイヤー。RSK名義でのアーティスト活動も行っており、8月9日には新曲「花火」をリリース。最近の出演作として音楽劇『ミュージカル青春-AOHARU-鉄道』『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』シリーズなど多数。
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水戸市三の丸出身
大学で歴史学を学び、編集者を経て神田 紅に入門。日本講談協会・落語芸術協会所属の二ツ目。古典『水戸黄門漫遊記』はもちろん、新作でも水戸の歴史にまつわる講談を多く手掛ける。昨年に続き今春も開催の、JR東日本企画『歴史講談 水戸漫遊』のナレーションを担当。水戸市出身の講談師としては実に200年ぶり。来年3月真打に昇進し、三代目・松林伯知の名を襲名する。
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つくば市在住
2006年よりLAに渡り、“THE LOCKERS”のメンバー等数々のOG達から確かなカルチャー、テクニックを直接学ぶ。今や日本屈指のLOCKERで、国内外の様々なBATTLEで優勝経験をもつ茨城のPURE FUNK DANCER。海外でのワークショップ、ジャッジの経験を経て、アスリートへの指導など活動の幅を広げている。
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TAKUとSHO-HEYで結成したダンスユニット。2021年夏に開催されたJAPAN DANCE DELIGHTvol.27finalでは、第3位を獲得。茨城を代表するユニット。
かすみがうら市出身
キッズ時代よりコンテスト受賞歴は50以上。日本最高峰のダンスコンテスト「JAPAN DANCE DELIGHT」でも入賞を果たす。講師、ワークショップなど後進の指導も積極的に行うほか、コンテストやバトルイベントのジャッジも務める。
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土浦市出身
幼少期からダンスを始め数々のダンスコンテスト、ダンスバトルにて入賞、優勝を獲得。最近では、日本最大級のストリートダンスコンテスト「JAPAN DANCE DELIGHT」vol.25finalでは特別賞、vol.27finalでは3位を受賞。他に日本テレビ「スッキリ」にダンスパフォーマンス出演、アーティストAIのオープニングダンサーなどを務めている
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「JAPAN DANCE DELIGHT」で特別賞、「TOKYO DANCE DELIGHT」では3位、また東日本ストリートダンスコンテスト「GRANDSOUL」で4連覇達成など輝かしい功績を刻む。茨城6国沿いから発信し続ける、バファリンとAOIからなるPOPダンスチーム。昨年からスポーツブランドFILAが設立したFILA DANCE CREW(FDC)に公式エバンジェリストとして参加。
日立市在住
日本最大規模のダンスバトルDANCE@LIVEで2度ファイナリストとなり準優勝を獲得など輝かしい結果を見せるほか、TV、CM、MVなどでも活躍。近年では地元茨城でのイベント主催などの地域貢献に力を注いでいる。
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ひたちなか市出身
キッズ時代からダンスを始め、茨城を中心に活動している。IB6sideとして数々の世界大会への出場のほか、コンテストだけでなくバトルでも好成績を残している。HIPHOPやPOPPINGといった異なるダンスのジャンルを自由に行き来して活躍の場を広げている。
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日立市出身
元サンリオピューロランド公式アイドル「ピューロボーイズ」のメンバー。約2000人の中から5名にオーディションを経て選ばれた。現在はオリジナルメンバーで活動を継続し、ボーイズアイドルグループ『PANBE(ぱんびー)』として活動中。ダンサーとしても活動歴があり、武道館やさいたまスーパーアリーナ、紅白歌合戦やMステなど音楽番組にも多数出演。2014年、松竹ミュージカル『ザ・オダサク』で俳優として初舞台を踏み、その後、バレーボール、テニスの経験を生かし、ミュージカル『テニスの王子様シリーズ』、演劇『ハイキュー!!』に出演し活躍。ほかにミュージカル『刀剣乱舞』『ちっちゃな英雄』『ふしぎ遊戯~蒼の章~』など勢力的に活動している。
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ひたちなか市在住
水戸芸術館劇団ACM専属俳優。同じく専属劇団員の大内真智と「ゆうくんとマットさん」のユニットを組んで絵本の読み聞かせの活動も行っている。俳優としてのみならずFMぱるるん「COMBOX LIVE DISCUSS」月曜パーソナリティーや一般社団法人水戸葵社中演出部担当。過去には、大洗水族館オーシャンシアター演技指導、常陽藝文学苑講師も務めた。
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「目指せ ミュージカル水戸黄門?」3作品の殺陣助手として携わる。これまでの出演作品はTEAM HANDYプロデュース公演のほか、『俺節』『オレステイア』『国粋主義者のための戦争寓話』『『アンチポデス』などがある。新国立劇場演劇研修所9期修了生。
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水戸芸術館ACM劇場プロデュース『スーホの白い馬』に2021年、2022年と出演。躯体のしなやかさを武器にその演技とダンスで観客の話題をさらった。近年の主な出演作品に、ミュージカル『薄桜鬼 真改 山南敬助篇』、舞台『トレンディは突然に』、『青春舞台 1518!イチゴ-イチハチ!』、ドラマ『キス×kiss×キス~パーフェクトスキャンダル~』など。
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古河市出身
18歳でプロとしてデビュー。テーブルマジックから、大迫力のイリュージョンまで多彩なネタを武器に年間10万人以上にパフォーマンスを届けてきた実力派若手マジシャン。地元茨城県を盛り上げるため、県内各所のイベントや商業施設などに積極的に出演し、過去2回主催した古河大道芸フェスティバルも成功させてきた。
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つくば市出身
6歳の頃からDance Association Seeds(DAS)でダンスを始める。次第にJazzとWaackの虜となり、大学生時代にはWaacking Freestyleチーム「FRAN」を結成。大学生ダンスコンテストBIGBANGで、女性チーム初の東西優勝を遂げる。現在は、茨城を中心にダンサー、指導者として活動中。
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阿見町出身
6歳からストリートダンスを始め、HIPHOPをベースに様々なジャンルのダンスをフュージョンさせた「オリジナルティンティンスタイル」で、数々のバトルやコンテストで優勝・入賞を収める。現在インストラクターを務めるD-Lifeダンススクール、DASダンスサークルでは幅広い年齢層の指導にあたっている。
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水戸市出身
東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業。幼い頃からクラシックピアノを学び、13歳からはギターを始めジャズに傾倒。大学在学中に古典楽曲を学びながらも、尺八でジャズの演奏を独自に習得。2016年横浜ジャズプロムナード・デトロイトジャズフェスティバルコンペティションにおいてファイナリストに選出。水戸芸術館には、2008年に茨城の名手・名歌手たち19回演奏会、2017年「和JAZZ」に登場。
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日立市出身
9歳から津軽三味線を習い始め、2000年、17歳で津軽三味線全国大会のA級女性部門に出場し最年少チャンピオンとなる。2004年アルバム「月のうさぎ」でメジャーデビュー。ソロ奏者のみならず、ヴァイオリン奏者や、尺八奏者とのユニットとしても活躍。国境を越えて幅広い音楽活動を展開している。
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岩手県出身
大学生時代より野田秀樹氏の夢の遊眠社、井上ひさし氏のこまつ座などから演劇に関わり、大学卒業後は演出部・舞台監督・舞台制作者として活動し、1996年の新国立劇場の開場とともに演劇制作部プロデューサーとして、渡辺浩子、栗山民也両芸術監督の下、企画制作を行う。2005年新国立劇場に国立としては初の俳優養成の研修所が開設されるとその運営を栗山氏と’10年まで担う。以降はフリーとして活動しつつ、’12年より日本芸術文化振興会プログラムオフィサー(演劇部門)に就任し、文化事業に関わる様々な委員などを歴任。’17年4月、水戸芸術館演劇部門芸術監督に就任。‘22年3月末退任。在任中は国内で初めてとなる宮崎駿オリジナル作品の舞台化(『最貧前線 宮崎駿の雑想ノートより』)などで、水戸芸術館を改めて全国に紹介するなど精力的な活動を行った。
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茨城県ひたちなか市出身
桐朋学園芸術短期大学卒業。俳優・演出家・Moratorium Pants主宰。12歳で初舞台を踏み、2011年、演劇プロデュースユニットMoratorium Pantsを旗揚げ。全作品のプロデュース・演出を手がける。詩人の谷川俊太郎氏の作品やオリジナル作品を上演。『新羅生門』『リボンの騎士』(’11年、横内謙介作・演出)、てがみ座『汽水域』(’14年、扇田拓也演出)など外部公演への出演も多数。他にも、’13 年シンガポールとの国際共同制作舞台に出演、’14 年上田慎一郎監督映画『彼女の告白ランキング』で水戸短編映像祭ベストアクター賞受賞、’15 年ユース非核特使として世界一周、表現教育指導者として教育現場でも活動を展開するなど、多岐に渡って活動中。
’19年3月には、穂の国とよはし芸術劇場PLATで「2018年度 市民と創造する演劇」でシェイクスピアの『リア王』の演出を担当する。また’21~22年小美玉市の文化創造コーディネーターを務めた。水戸芸術館ACM劇場には『十二夜』(’15年、森新太郎演出)、音楽劇『夜のピクニック』(’16年、深作健太演出)、『海辺の鉄道の話』(’18年、詩森ろば作・演出)の出演に続き、『ミュージカル 水戸黄門』シリーズが初の演出としての参加となる。
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