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2015-08-01 更新

【ATM便り】 「フィリップ・トーンドゥル リサイタル」関連の記事、掲載!

茨城新聞で毎月1回、音楽部門企画に関連した旬な話題をお届けしている「ATM便り」。
7/30(木)朝刊で、「フィリップ・トーンドゥル オーボエ・リサイタル」にまつわる下記の記事が掲載されました!コンサート前に、ぜひお読みください♪

 


オーボエの音色感じて

オーボエは、オーケストラがチューニングする(音程を合わせる)とき、最初にラの音を出します。他の楽器は皆オーボエの音を聴いて音程を合わせるのですが、なぜその重要な役割をオーボエが担当しているのでしょうか。

弦楽器が弦の張り具合を変えて、他のほとんどの管楽器が管と管との接合部を抜き差しして音程を調節できるのに対し、オーボエは構造上とてもチューニングしづらい楽器の一つです(舞台に出たら、奏者はリードの咥え方や息の圧力で調節するしかありません)。つまり、オーボエが他の楽器に合わせづらいのなら、他の楽器がオーボエに合わせてしまおう、というわけです。

諸説ある中で、もうひとつ、積極的な理由をあげるとすれば、オーボエの音はオーケストラが一斉に音を出していても耳に届きやすいという特質があります。チャルメラの音のような、少し鼻にかかったような音色は本当に独特で、とても目立ちます(それ故に、多くの作曲家はここぞという聴かせどころでオーボエを用いたのでしょう)。

オーケストラ全員が、その音を聴いて調子を合わせ、いざ曲の演奏へと気持ちを高める――オーボエは、オーケストラの音色やキャラクターを決定づける重要なポジションにある楽器と言えそうです。

水戸室内管弦楽団(MCO)でその重責を担っているのが、1989年フランス・ミュルーズ生まれのオーボエ奏者、フィリップ・トーンドゥル(25歳)です。

2009年、軽井沢の国際オーボエコンクールで第2位に入り注目を浴び、2010年からMCOに参加しています。小澤征爾総監督や他のメンバーからの信頼も厚く、今年創立25周年を迎える現在のMCOになくてはならない存在になりました。チューニングの間だけでなく、曲の演奏中も、MCOのメンバー全員がトーンドゥルのオーボエに注目し、その音色との調和を図りながら音楽づくりをしている、と言っても過言ではないでしょう。

そのトーンドゥルの国内初となるリサイタルが近づいてきました。オーボエの妙なる音色を心ゆくまで味わえる貴重な一夜です。どうぞご期待ください。

(水戸芸術館音楽部門主任学芸員・関根哲也)