チケット

【重要なお知らせ】

  • コラム
  • 音楽

2021-05-09 更新

茨城新聞「ATM便り」ちょっとお昼にクラシック 砂川涼子 ~麗しの歌声~

茨城新聞で水戸芸術館音楽部門が月1本のペースで連載しているコーナー「ATM便り」。4月に掲載した記事を転載します。5月21日(金)に開催するちょっとお昼にクラシック 砂川涼子 ~麗しの歌声~の紹介記事です(転載にあたり、一部修正を加えました)。

公演は水戸芸術館コンサートホールATMで、5月21日(金)13:30開演(終演予定14:30)。チケットは全席指定1,500円。お家で香り高いコーヒーが楽しめる「カップオン サザスペシャルブレンド」1杯分のプレゼント付きです!詳しくはこちらをご覧ください。チケットは好評発売中です。
 




 透き通るような麗しい声と確固たるテクニックで聴衆を魅了しているソプラノ歌手・砂川涼子さんが、気軽に楽しめる人気コンサートシリーズ「ちょっとお昼にクラシック」に登場します。

 砂川さんは数々の声楽コンクールで優勝、イタリアで研鑽を積みながら国内の大舞台に次々に抜擢され、“オペラ界の紅白歌合戦”とも言われる「NHKニューイヤーオペラコンサート」には2002年以来毎年出演するほどの人気と実力を誇る歌手です。

 砂川さんのこれまでの活躍を振り返ると、他のオペラ歌手とは一線を画す特筆すべき点に気が付きます。それはデビュー当初から同じ役柄、レパートリーをキープし続けているという点です。オペラ歌手はアスリートに例えられるように身体が楽器なので、時間と共に声質や音域に様々な変化が出てきます。しかし砂川さんはデビュー当初から〈ラ・ボエーム〉のミミや〈トゥーランドット〉のリュー、〈カルメン〉のミカエラなど抒情的な役を今でも第一線で歌い続け、非常に高い評価を得ています。このような歌手は決して多いわけではありません。これはひとえに日々の声のケアと自分の声を知り尽くしたレパートリー選択、そして並々ならぬ鍛錬の賜物であると言えるでしょう。

 今回のプログラムは、砂川さんの得意するレパートリーに加え、今後の活躍を予感させる意欲的な曲が含まれている点にも注目です。〈芭蕉布〉〈てぃんさぐぬ花〉といった宮古島出身の砂川さんならではの曲で幕を開け、三曲三様の個性を持つ日本歌曲〈霧と話した〉〈サルビア〉〈くちなし〉と続きます。ロッシーニの歌曲〈フィレンツェの花売り娘〉とグノーのオペラ《ファウスト》から〈宝石の歌〉は、装飾音符や高音で声を転がすコロラトゥーラの技術に彩られた、華やかな作品。
 
 最後には砂川さんが新たに開拓しているレパートリー、「鶴の恩返し」を題材にした團伊玖磨のオペラ《夕鶴》より〈あたしの大事な与ひょう〉と、明治時代の長崎を舞台を舞台としたプッチーニ作曲のオペラ《蝶々夫人》より〈かわいい坊や〉を披露します。

 《蝶々夫人》に関して砂川さんは「まだ舞台で全曲歌ったことはありませんが、今後歌う可能性があるかなと思っているので少しずつ勉強を始めています」と語っています。蝶々さんが歌うアリアは2曲あり、2幕冒頭の〈ある晴れた日に〉はしばしばコンサートでも取り上げられますが、オペラのクライマックスで幼い息子に別れを告げる〈かわいい坊や〉の方はそれほど頻繁に聴くことができるアリアではありません。このシーンは涙なしには聴けない、というオペラファンも多いのではないでしょうか。まだ誰も見たことがない、砂川涼子演じる“蝶々さん”に想いを馳せながらアリアを聴くことができる貴重な機会となることでしょう。

 日本のオペラ界第一線で躍進を続ける砂川さんの“今”を味わう1時間、是非足をお運びください。

(水戸芸術館音楽部門学芸員・鴻巣俊博)
 

◆公演情報◆
ちょっとお昼にクラシック 砂川涼子 ~麗しの歌声~

ピアノ:仲田淳也
2021年5月21日(金) 12:45開場  13:30開演(終演予定14:30頃)

【曲目】
普久原恒男:芭蕉布
てぃんさぐぬ花(沖縄民謡)
中田喜直:霧と話した
     サルビア
髙田三郎 : くちなし
ロッシーニ : フィレンツェの花売り娘
グノー :オペラ〈ファウスト〉より “宝石の歌”
團伊玖磨:オペラ〈夕鶴〉より “あたしの大事な与ひょう”
プッチーニ:オペラ〈蝶々夫人〉より “かわいい坊や”

全席指定 1,500円(カップオン サザスペシャルブレンド1枚付き)

公演情報はこちら

Photo: Yoshinobu Fukaya