チケット

【重要なお知らせ】

  • 音楽
  • 専属楽団
  • 公演

2022-09-18 更新

孤高の音楽作りを――藤田真央(ピアノ)インタビュー【水戸室内管弦楽団 第110回定期演奏会】

1990年に結成し、30数年にわたって歩みを続けている水戸室内管弦楽団(MCO)。第110回定期演奏会では、MCOの活動を未来に繋ぐべく、2人の新しい世代の演奏家たちがソリストとして登場します。まず、ピアニストの藤田真央さんのインタビューをお届けいたします。
[水戸芸術館音楽紙『vivo』10月号より転載]


©Dovile Sermokas

 
――2019年のチャイコフスキー国際コンクールの入賞以来、国際舞台でたいへんな活躍をされていますが、最近はどのようなご活動をされていますか。

今まさにスイスのルツェルンを訪れています。こちらではリッカルド・シャイー率いるルツェルン祝祭管弦楽団との公演を控えています。先月(7月)はヴェルビエ音楽祭(スイス)、ロッケンハウス音楽祭(オーストリア)、ラ・ロック・ダンテロン国際音楽祭(フランス)の舞台を経験しました。加えて来月(9月)はツィナンダリ音楽祭(ジョージア)に参加する予定です。ようやく世界情勢が戻りつつあり、世界各地で演奏活動が行えることを大変喜ばしく思っております。
 


2022年3月ミラノ・スカラ座デビュー公演より
©Filarmonica della Scala | G.Hanninen


――藤田さんは、2018年2月と2020年7月に水戸の佐川文庫でリサイタルを行っていらっしゃいますが、その時の思い出をお聞かせください。

2020年のリサイタルは特に印象的です。コロナ禍の影響により3、4ヶ月の間舞台を踏む機会を失っていましたが、その後のリスタートの機会が佐川文庫さんでのリサイタルだったのです。オンライン上での演奏や無観客公演では感じることの出来ない、温度を持った生のコンサートに深い感慨を覚えました。
 
――水戸室内管弦楽団とは初共演となりますが、この楽団についての印象をお聞かせください。

世界の第一線で活躍する選りすぐりのメンバーの集った楽団と存じております。一人一人が意思と意見を持って音楽に向かっている印象を感じるので、他のオーケストラでは味わえない孤高の音楽作りを共に体験できると期待しております。
 
――今回の公演では、水戸室内管弦楽団の演奏の大きな柱のひとつである、指揮者無しでの演奏を藤田さんにもお願いすることになります。協奏曲のソロを指揮者無しで演奏されるのは、今回が初めてですか?

NHK交響楽団とモーツァルト〈ピアノ協奏曲第26番〉、アンサンブル金沢とモーツァルト〈ピアノ協奏曲第20番〉を指揮者なしで演奏させて頂いた経験があります。ソリストにとっては指揮者がいることに越したことはないのですが(笑)、しかし奏者同士で能動的に意見を出し合うリハーサルの過程には音楽的な意義があると感じております。
 
――今回の公演のプログラムは、モーツァルトを中心に構成したいと考え、藤田さんの演奏曲もモーツァルトの協奏曲でとお願いしました。そして藤田さんは〈第23番 イ長調〉 K.488の演奏をご提案くださいました。この作品をお選びになった理由と、この作品の魅力を教えてください。

この作品を公で披露するのは今回が初めてになります。モーツァルトならではの曲想の劇的な変化が特徴的な作品ですが、その要素を恣意的ではなく、明確なビジョンを持って描く為には表現力が必要になる一曲です。水戸室内管弦楽団の皆さんとならそれを実現できると思い、提案させていただきました。
 
――最後に今回の公演を楽しみにしてくださっている水戸の聴衆にメッセージをお願いします。

初めての水戸室内管弦楽団の皆さんとの共演、初めての水戸芸術館での公演です。そんな新鮮な舞台での影響・刺激が音楽に如実に現れると思います。加えて私にとって半年振りの日本での公演となります。海外での経験を吸収中の発展途上にある藤田真央を是非暖かく見守ってください。
 

◆藤田真央 PROFILE
2019年、チャイコフスキー国際コンクールで第2位を受賞。最後のガラ公演では、ヴァレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団と共演し喝采を浴びた。17年第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝。21年、ヴェルビエ音楽祭での《モーツァルト:ピアノ・ソナタ全曲演奏会》は世界中に放映され、大きな注目を集めた。21/22シーズンは、ゲルギエフ指揮ミュンヘン・フィル、クリストフ・エッシェンバッハ指揮イスラエル・フィルなどと共演。22年リッカルド・シャイー指揮スカラ・フィルとの共演でミラノ・スカラ座にデビュー。今夏はシャイー指揮ルツェルン祝祭管との共演にてルツェルン音楽祭にデビュー予定のほか、ラ・ロック=ダンテロン国際ピアノ・フェスティバルなどに出演予定。また3年5回にわたり行う《モーツァルト:ピアノ・ソナタ全曲演奏会》を日本各地で継続。21年、ソニークラシカルと専属レコーディングのワールドワイド契約締結を発表した。
公式ウェブサイト 
https://maofujita.com/

8月12日
聞き手:中村 晃(水戸芸術館音楽部門芸術監督)
協力:株式会社ジャパン・アーツ

 



水戸室内管弦楽団 第110回定期演奏会
10/28[金]19:00、29[土]15:00 予定枚数終了
会場:水戸芸術館コンサートホールATM

公演情報はこちら