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2023-07-22 更新

【茨城新聞・ATM便り】7月20日付の記事を掲載しました~カルテット AT 水戸~


茨城新聞で水戸芸術館音楽部門が月1本のペースで連載しているコーナー「ATM便り」。7月20日掲載の記事を転載します。今回は8月6日に開催する「カルテット AT 水戸 第1回演奏会」に関する記事です。


聴衆との距離 近くに

 この夏、「水戸室内管弦楽団(MCO)」「新ダヴィッド同盟」に続く新たな水戸芸術館専属楽団「カルテット AT(アット) 水戸」が始動します。小澤征爾館長が絶大な信頼を寄せるMCOメンバーの川崎洋介さんの呼びかけで集まった西野ゆかさん、柳瀬省太さん、辻本玲さんによる弦楽四重奏団です。リハーサル期間中には市内施設にアウトリーチに出向いたり、子どもたちへの指導を行ったりと地域との繋がりを築き、演奏会ではトークを交えて聴衆との距離が近い存在を目指します。メンバーからの提案で決定した「カルテット AT 水戸」というネーミングは、英語表記では「Quartet AT Mito」となり、水戸芸術館の英語名「Art Tower Mito」の略称「ATM」が隠れているという仕掛け。

 第1ヴァイオリンの川崎洋介さんはニューヨークで生まれ育ち、ジュリアード音楽院を卒業。1999年MCOに初参加し、2002年よりメンバーとなりました。現在はカナダのオタワ・ナショナル・アーツセンター管弦楽団のコンサートマスターも務めています

 西野ゆかさんは「クァルテット・エクセルシオ」の第1ヴァイオリン奏者としても活躍中。国内外のコンクールで数々の受賞歴を誇る「エクセルシオ」をリードしてきた西野さん、「カルテット AT 水戸」では第2ヴァイオリンとしてアンサンブルの要を担います。

 柳瀬省太さんはイタリアに留学し、ドイツのシュトゥットガルト州立歌劇場管弦楽団に入団、現在は読売日本交響楽団ソロ・ヴィオラ奏者を務めているという、ヨーロッパ仕込みのヴィオラ奏者。室内楽でも目覚ましい活躍を見せています。

 アメリカ育ちのチェロの辻本玲さんは、東京藝術大学卒業後フィンランドとスイスに留学、ソリストとして国内外のコンクールで数々の賞を受賞してきました。近年はアンサンブルやオーケストラの活動にも力を入れ、NHK交響楽団首席チェロ奏者も務めています。

 記念すべき第1回演奏会のプログラムはモーツァルト円熟期の〈プロシャ王第1番〉とシューベルトの傑作〈死と乙女〉、その間には日本にルーツを持つアメリカ人作曲家ポール・ウィアンコ(1983-)の〈弁慶の立ち往生〉が挟まれるユニークなもの。古典の格式と現代のグルーヴを味わえる演奏会に是非足をお運びください。

水戸芸術館音楽部門学芸員・鴻巣俊博