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2023-10-15 更新

【茨城新聞・ATM便り】10月15日付の記事を掲載しました~水戸室内管弦楽団第112回定期演奏会~


茨城新聞で水戸芸術館音楽部門が月1本のペースで連載しているコーナー「ATM便り」。10月15日掲載の記事を転載します。今回は10月21日、22日に開催する「水戸室内管弦楽団第112回定期演奏会」に関する記事です。


ホリガーさん 自作指揮

 今月21日と22日に開催される水戸室内管弦楽団(MCO)第112回定期演奏会には、世界的な作曲家であり、指揮者、オーボエ奏者としても高名なハインツ・ホリガーさんが登場します。

 ホリガーさんがMCOと共演するのは3回目です。最初は2012年の第85回定期演奏会。指揮者がオーケストラと初めてリハーサルを行う場合、まずは音楽を止めずに通して演奏することも多いのですが、ホリガーさんは全く違いました。少し演奏しては止め、「ここはこのように弾いて欲しい」とオーケストラに細かな要求をしてまた演奏し、ということの繰り返し。一切の妥協を許さないホリガーさんの厳しい音楽作りに、MCOの演奏家たちも全力で応え、大変印象深い演奏会となりました。中でも、ハイドンの交響曲の緻密な演奏に、4日間に及ぶリハーサルの成果がよく表れていたと感じます。

 2回目は2014年の第91回定期演奏会。この時は、ホリガーさんと落語家の柳家花緑さんがタッグを組み、ドビュッシーのバレエ音楽「おもちゃ箱」を朗読付きで上演したことが大きな話題になりました。演奏もさらに充実し、指揮者とオーケストラの関係がより深まったと感じられました。

 その後、なかなか共演の機会に恵まれませんでしたが(新型コロナで海外の音楽家の入国が難しい時期もありました)、ようやく9年ぶりにホリガーさんをお迎えすることが叶いました。

 今回の演奏会の聴きどころとして、ホリガーさんの自作「メタ・アルカ」を第一に挙げたいと思います。作曲家でもあるホリガーさんがMCOで自作を指揮するのは初めてです。「メタ・アルカ」は、ヴァイオリン独奏と弦楽合奏のために1963年に作曲された作品。「この曲はとても難しいからオーケストラの皆さんに早めに楽譜を送ってほしい」とホリガーさん自らが伝えてきた難曲です。名手揃いのMCOがどのように演奏するか、ご期待ください。

 さらに、ホリガーさんがオーボエ独奏を務める2曲(フンメルとケルターボーン)、MCOとしてもひさびさに演奏するシューベルトの名曲「未完成」など、聴きどころ満載の演奏会です。

水戸芸術館音楽部門主任学芸員・関根哲也