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2025-02-07 更新

【茨城新聞・ATM便り】2月6日付の記事を掲載しました~MCOセミナー・ウインズ2025~

茨城新聞で水戸芸術館音楽部門が月1本のペースで連載しているコーナー「ATM便り」。2月6日掲載の記事を転載します。今回は2月16日(日)に開催する「MCOセミナー・ウインズ2025」に関する記事です。

日本を代表する演奏家が集った水戸室内管弦楽団(MCO)。その名手たちと茨城の管楽器アンサンブル・グループによる合同コンサートが「MCOセミナー・ウインズ」です。今回は3つの管楽器アンサンブルがMCOの講師陣によるレッスンの成果を披露するほか、講師とレッスン受講者全員による合奏のステージもございます。チケットは全席自由1,000円。皆さまのご来場をお待ちしております。


講師と受講者による合奏のリハーサル風景

管楽器 溶け合う響き 掛け合いの響き

 古代人が木や骨で作った横笛から発展したフルート。同様に動物の角から作られた笛が起源とされるホルン。中世イスラムの軍楽隊の笛がヨーロッパに伝わって生まれたオーボエ。16世紀にイタリアでその原形が誕生したファゴット。17世紀にドイツで発明されたクラリネット…。管楽器のアンサンブルの代表的な形である「管楽五重奏」(木管五重奏)の楽器たちは、起源も発音のしくみも様々です。これは、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロからなる「弦楽四重奏」が、同族の楽器だけで構成されるのとは対照的です。管楽五重奏は、楽器ごとに異なる多彩な音色が、大きな魅力の一つと言えるでしょう。

 2月16日に開催するコンサート「MCOセミナー・ウインズ2025」は、水戸芸術館専属の「水戸室内管弦楽団」(MCO)に参加する演奏家たちと、そのレッスンを受けた茨城ゆかりの管楽器アンサンブル・グループによる合同コンサートです。毎年いろいろな楽器編成のアンサンブルがご参加くださっています。今回は、講師、受講者全員の担当楽器が、どれも管楽五重奏に含まれる楽器になりました。

 今年度アンサンブルコンテスト県大会で金賞を受賞した茨城高等学校吹奏楽部のフルート四重奏。東京藝術大学と東京音楽大学に通う茨城出身の現役学生らによるIbaraki Wind Quintet(管楽五重奏)、茨城交響楽団と日立交響楽団のメンバーが合同で結成したWINDS-9(管楽九重奏)の3団体が、レッスンの成果を披露します。

 コンサートの最後には、講師の小池郁江さん(フルート)、山本正治さん(クラリネット)、四戸世紀さん(クラリネット)、猶井正幸さん(ホルン、指揮)も加わり、五重奏(5パート)の音楽を20人以上の大アンサンブルでお贈りします。

 異なる楽器の音色が溶け合うバルトークの〈ルーマニア民俗舞曲〉、楽器ごとの音色が鮮やかに対比されるドビュッシーの〈ゴリウォーグのケークウォーク〉。弦楽四重奏曲を大人数の弦楽合奏で演奏した例は古今にありますが、管楽五重奏の大人数化はとても珍しい試みと言えます。どんな響きが生まれるか、ぜひお楽しみになさってください。


水戸芸術館音楽部門学芸員・篠田大基