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2025-11-03 更新
【茨城新聞・ATM便り】11月2日付の記事を掲載しました~若手、自分の世界表現~
茨城新聞で水戸芸術館音楽部門が月1本のペースで連載しているコーナー「ATM便り」。11月2日掲載の記事を転載します。
今回は、11月9日(日)に開催する「茨城の名手・名歌手たち 第33回」に関する記事です。
演奏会は、11月9日(日)16時開演。司会には宮本文昭さんがご出演いたします。チケットは、全席自由 1,500円。皆さまのご来場をお待ちしております。
若手、自分の世界表現
11月9日に開催する「茨城の名手・名歌手たち第33回」演奏会は、元オーボエ奏者の宮本文昭さんの司会でお送りします。現役時代はドイツで25年間、オーケストラの首席奏者を務め、水戸室内管弦楽団でも活躍されました。引退後は指揮者に転身。さらに後進の育成やテレビ、ラジオへの出演など、多彩な活動をされています。そんな宮本さんの様々な経験談や音楽家としての思いが、司会のトークで聞けるのも、この演奏会の楽しみの一つです。

前回の公演で、宮本さんはこんな話をされました。
「クラシックの演奏家って、皆さんのなかには、楽譜に書いてあるとおりに演奏できればいいんじゃないの?と思っている方もいるかもしれません。でも、楽譜どおりの正確な演奏なら、今はAIやコンピューターでできてしまいます。やっぱり人間がやるということが大事なんですね。その究極のところは、楽譜からその人にしか表せない世界を作る、ということになると思います」
自分の世界を作るには、練習を繰り返し、経験を重ねることが必要だと、宮本さんは言います。
「自分でも飽きるほど、何度も演奏して、楽譜が体の中に消化されると、もうそんな退屈なことをお客様にお聴かせするのは嫌だから、この曲を演奏するときに自分だけが出せる味を足して、今までのどんな演奏とも違う、今できる最高の演奏を聴いていただこう、という気持ちが出てくるんです。これが大事です」
茨城の演奏家の登龍門として知られる「茨城の名手・名歌手たち」。今回は10代から30代の若手演奏家8組が出演します。自分の世界を作ろうと、今まさに練習を重ねていることでしょう。
「自分の世界が作れるまでには相当な時間がかかります。若いうちから舞台に立っていないと、なかなかそういう演奏家になれません。だから皆さんも応援していただきたいと思います。あなたの20年後、30年後に期待していますよ、と思って聴くことが、演奏家を育てる、ということになるんですね」
皆様ぜひ会場で、8組のフレッシュな演奏に、温かな拍手をお送りください。
水戸芸術館音楽部門学芸員・篠田大基