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現代美術ギャラリーCONTEMPORARY ART GALLERY

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道草展:未知とともに歩む

2020年8月29日(土)~11月8日(日)  10:00〜18:00(入場は17:30まで)

異常気象や環境汚染など、今日、人間の営みが環境に与える影響はその在り方を問われる重大な局面を迎え、政治や経済に対して積極的な対策を求める声が世界各地で上がっています。本展は、このような社会的意識の高まりを背景に、植物への関心やフィールドワークから生まれた現代美術作品を通して、人間がその環境とともに歩んできた道のりを考察する展覧会です。植物にまつわる歴史や人ならざるものの存在に目を向けてきた6組のアーティストによる、ドローイングや写真、映像、インスタレーションなどのさまざまな表現から、人間と環境のつながりを考えます。
本展はまた、人間と環境のつながりの「これから」を参加者とともに想い描く関連プログラムを実施します。気候変動適応に関する資料室や講座の開設など、体験や対話を通した双方向的な学びから、一人ひとりが地球規模の問題や共存社会を思考する機会を創出します。

新型コロナウイルス感染症予防のお願いについてはこちらをご覧ください。
https://www.arttowermito.or.jp/topics/article_40321.html

※展示室内の混雑を緩和するため、状況により入場制限を行うことがございます。
※会期は変更となる場合がございます。

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本展の見どころ

〇国内外で活躍する6組のアーティストの作品を通して、人間と環境のつながりを考える現代美術の展覧会です

〇日本初公開作品や新作、遺作を含む約40作品を展示
ロー・ヨクムイ、ミックスライス、ウリエル・オルローら海外の注目作家による日本初公開作品や、美術と音楽の両分野から注目を集める上村洋一の新作、ロイス・ワインバーガーの遺作など本展でしか見られない作品を一挙にご覧いただけます。また、露口啓二によるインスタレーションは、代表作を再構成した今までにない試みでの展示となります。

〇「植物の扱い方は社会そのもののあり方を物語る」-「自然」と「第二の自然」のあわいから見えてくるもの
第二次世界大戦以後、社会のなかには人間と環境の共存を模索する動きが常にあり、その思想に共鳴する芸術表現も多く実践されてきました。日本ではまた、東日本大震災もアーティストたちが環境について考える大きな契機となりました。しかし一方で、持続可能性を省みない開発や資源の利用、地球温暖化が世界各地で続いていることもまた事実です。
本展では、人間活動とは切り離せない普遍的テーマである「人間とその環境とのつながり」を、特に90年代以降に制作された作品をとおして掘り下げます。そのなかには、自然との境界において立ち現れる、支配構造や歴史の忘却、社会的不公正など「第二の自然」としての人間社会における矛盾やねじれに対する批判的な視点が映し出されています。この視点は、ワインバーガーの言葉を借りれば「植物の扱い方は社会そのもののあり方を物語る」からこそ可能なアーティストによる詩的かつ政治的な問題提起ともいえるでしょう。

〇未知とともに歩む-芸術実践におけるフィールドワーク
本展では、サブテーマとして芸術実践におけるフィールドワークにも目を向けます。予測されるゴールではなく作品制作のプロセスに重心を据え、参加や観察、記述を通して対象の多層的な有様に迫るこの手法は、状況のドキュメントに止まらず、対象が時をかけて移ろう有様や情緒といった記述化し難い領域を作品のなかに捉えることによって、見る者の想像力を掻き立てます。他方、これらの作品を、芸術実践における対象との非対称性や表象の問題を意識したアプローチの例として議論することもできるでしょう。
また、出品作品の一部は、環境のなかに身を置き、作品創作の過程に未知なる環境的要素が浸透してくることを受け入れた芸術表現としても見ることができます。作品に宿されたアーティストの身体的な感覚(またはその消失)がもたらす環境的、周縁的なパースペクティブは、「人間と環境のつながり」を問い直すヒントとなるでしょう。

展覧会の記録動画

ロイス・ワインバーガー

Lois Weinberger

プロフィール

1970 年から作品制作を開始し、以降自然を自らの主なメディアとしてオーストリア国内外で作品を発表してきた。「純正や真実の美学、そして秩序の力に抗する」実践として自らの創作を位置づけ、いわゆる人里植物と呼ばれる、人為による撹乱が激しい環境に生きる植物の存在を一貫してその創作の源とした。
本展では、ワインバーガーのフィールドでの実践を通して植物にむけられたそのまなざしを辿る。アーティストの思考のプロセスを巨大な地図として可視化した作品群「フィールドワーク」からは、歩行から連想される言葉を記した2004 年の作品を含む2 点を出展。また、11 年間かけて収集された624 点の雑草のスライド《ガーデンアーカイヴ》(1988-1999。本展ではデジタル化した複製版を展示)や、ベルリン市旧東ドイツ側の荒涼とした一帯からの景色を「飼い慣らされることのない、より『自然』な都市」の姿として撮影した写真作品などを含む十数点のドローイングや写真、詩作、行為の記録を展示する。
主な個展:ロイス・ワインバーガー展「見える自然/見えない自然」(ワタリウム美術館、2019)、Lois Weinberger|Gift(S.M.A.K、ゲント、2014)、Lois Weinberger(ウィーン・ルートヴィヒ財団近代美術館、2000)
主なグループ展、芸術祭等:ドクメンタ14(カッセル、アテネ、2017)、ヴェネチア・ビエンナーレ(オーストリア館、2009、フランツェスカ・ワインバーガー
との共作)、エンプティ・ガーデン(ワタリウム美術館、1999)、ドクメンタ10(カッセル、1997)
作家HP:http://www.loisweinberger.net/

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露口啓二

Keiji Tsuyuguchi

プロフィール

1990年代末より北海道の風景と歴史に着目した写真作品の制作を始める。「通常『写真家』は『出来事』に遅れて到着する」という露口は、出来事の結果を写しとるのではなく、文献や資料をたよりにひとつの場所を繰り返し訪れ、環境のなかに身を置くことで、そこに起こり続ける変化を捉えることを試みてきた。本展では、露口の代表的な連作「自然史」(2011~)と「地名」(1999~2017)を通して、場所に起こり続ける「ずれ」や「ねじれ」、そして「切断」に焦点をあてる。
2011年に制作を開始した「自然史」は、それぞれの歴史や場所性をもった風景を繰り返し訪れ撮影し、異なる時点での風景を並置して見せる連作である。アイヌ文化の拠点であった漁川や沙流川の流域、古来より人間と自然の物理的・精神的交流の謂れをもつ吉野川、福島の帰還困難地区、そしてその境界線-これらの場所を捉えた写真は、「徐々にしかし着実に浸透してくる『自然』とよばれるもの」に覆われた風景の間に人為を超えた空間が存在することを示唆している。一方、「地名」は、かつてアイヌ語の音で呼ばれ、幕末期のカタカナ表記、その後の漢字表記を経るなかで場所に発生した意味のねじれや切断を念頭に置きながら、その場所性や固有性に対しイメージによって介入することを試みた作品だ。「風景から剥がしとった片々」である写真は、いかに場所の記述と共振し、捉えがたいものへと再び接続することができるのか。両シリーズの連関を意識したインスタレーションで、この問いの考察を試みる。
主な個展:自然史より(nap gallery、東京、2019)、自然史_ 北海道・福島・徳島(CAI01、札幌、2014)、地名(LIGHT WORKS、横浜、2002)
主なグループ展、芸術祭等:今も揺れている(横浜市民ギャラリーあざみ野、2018)、札幌国際芸術祭(2014)、 SNOW SCAPE MOERE-再生する風景(モエレ沼公園ギャラリー、札幌、2012)、ノンセクト・ラディカル-現代の写真III(横浜美術館、2004)
作家HP:http://www.fremen.biz/

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ロー・ヨクムイ(羅玉梅)

Law Yuk-mui

プロフィール

自身の故郷であり、さまざまな人種や文化が交差する場所・香港の風景や地理に目を向け、その歴史と急速な社会変化を映し出す詩情豊かな作品を制作する。香港のアーティスト・ラン・スペース*1 ルーフトップ・インスティテュート共同創設者。
《殖物》(2019)は、人間と植物の複雑で情緒豊かなつながりを香港の地政学的アイデンティティと重ねた映像作品。3部構成の本作は、英国統治時代の香港植物園で撮影されたファウンドフッテージと中国古典演劇のひとつである昆劇*2の役者が男性から女性へと姿を変える過程が伏線となり、情感を湛えた自然描写で知られる戯曲『牡丹亭』を軸としたクライマックスへと至る。憂いや悦び、恋慕といった感情の動きが独特な身振りと音、歌によって表現される山場では、戯曲や詩作からの引用と作者の言葉がモンタージュされ、視聴覚と言語の間の揺らぎを生み出している。その揺らぎの感覚とはまさに、近年の民主化運動で掲げられた黒いバウヒニア*3 の旗のごとく、香港に漂う矛盾や戸惑いの不穏さを象徴しているともいえるだろう。
*1 アーティスト自身が運営を行う文化施設
*2 明の時代に発祥したとされる中国の古典演劇のひとつ。『牡丹亭』はその代表作
*3 バウヒニア・ブラケアナは香港原産の植物。別名「ホンコンオーキッドツリー」と呼ばれ、香港特別行政区の紋章にも使われている。
主な個展:殖物(香港ビジュアル・アート・センター、2019-20)、From Whence the Waves Came(アートバーゼル香港内パラサイト・アートセンターのブース、2018)、Victoria East(ヴィデオタージュ、牛棚芸術村、香港、2017)
主なグループ展、芸術祭等:
ジョグジャカルタ・ビエンナーレXV「SEA BREEZE」(クスナディ・ハルジャスマントリ・カルチュラル・センター、ガジャ・マダ大学、2019)、第23回香港IFVA 賞メディア芸術部門最終選考作品展(パオ・ギャラリー、香港アートセンター、2017-18)
作家HP: http://www.lawyukmui.com/

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ミックスライス

mixrice

プロフィール

移住によって生まれる変化やその痕跡、想起される記憶に目を向け、時に特定の状況におかれた個人やコミュニティと共同しながら、写真や映像、テキスト、アニメーションなどさまざまなメディアを用いた作品を制作している。
《つたのクロニクル》(2016)は、土地開発で移植された樹木の軌跡をたどって制作された映像と写真、印刷物、グラフィティによる作品群。移住、労働、共同体などミックスライスが一貫して掘り下げてきたテーマを、植物という物言わぬ存在にまつわる複数のナラティブとして物語っている。人間によって翻弄される樹木の姿には、韓国各地で行われる開発に向けられた真摯なまなざしが映し出され、「昨日もなく、明日もない、いつも今日だけがある世界を作る。そういう場所で、私たちはいかに定着することができるだろうか?」* という問いからは、植物の根や幹枝だけでなく、人間を取り巻く自然・社会環境までをも分断する持続性を省みない開発の課題が示唆される。
なお、植物に目を向けたミックスライスの作品には、《さまざまな方法で進化する植物》(2012)があり、これまでに東アジア文化都市2017京都や東京都現代美術館「もつれるものたち」(2020年6月9日~ 9月27日)など日本国内でも紹介されている。
主な個展:Migrating Flavours(イーストサイド・プロジェクツ、バーミンガム、2018)、Traversal project ‒ mixrice report: welcome, my friend!(アートスペース・プール、ソウル、2010)、A Dish Antenna(オルタナティブスペース・プール、ソウル、2009)
主なグループ展、芸術祭等:Migration ‒ Speaking Nearby(国立アジア文化殿堂、光州、2019)、韓国芸術家賞展(国立現代美術館ソウル館、2016)、東アジア文化都市2017 京都
*《つたのクロニクル》目録より引用
作家HP:http://mixrice.org/

ミックスライスの元メンバー、ヤン・チョルモ氏は、ヤン氏個人に委託されていた事業において元同僚の女性に対し不適切な発言を行ったとして、2020年6月にセクシュアル・ハラスメントで告発されました。同月、ミックスライスはヤン氏を除名し、新たなメンバー構成で活動を継続しています。
「道草展」の主催者である公益財団法人水戸市芸術振興財団は、ハラスメントを許容せず、「事件の解決及び美術界と文化芸術界における性暴力防止のための制度改善の努力に励む」ことを表明したミックスライスの現メンバーとともに、状況の把握に努めてまいります。

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ウリエル・オルロー

Uriel Orlow

プロフィール

オルローは、作品制作の過程で綿密な資料調査や現地取材を行い、歴史や表象が取りこぼしてきたものに目を向け、記憶を喚起する空間的な作品を制作してきた。2016年から18年にかけて制作された作品群「植物の劇場」はオルローの代表作として高い評価を得てきた。本展では、伝統療法に用いられる薬草を議論の中心に据え、人間界と自然界、伝統と現代、先住民族の権利と知的財産権など対局にあるものをつなぎあわせることでその意味を問い直す映像3部作や、ロベン島刑務所の菜園と黄金色の極楽鳥花の栽培というネルソン・マンデラに関する象徴的なエピソードから、南アフリカの歴史に対する詩的アプローチとして制作された《グレイ、グリーン、ゴールド》(2015-17)を展示。南アフリカ共和国と植民地宗主国との間にあった占領の歴史や今日に至る貿易交流の関係を、植物の視点を通して読み解く作品群の核となる5作品を紹介する。
また、近作《アルテミシアから学ぶ》(2019)では、コンゴ共和国ルブンバシで抗マラリア薬として栽培されているアルテミシアの歴史について調査する一方、現地の女性たちとの継続的な協力関係の構築というアーティストが歴史や現地に介入することの新たな可能性を見せる。
主な個展:Learning from Artemisia(ラ・ロージュ、ブリュッセル、2020)、Soil Affinities(ラボラトワ・オーベルヴィリエ、パリ、2019)、Mafavuke’ s Trial and Other Plant Stories(ザ・ショールーム、ロンドン、2016)
主なグループ展、芸術祭等:ルブンバシ・ビエンナーレ(2019)、マニフェスタ12(パレルモ、2018)、第13 回シャルジャ・ビエンナーレ(2017)。また、ミハイル・カリキスと共同であいちトリエンナーレ(愛知、2013)にも参加している。
作家HP:https://urielorlow.net/

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上村洋一

Yoichi Kamimura

プロフィール

視覚や聴覚から風景を知覚する方法を探り、フィールドレコーディングによって世界各地の環境にアプローチし、そこで得た素材やコンセプトをもとにインスタレーション、絵画、サウンドパフォーマンス、音響作品などを制作している。
フィールドレコーディングを「瞑想的な狩猟」として捉え、その行為を通して、人間と自然との曖昧な関係性を考察している。
本展では、かつてオホーツク海で聴かれたという「流氷鳴り」をモチーフに制作した新作インスタレーション《息吹のなかで》を発表。自らの経験に基づいた目に見えないものとの対峙のための空間を、「自然とも人工とも言えない、掴みどころのない曖昧なもの」に浸る、没入感のあるサウンドスケープとして構成する。
主な個展:Hyperthermia―温熱療法(NTT インターコミュニケーション・センター[ ICC]、東京、2019)、Temporary Ground(Marueido Japan、東京、2019)、クリテリオム82(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2011)
主なグループ展:The Drowned World Anchor-沈んだ世界のアンカー-(Spiral Hall、2019)、普遍的な風景(国際芸術センター青森[ACAC]、2016)
作家HP:http://www.yoichikamimura.com/

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開催情報

会場

水戸芸術館 現代美術ギャラリー

開催日

2020年8月29日(土)~11月8日(日) 

開催時間

10:00〜18:00(入場は17:30まで)

休館日

月曜日 ※ただし9月21日(月・祝)は開館、 ※10月22日(木)、23日(金)は閉場します

出展作家

上村洋一、ロー・ヨクムイ、ミックスライス、ウリエル・オルロー、露口啓二、ロイス・ワインバーガー

入場料

一般 900円
高校生以下・70 歳以上、障害者手帳などをお持ちの方と付き添いの方1名は無料
※学生証、年齢のわかる身分証明書が必要です。詳しくはお問合せください。
※一年間有効フリーパス → 「年間パス」2,000円は現在販売を中止しています
※学生とシニアのための特別割引デー「First Friday」→ 学生証をお持ちの方と65歳~69歳の方は、毎月第一金曜日(9月4日、10月2日、11月6日)100円

お問合せ

水戸芸術館(代表) TEL:029-227-8111

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