ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island -あなたの眼はわたしの島-
2021年8月7日(土)~10月17日(日)【新型コロナウイルス感染症拡大による臨時休館のため、8月7日~9月19日まで休場】 10:00〜18:00(入場は17:30まで)
ピピロッティ・リスト(1962年スイスのザンクト・ガレン州グラブス生まれ)は、実験的な映像表現を探究するアーティストとして、1980年代からスイスを拠点に世界各地の美術館や芸術祭で作品を発表してきました。
色彩に満ちた世界をユーモアたっぷりに切り取ってみせる映像と、心地よい音楽や空間設計によるリストのヴィデオ・インスタレーションは、国を越えて幅広い世代の観客を魅了してきました。本展は、身体、ジェンダー、自然、エコロジーを主題とした作品およそ40点で構成。身体や女性としてのアイデンティティをテーマとする初期の短編ヴィデオやヴェニス・ビエンナーレに出品された代表作《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》(1997/京都国立近代美術館蔵)、自然と人間が共存する今日の世界をのびやかに謳う、パノラミックなスクリーンへと展開する近年の大型インスタレーション(《もうひとつの身体》[2008/15]、《マーシー・ガーデン・ルトゥー・ルトゥー/慈しみの庭へ帰る》[2014]、《不安はいつか消えて安らぐ》[2014])、映像と家具が溶け合ったリビングルーム、日用品を作品へと再循環させる80年代からの一貫した関心によって生まれた作品群など、約30年間の活動の全体像を本格的に紹介します。
本展覧会は、ベッドやクッションに横たわってくつろぐ、食卓を囲むといった遊び心あふれる映像鑑賞体験へと観客を誘う作品を通して、現代社会における切実なテーマを鑑賞者の身体とともに少しずつ解きほぐす機会となるでしょう。
※新型コロナウイルス感染症の拡大による臨時休館のため、8月7日(土)~9月19日(日)まで休場いたしました。
下記作品を屋外で展示しています
20.ヒップライト(またはおしりの悟り)
点灯時間:日没~22時
点灯前でも作品をご覧いただけます
13.わたしの草地に分け入って
上映時間:日没~20時
回廊2階右側で日没後、18時頃から上映をご覧いただけます
ピピロッティ・リスト
プロフィール
ピピロッティ・リスト(本名:エリザベス・シャルロッテ・リスト)
1962年スイス北東部のザンクト・ガレン州グラブスに生まれる。2004年からスイスのチューリヒを拠点に活動。
1980年代にウィーンの応用芸術学校およびバーゼルのデザイン学校で商業美術や映像表現を学び、フリーランスで広報ヴィデオの制作に携わる傍ら、音楽バンドの舞台デザインや映像制作を行う。1986年に自身を撮影した短編ヴィデオ作品《私はそんなに欲しがりの女の子じゃない》がスイスのソロトゥルン・フィルム・フェスティバルで受賞したことをきっかけに、ヴィデオ・アーティストとしての道を進むこととなる。1997年には《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》でヴェネチア・ビエンナーレ若手作家優秀賞(プレミオ2000)を受賞し国際的な評価を獲得した。その3年後にはニューヨークのタイムズスクエアで16面のマルチビジョンによる《わたしの草地に分け入って》が上映され、また、ポンピドゥー・センター前広場(2007)やニューヨーク近代美術館(2008)でも大規模な映像インスタレーションを発表。2014年以降はアメリカ、オーストラリア、イギリス、デンマークそして地元スイスの主要美術館で大規模な個展を開催するなど、その活動は世界から注目を集めている。
日本国内では、1999年に京都国立近代美術館で《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》が上映されて以来、2000年代の主な個展「The Cake is in Flames:ピピロッティ・リスト」(2002、資生堂ギャラリー、東京)、「ピピロッティ・リスト:からから」(2007、原美術館、東京)、「ピピロッティ・リスト:ゆうゆう」(2008、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、香川)などで作品が紹介され多くの反響を呼んだ。また、瀬戸内芸術祭やPARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015など芸術祭の委嘱作品として制作されたサイトスペシフィック※な作品でも知られ、その作品は原美術館(東京)、京都国立近代美術館、東京都現代美術館、金沢21世紀美術館(石川)などに収蔵されている。
※サイトスペシフィック:作品が展示される場所の特性を生かした作品
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参考図版
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《(免罪)ピピロッティの過ち》1988年
シングルチャンネル・ヴィデオ(11分18秒)
© Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine
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《溶岩の坩堝でわれを忘れて》1994年
シングルチャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(6分20秒)
© Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine
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《わたしの海をすすって》1996年
2チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(10分22秒)
© Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine
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《ヒップライト(またはおしりの悟り)》2011年
古着、鋼線、LEDランプ/インスタレーション
ハウザー&ワース、サマセットでの展示風景 Photo: Ken Adlard
© Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine
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《マーシー・ガーデン・ルトゥー・ルトゥー/慈しみの庭へ帰る》2014年
マルチチャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(15分14秒)
© Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine
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《マーシー・ガーデン・ルトゥー・ルトゥー/慈しみの庭へ帰る》2014年
マルチチャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(15分14秒)
クンストハレ・クレムスでの展示風景、2015年
Photo: Lisa Rastl
© Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine
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《忍耐》2016年
シングルチャンネル・ヴィデオ・インスタレーション/岩、ソファ、壁面に投影(12分46秒)
チューリヒ美術館での展示風景 Photo: Lena Huber
© Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine
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《4階から穏やかさへ向かって》2016年
4チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション/ベッド、枕(13分23秒、8分11秒、8分11秒)
オーストラリア現代美術館での展示風景、2017年、Photo: Ken Leanfore
© Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine
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《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》1997年
2チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(4分9秒、8分25秒)
京都国立近代美術館蔵
© Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine