クリストフ・プレガルディエン(テノール)&渡邊順生(フォルテピアノ)
2026年4月5日(日) 14:30開場 15:00開演
30年前、水戸芸術館でシューベルト《冬の旅》の名唱を聴かせたクリストフ・プレガルディエンが帰ってくる。ドイツ・リートの伝達者として、またバッハの受難曲のエヴァンゲリストとして世界的な名声をほしいままにしたリリック・テノールは、古希を迎え、シューベルトの遺作となった《白鳥の歌》にあらためて取り組む。我が国を代表するフォルテピアノ奏者であり、ピリオド楽器による演奏の開拓者でもある渡邊順生という、またとないパートナーを得て。
シューベルトの《白鳥の歌》は、作曲者の死後にまとめられた歌曲集であり、連作が意図されたものではない。プレガルディエンと渡邊は、今日一般的となっている曲順を自由に入れ替え、さらに《白鳥の歌》には含まれない歌曲も加え、シューベルトの後期の名歌を独自の視点で編んだプログラムを作った。
シューベルトの後期は、ロマン主義の世界に入り込んでいる。18~19世紀の産業革命により、都市化した社会に疎外された作曲家は、暗闇からほのかに見える希望の光にすがり、歌で夢を綴った。
そして21世紀、この分断の時代。プレガルディエンと渡邊順生がつむぐシューベルトの歌は、現代をさまよう孤独な魂の救済の響きとなって、あたたかな光を放つであろう。
【出演】
クリストフ・プレガルディエン(テノール)、渡邊順生(フォルテピアノ)
【曲目】
フランツ・シューベルト(1797~1828)
悲しみ D772(コリン詩)
別れ(レルシュタープ詩/《白鳥の歌》D957 第7曲)
セレナード(レルシュタープ詩/《白鳥の歌》D957 第4曲)
愛の使い(レルシュタープ詩/《白鳥の歌》D957 第1曲)
秋 D945(レルシュタープ詩)
遠い地にて(レルシュタープ詩/《白鳥の歌》D957 第6曲)
すみか(レルシュタープ詩/《白鳥の歌》D957 第5曲)
戦士の予感(レルシュタープ詩/《白鳥の歌》D957 第2曲)
美も愛もここにいたことを D775(リュッケルト詩)
春の憧れ(レルシュタープ詩/《白鳥の歌》D957 第3曲)
春に D882(シュルツェ詩)
私の心に D860(シュルツェ詩)
深い悩み D876(シュルツェ詩)
ヴィルデマンの丘で D884(シュルツェ詩)
漁師の娘(ハイネ詩/《白鳥の歌》D957 第10曲)
海辺にて(ハイネ詩/《白鳥の歌》D957 第12曲)
都会(ハイネ詩/《白鳥の歌》D957 第11曲)
影法師(ハイネ詩/《白鳥の歌》D957 第13曲)
彼女の肖像(ハイネ詩/《白鳥の歌》D957 第9曲)
アトラス(ハイネ詩/《白鳥の歌》D957 第8曲)