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2018-06-06 更新

【ATM便り】ちょっとお昼にクラシック 宮本益光 “歌”のときめき “言葉”の煌めき

茨城新聞で毎月1回掲載していただいている「ATM便り」。水戸芸術館コンサートホールATMでのコンサートやイベントに因んだ読み物を、水戸芸術館音楽部門学芸員が分担執筆しています。
今回は6月17日(日)開催の「ちょっとお昼にクラシック宮本益光 “歌”のときめき “言葉”の煌めき」にちなんだ話題をお届けしました。


ATM便り 2018年5月28日号

日本歌曲やオペラも

 

人気バリトン歌手・宮本益光さんを迎えてお贈りする「ちょっとお昼にクラシック」。宮本さんは、歌手として舞台に立つ傍ら、オペラの訳詞や歌曲の作詞、合唱の指導や執筆活動など、多彩な活動を繰り広げるアーティストです。演奏曲目には〈浜辺の歌〉〈荒城の月〉といったお馴染みの日本歌曲から、〈フィガロの結婚〉や〈カルメン〉などのオペラ・アリアまで12曲が並び、1時間のコンサートとは思えないほど贅沢なプログラムが予定されています。その中で特に注目したい曲が2曲あります。

1曲目は、モーツァルトの歌劇〈ドン・ジョヴァンニ〉の中で、稀代のプレイボーイ、ドン・ジョヴァンニが歌う“窓辺のセレナーデ”。2004年の二期会公演で宮本さんは「新時代のドン・ジョヴァンニ」と評されるほどこの役をスタイリッシュに演じ、彼の名を一躍日本のオペラ界に知らしめることとなりました。“窓辺のセレナーデ”はいわゆる口説きの歌。夜にお目当ての女性の部屋の窓の下で、マンドリンを弾きながら「愛しい人よ、窓辺に姿を見せておくれ」と甘く呼びかけます。高度な技術が必要とされるわけではない短い歌ですが、それだけに声の色と歌手の佇まいによって印象が左右される、ある意味ではとても難しい歌です。「国内随一のドン・ジョヴァンニ歌い」との呼び声高い宮本さんが歌う甘いセレナーデに、聴衆の心は奪われることでしょう。

2曲目は、宮本さん自身が作詞し、数々の合唱曲で知られる作曲家・信長貴富が曲をつけた〈貴種流離譚〉。「祝婚歌」という副題が与えられているこの歌について、宮本さんは「両親が子どもに抱く愛情、そして受け継がれていく愛の軌跡を詩にした」と語っており、二児の父でもある彼の親心が伺える温かな歌になっています。この曲を初演したのは、宮本さんが指導をしている女声合唱団。その中に結婚する団員がいて、その方への祝福の意味も込めて詩を書いたとのことです。元々は合唱作品ですが、今回はバリトン独唱版でお届けします。親から子へ、そしてまたその子へと受け継がれていく“愛の流離”のストーリー。お聴きになる時にはハンカチのご準備を。

(水戸芸術館音楽部門学芸員・鴻巣俊博)


今回の公演に向けて、宮本益光さんにインタビューを行いました

宮本益光さんインタビュー①  “歌”に生き、“役”に生き、“言葉”を紡ぐ歌手の素顔(Videoメッセージあり)/topics/article_20295.html

宮本益光さんインタビュー②  “オペラ”の懐の深さと特異性
/topics/article_20307.html

宮本益光さんインタビュー③  心に詩を持つこと~歌を子どもたちと分かち合う喜び/topics/article_20364.html


<公演情報>
ちょっとお昼にクラシック 宮本益光(バリトン) “歌”のときめき “言葉”の煌めき


/hall/lineup/article_1468.html
6/17(日)13:30開演(13:00開場)
会場 水戸芸術館コンサートホールATM
全席指定 1,500円(1ドリンク付き)

宮本益光(バリトン)
髙田恵子(ピアノ)

【曲目】

成田為三(林古渓作詞):浜辺の歌
瀧廉太郎(土井晩翠作詞):荒城の月
山田耕筰(北原白秋作詞):あわて床屋
中田喜直(三好達治作詞):木兎

信長貴富(宮本益光作詞):空の端っこ、うたうたう、貴種流離譚

モーツァルト:
〈フィガロの結婚〉より“もう飛ぶまいぞ、この蝶々”
〈ドン・ジョヴァンニ〉より“窓辺のセレナーデ”
〈魔笛〉より“オイラは鳥刺しパパゲーノ”(日本語訳詞)
ビゼー:〈カルメン〉より“闘牛士の歌”
武満徹:小さな空