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2021-12-14 更新

茨城新聞「ATM便り」MCOセミナー・ウインズ2022~水戸室内管弦楽団の管楽器メンバーとセミナー受講生の合同コンサート~

茨城新聞で水戸芸術館音楽部門が月1本のペースで連載しているコーナー「ATM便り」。12月12日掲載の記事を転載します。来年1月16日(日)に開催する「MCOセミナー・ウインズ2022 ~水戸室内管弦楽団の管楽器メンバーとセミナー受講生の合同コンサート~」に因んだ読み物です(転載にあたり、一部修正を加えました)。

公演は水戸芸術館コンサートホールATMで、1月16日(日)14:00開演(終演予定15:00)。管楽器のハイレベルなアンサンブルが楽しめるコンサートです。入場料1,000円。詳しくはこちらをご覧ください。チケット発売中です。


レッスンの成果披露

 「表現力を上げるにはどうしたらいいと思う?」

 クラリネット奏者の山本正治さん(東京藝術大学名誉教授)が、大成女子高等学校吹奏楽部の木管八重奏の生徒たちに質問しました。先月、水戸芸術館で行った「水戸室内管弦楽団(MCO)メンバーによる管楽器アンサンブル・セミナー」での一コマです。

 山本さんは10月末のMCO第108回定期演奏会でも、メンデルスゾーンの〈スコットランド〉交響曲で美しい旋律を聴かせてくださいました。質問された生徒たちからは、「音色」「体の使い方」「呼吸法」等々、活発な意見が出ました。

 「これは料理と似ているんだ。おいしい料理を作るにはどうしたらいい? みんなは料理する?」と、山本さん。

 生徒たちからはいろいろな発言があり、笑いが出る場面も。

 山本さんは言います。

 「まず大事なのは、おいしい味を知ること。何がおいしいのか分からなかったら、味付けできないよね。同じように、良い表現をしたいと思ったら、良い演奏を沢山聴くのがいい」

 その言葉に考えさせられました。思えば新型コロナウイルス感染が拡大して以来、生の演奏を聴く機会は激減してしまいました。演奏会だけでなく、講習会も中止が続いています。コンクールも無観客、もしくは有観客でも各演奏団体の関係者のみ入場可、といった制約のなかで開催されています。人と人が同じ空間で教え、習う、互いに聴き合い学び合うことが、困難になってしまいました。

 先月の「管楽器アンサンブル・セミナー」では、大成女子高等学校木管八重奏のほか、水戸市民吹奏楽団木管三重奏、水戸第一高等学校クラリネット四重奏、grosse rizière(グロス・リジェール/木管五重奏)という4つのグループが、MCOゆかりの管楽器奏者に、3日にわたってレッスンを受けました。

 講師は、MCO楽団員代表の猶井正幸さん(ホルン)をはじめ、山本正治さん、四戸世紀さん(以上クラリネット)、鹿野智子さん(ファゴット)という日本を代表する演奏家たち。1月16日に開催するコンサートでは、レッスンの成果発表を行い、さらに講師と受講生全員での合奏も披露します。

 どのグループも素晴らしい仕上がりです。ハイレベルな演奏と楽しい解説が気軽に聴ける1時間のコンサートになります。ぜひご来場ください。

(水戸芸術館音楽部門学芸員・篠田大基)