今昔雅楽集 三、千代の楽人Gagaku – Japanese Court Music – from Times Past III. Revitalising a Millenary Tradition
2021年3月13日(土) 16:15開場 16:45プレトーク 17:00開演
当代随一の楽師・芝祐靖が見つめた雅楽の今昔
【出演】伶楽舎
【演目】
第一部
芝 祐靖 復曲:〈拾翠楽一具〉
芝 祐靖 復曲:復元正倉院楽器のための敦煌琵琶譜による音楽 から〈急胡相問〉、〈傾盃楽〉、〈急曲子〉
第二部
芝 祐靖 作曲:管絃の為の即興組曲〈招杜羅紫苑〉
*16:45から伶楽舎メンバーによるプレトークがございます。
オンライン動画配信 「入門 はじめての雅楽」
「今昔雅楽集 三、千代の楽人」に先立って、このコンサートに出演する伶楽舎のメンバーによる雅楽の解説と実演の映像を、オンラインで配信します。コンサートで客席からでは見えない演奏者の手元や楽器の細部が間近に見られ、コンサートの演奏曲も一部お聴きいただけます。
映像時間:63分
配信視聴料:500円 *2月26日(金)9:30発売開始
配信期間:2021年 3月1日(月)9:30~3月31日(水)18:00 配信終了
*動画は「PIA LIVE STREAM」での配信となります。お申し込みにぴあの会員登録(無料)が必要です。視聴券をご購入のうえ、配信開始日以降にCloakにて動画視聴URLをお受け取りください。
今は昔、滋井因叶なる人、高麗の国より渡来して「狛」の姓を名乗り、子々孫々、南都(奈良)の興福寺に楽人として仕えたと謂われます。狛家はやがて上、西、辻、芝など八家に分かれ、京の宮廷に比肩する音楽組織「南都楽所」の繁栄を築きました。これらの楽家(楽人の家柄)出身の音楽家は、今も宮内庁楽部で活躍しています。
1935年生まれの芝祐靖もその一人。宮内庁楽部の一員として千年以上の雅楽の伝統を受け継ぎながら、同時に演奏伝承の途絶えた楽曲の復元や雅楽の可能性を広げる作品の創作に取り組んできました。その活動はついには宮内庁を飛び出し、民間の雅楽団体「伶楽舎」の創設をはじめ、雅楽の門戸を開く活動へと発展します。芝祐靖の存在なくしては、雅楽が宮中や寺社の儀式を離れて広く聴かれることはなかったかもしれません。フィギュアスケートの羽生結弦選手の「SEIMEI」の音楽、といえば、芝の吹く龍笛の音色を思い出す人は少なくないはずです。
雅楽の“今”と“昔”を集める「今昔雅楽集」。第3回は、2019年7月5日に逝去した芝祐靖の音楽を通して雅楽の今昔を見つめます。
幕開けは、古典曲〈拾翠楽〉に失われた楽章を芝が復元して加えた〈拾翠楽一具〉から。こうした失われた音楽への芝のまなざしは、雅楽以前の古代の音楽にも向けられます。中国・敦煌の石窟で発見された古楽譜「敦煌琵琶譜」は、発見当時は解読不能とされましたが、日本の雅楽の琵琶譜が解読の手がかりとなりました。第一部後半では、芝の手で復元されたその音楽を、正倉院収蔵の古代楽器の復元品を使ってお聴きいただきます。第二部は芝祐靖の創作作品から大曲〈招杜羅紫苑〉を。武満徹の雅楽〈秋庭歌〉に触発され、雅楽人としてこれに拮抗する作品を生み出したいと情熱を注いで作曲した芝の代表作。伝統的な雅楽の響きとシルクロードを夢想する異国風の旋律、モダンな音楽語法とが渾然一体となり、しかも親しみ深い作曲者の人柄が偲ばれる音楽です。
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