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2016-05-29 更新

【Interview】ユーリ・バシュメットさん(指揮・ヴィオラ)新しい地平を開く音楽の冒険

水戸室内管弦楽団第96回定期演奏会を目前にひかえて、ユーリ・バシュメットさんに、今回の演奏会について、メールでインタビューさせていただきました!


 

――水戸にお招きできて光栄です。水戸室内管弦楽団との初めての共演にどのような感想をお持ちでしょうか。

水戸室内管弦楽団のことはマエストロ・ルドルフ・バルシャイとの録音で知っています。あのすばらしい方々と共演できるのが待ち遠しい……。

――マエストロにとって室内管弦楽の魅力とは何でしょうか。

舞台に立つうえで大切だと考えていることがあります。音楽を常に生き生きとさせるということです。本番までしっかりと準備して、そのうえで怖がらずに音楽の解釈に柔軟であること。音の色合いと音の意味を考えることも大切です。演奏する人にとっても聴く人にとっても、コンサートはそのたびごとに新しい地平を開く音楽の冒険であるべきだという信念をもっています。

――今回のプログラムの聴きどころをご紹介ください。

聴きどころは全部――どれも傑作です! どの曲にも作曲家それぞれの独自の様式が表れています! クラシック音楽の粋(すい)ですね。古典派の様式と様々なタイプのロマン派の音楽様式がありますが、その一方で、これらの音楽は古典派とかロマン派といった枠組みを超えたものでもあります。どんな時代にも通じる、どんなときでも私たちの魂に触れる音楽です。

ハイドン:交響曲第83番……この曲は輝く太陽のようなエネルギーにあふれていて、ハイドンの芸術のもっとも優れた特徴である特殊音効果が使われています。

パガニーニ:ヴィオラ協奏曲……これはユニークな曲です。原曲は独奏ヴィオラ、ヴァイオリン、ギター、チェロのために書かれていて、パガニーニの室内楽が演奏されることは稀なのですが、この曲はそれがどんな様式なのかを示しています。

ブルッフ:コル・ニドライ……ブルッフはユダヤの宗教歌から旋律を採取しました。ロマン派の作品らしい美しい旋律で始まりますが、それが大きく発展して旋律の性格付けも変化します。

シューベルト:交響曲第5番……この交響曲の主題に見られる抒情的で歌唱的な性格は、数多の交響曲のなかでも際立っています。それに、こんな小さな編成のオーケストラで、シューベルトがいかに交響曲的な語彙を駆使し、彼が作った主題を展開させているかも、とても興味深いところです。

――マエストロにとって、ヴィオラを演奏することと指揮をすることとは、どのようにつながっているのでしょうか。

2つを結び付けているのは音楽、それそのものです。楽器を弾くのか指揮をするのかは、私にとって大きな問題ではありません。音楽は私の頭や魂の中に息づいていて、私はそれを取り出して聴く人に届けようとします。それを自分の楽器でするのか、オーケストラでするのか、ということです。けれども、オーケストラでは、どの演奏家にも心のなかに自分の音楽がありますから、よい成果を得るためには彼らと心を通わせなくてはなりません。私たちがお互いに結ばれ合わないといけないのです!

――最後にお客様に向けてメッセージをお願いします。

日本の皆さんとお会いできることが待ち遠しいです。日本の方々は音楽の聴き手としては世界でも最高です。一緒に、心惹かれる魂のこもった音楽の旅ができることを期待しています!

2016年5月 Eメールにて
聞き手:篠田大基(水戸芸術館音楽部門)
(協力:ジャパン・アーツ)