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2016-06-24 更新

【ATM便り】水戸室内管弦楽団メンバーによる公開レッスン

茨城新聞で毎月1回掲載していただいている「ATM便り」。水戸芸術館コンサートホールATMでのコンサートやイベントに因んだ読み物を、水戸芸術館音楽部門学芸員が分担執筆しています。
6月23日付の記事は、7月2日(土)に開催する「高校生のための水戸室内管弦楽団メンバーによる公開レッスン&ミニコンサート」に因んだ話題をお届けしました。

この「公開レッスン&ミニコンサート」は「高校生のための」と銘打っていますが、高校生だけでなく、一般の方もお聴きいただけます。しかも入場無料です!
公開レッスンをご覧いただき、さらに水戸室内管弦楽団のメンバーのアンサンブルによるミニコンサートがお聴きいただける、というオトクな企画です。
7月2日、水戸芸術館のコンサートホールでぜひ弦楽アンサンブルの世界をお楽しみください!


ATM便り 2016年6月23日号

4+1のアンサンブル、4-1のアンサンブル

 

西洋音楽の基本は4声体、つまり4つのパートでできた音楽です。合唱ならソプラノ、アルト、テナー、バスの四部合唱ですし、弦楽合奏ならヴァイオリン2本とヴィオラ、チェロの弦楽四重奏です。

弦楽合奏の規模が大きくなると弦楽オーケストラになり、コントラバスが加わって5パートになります。しかしオーケストラでのコントラバスはもともと、チェロのパートを1オクターブ下で弾いて低音を増強する役割でしたから、基本はやはり4声体と言って差し支えありません。
ハイドンやモーツァルトの時代の音楽では、多くの場合、チェロとコントラバスが全く同じ動きをしています。
また、弦楽四重奏曲として発表された後に、コントラバスを加えて弦楽オーケストラ用に作り変えられた作品も、時代を問わず数多くあります。
今回の公開レッスンで受講生が演奏する作品のひとつ、シベリウスの〈アンダンテ・フェスティーヴォ〉も、初稿では弦楽四重奏曲でした。

他方、3パートだけの弦楽合奏もあります。弦楽三重奏は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、またはヴァイオリン2本とチェロのように、弦楽四重奏から楽器を1つ抜いた編成になります。
このような演奏形態はサッカーで言えば11人に満たないチームで試合をするようなもので、作曲家にとって弦楽三重奏の音楽は作るのに骨が折れるようですが、この編成の優れた作品は、無駄のない書法によって3パートだけとは思えない立体感を作り出し、しかも純度の高いハーモニーが美しく、燦然とした魅力を放っています。

数多くの名曲を生み出したモーツァルトは弦楽三重奏の分野でも、傑作と言われる〈ディべルティメント 変ホ長調〉 K. 563を残しています。全6楽章の大曲で、作曲されたのはモーツァルト晩年の1788年。有名な〈アイネ・クライネ・ナハトムジーク〉が作られた1年後、最後の交響曲となった第41番〈ジュピター〉が作られた1か月後という、円熟の境地で書き上げられた作品です。
今回のレッスンの後に開催するミニコンサートでは、水戸室内管弦楽団団員の中村静香さん(ヴァイオリン)、店村眞積さん(ヴィオラ)、堀了介さん(チェロ)という熟練の名手たちの演奏で、この曲をお届けします。

公開レッスンもミニコンサートも、高校生だけでなく一般の方も無料でお聴きいただけます。どうぞお楽しみに。