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2017-12-15 更新
【ATM便り】クリスマス・プレゼント・コンサート2017

茨城新聞で毎月1回掲載していただいている「ATM便り」。水戸芸術館コンサートホールATMでのコンサートやイベントに因んだ読み物を、水戸芸術館音楽部門学芸員が分担執筆しています。
昨日(12月14日)付の記事は、来週12月23日(土・祝)に開催する「クリスマス・プレゼント・コンサート2017」に因んだ話題をお届けしました。
ウィンター・ホリデーに水戸芸術館で、音楽とともに楽しいひとときをどうぞお過ごしください。出演者のサイン入りCDや様々な賞品が当たる恒例のプレゼント抽選会もございます!
チケットは好評発売中です。コンサートが近づくにつれて、おかげさまでご予約が増えてきております。ご予約はぜひお早めにどうぞ!
ATM便り 2017年12月14日号
特別な《メサイア》を
ヘンデルの代表作《メサイア》は、クリスマスに聴くクラシックの定番と言える音楽です。そのクライマックスで歌われる「ハレルヤ・コーラス」はご存知の方も多いことでしょう。キリストを讃えて「王の中の王、主の中の主」と高らかに歌うこの曲は、聖夜の高揚した気分にぴったりの1曲です。昔この曲を聴いたイギリス国王が感動のあまり演奏中に起立してキリストに敬意を表したという逸話もあり(真偽は不明)、今でも起立して「ハレルヤ」を聴く習慣があります。
12月23日の「クリスマス・プレゼント・コンサート」では、この「ハレルヤ」をはじめとする《メサイア》のハイライトをお聴きいただきます。
ところで、《メサイア》には何種類もの楽譜があるのをご存知でしょうか。
ヘンデルは《メサイア》を演奏のたびにほぼ毎回改作したそうで、一説によれば、ヘンデル自身が作っただけでも20以上のバージョンあると言われています。
さらに後世には、楽器を追加した編曲版も作られました。有名なのはモーツァルトの編曲版です。
《メサイア》の楽器編成は時代を経るにつれて、より華やかに、より沢山の人々に聴かせられるようにと大規模化していったようです。ヘンデル没後100年の1859年には、ロンドンで460人のオーケストラと2756人の合唱が3万人近い聴衆を前に《メサイア》を演奏したという記録もあります。
これに対して現代では、ヘンデルが意図した楽器編成に立ち返ろうとする演奏団体も多くあります。
それでは水戸芸術館の《メサイア》は?
何百人ものオーケストラの代わりに、一騎当千の楽器があります。1台でオーケストラ以上の音色をもつ楽器、エレクトーンです。
今回はエレクトーン2台とトランペット1本で大オーケストラを再現します。エレクトーン奏者の小林由佳さんが今回のために作ってくださった編曲です。
独唱は日本を代表するオペラ歌手の谷口睦美さん(メゾ・ソプラノ)と清水良一さん(バリトン)が務め、水戸を拠点とするあひる会合唱団がコーラスを歌います。
水戸芸術館だけのスペシャル・バージョンの《メサイア》。どうぞお楽しみください。
(水戸芸術館音楽部門学芸員・篠田大基)