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2018-06-17 更新

【インタビュー(前編)】テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾ(ダリオ・モレッティ、野村誠、やぶくみこ)が水戸に登場!城崎で生まれ水戸で育まれる舞台「うつくしいまち」とは、そしてメンバーの素顔

この夏は、音楽と美術でつづる舞台「うつくしいまち」をご家族で楽しんでみませんか?出演は、音楽や美術、演劇の垣根を軽やかに超えるユニット、テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾ。メンバーは、イタリアの演出家で美術作家でもあるダリオ・モレッティさん、国内外で数多くの人を巻き込んで共同作曲を行うなど、独創的な活動で高く評価されている音楽家/作曲家の野村誠さん、ジャワガムランなどの楽器を用いた多彩な音楽活動を展開している、やぶくみこさんの3人です。

今回お届けするのは、昨年彼らが城崎で創作し、今後様々なまちを訪れながら育てたいと考えている舞台「うつくしいまち」。自由で軽やかな即興演奏にあわせて、詩的でユーモラスな絵が次々と描かれ、子どもから大人まで楽しめる作品です。今回彼らは水戸のまちに滞在し、様々な風景や音に出会います。ワークショップでは水戸芸術館を飛び出し、水戸市植物公園茨城県立歴史館を訪れ、子どもたちと創作活動を行います。そうして“水戸版”「うつくしいまち」が生み出されようとしています。3人のアーティストが「音で描き、絵で奏でる」のはどんなおはなしでしょう?ぜひ一緒に旅をするような気持ちでお楽しみください!

チラシは、ダリオさんの原画を元にして、今回3つのデザインを作りました。ぜひお手にとってご覧くださいね。
(チラシはこちらの公演情報ページからダウンロードできます)

現在、イタリア、香港、日本と各地で活動中のメンバーにお話を伺いました!
これまで淡路島、イタリアのマントヴァ、兵庫県豊岡市など、さまざまな場所でクリエーションを重ねてきたメンバーたち。インタビュー前編では、それぞれの町で印象に残っていること、また、昨年城崎国際アートセンター滞在を通じて生み出され、今後さまざまなまちを訪れながら育てたいと考えている舞台「うつくしいまち」について伺いました。


INTERVIEW (前編)

――「テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾ」(以下TMI)は、日伊外交150周年(2016)の結成以来、淡路島、マントヴァ、兵庫県豊岡市と、各地に滞在して創作活動を行っています。各都市で特に印象に残っていることを、ぜひ教えてください。

野村:

Makoto Nomura

淡路島では、ダリオさん、やぶさんが、言葉は通じないのに、料理をしながら仲良くなっていきました。ダリオさんは、変な声を出したり、カラダを動かす体操をしたり、面白いおじさんだー、と思いました。一緒に変なことをいっぱいやって、言葉をこえて友達になりました。

イタリアでは、その昔モーツァルトも演奏に来たビビエナ劇場のステージで演奏しました。飛行機も電車もない時代に、オーストリアからイタリアまで遠征するのは、今の時代に、日本からイタリアに行くくらいには、遠く感じただろうな、と思います。18世紀のモーツァルトの時代にタイムスリップしたような気分でしたよ。マントヴァは小さな町ですが、昔の建物がいっぱいあります。そうした場所で、子どものためのフェスティバルをやっているのです。町のあちこちで、大人も子どもも一緒になって楽しんでいます。歩いたり自転車でまわれるフェスティバルなんです。ダリオさんは、超有名人で、みんなから声をかけられていました。この町のスーパースターなんだなぁ、ということが理解できました。

城崎は、自然の素材を拾い集めるために、色々なところに出かけました。まつぼっくり、葉っぱ、貝殻、石、いろんなものを拾いました。ガラクタを集めているようで、それらが宝物なんです。水戸でも、何か拾いに行きたいです。

ダリオ:

Dario Moretti ©Marco De Scalzi

三カ所での体験はどれも特別で、それぞれ、とてもよく覚えていることがあります。淡路島では古い瓦の工場(こうば)に行って、素材や形、色々な製品に刻まれた模様などに刺激を受けました。マントヴァでは、ビビエナ劇場という素晴らしい会場で、初めてアーティストと観客が出会い、とても強いインパクトのある体験をしました。城崎では、作品を制作するという仕事、演劇、自然、町とが混ざり合い、心に響く、魔法のような時間を過ごしました。

 

 

やぶ:

淡路島での滞在はダリオさん、さやさんとも初めて出会った場所でもあります。ダリオさんの、言葉を介さずとも通じ合う不思議な感じが印象に残っています。そして言葉を介さずとも感覚的に快適なところにうまく嵌っていく様子も印象的でした。淡路島とマントヴァでは瓦の音を中心に作品を構成していきました。淡路島・津井はすでになじみも深く、海が近くて瓦工場のたくさんある街で、よく知った人々の前で、街とともに育った音楽とパフォーマンスをお届けしました。

Kumiko Yabu ©Toshie Kusamoto

マントヴァはうってかわってダリオさんのホームタウン。無限に出てくるイタリアのおいしいものと、人々の陽気な様子、石で作られた重厚で大きなたくさんの建物でできた街の歴史あるホールでの上演はモーツアルトとも縁が深く、音楽の血脈みたいなものを強く感じながら演奏できた場所でもありました。豊岡市では城崎国際アートセンターでの3週間にわたる滞在制作でした。城崎の街で生活した時間があり、温泉にいつでも入れる環境と観光客と街の人々が交差する場所は、クリエイティブなアイディアが浮かぶのに最適な場所で、創作環境としての強い磁場のようなものを感じました。

 

――「うつくしいまち」という舞台作品は、昨年の城崎国際アートセンター滞在を通じて創作されました。各地を旅しながらこの作品を育てることについて、どんなことをお考えですか?

 

城崎公演の様子 ©igaki photo studio

 

やぶ:それぞれのまちは住む人が違い、そこで大切に育てられてきたこと、言葉、場所、食べ物によって個性が出てきます。それでもどこにいても変わらない豊かに暮らしていきたいという気持ちはすべての人に共通する思いでもあります。まちの個性を作品に活かすことで街や人々への愛着を再発見したり、作品もおもしろく、その土地でしか共有できない、かけがえのないものに育つと確信しています。

ダリオ「まち」を見つめるこの作品では、私達を迎えてくれる場所の持つ空気感や雰囲気が私達アーティストと響き合って、結果として色々なイメージが現れてきました。この作品の楽しいところは、アーティストとしての仕事を刺激する色々な状況に身を置くことができることです

野村:人は、実は毎日、少しずつ変化しています。何を食べたかとか、誰と会ったかとか、そうしたことで、少しカラダが変わったり、感じ方が変わったりします。舞台作品も、実は毎日、少しずつ変化しているのです。だから、昨年の城崎での「うつくしいまち」と、今年の水戸での「うつくしいまち」は、ちょっと違います。水戸で、皆さんと素敵な夏休みを過ごすことで、「うつくしいまち」は、ちょっと成長できると思います。そして、今後も、「うつくしいまち」を大切に育てていこうと思っています。

ちなみに、1995年に水戸でつくった「でしでしでし」(※1)は、その後、イギリス、オランダなどでも演奏されて、今年は東京でも演奏しました。2002年に水戸でつくった「せみbongo」(※2)は、CDも楽譜も出版されて、何度も上演されています。2008年の水戸で生まれたアコーディオン曲「Art Tower Mito」(※3)は、オランダで演奏されて以来、主にヨーロッパで演奏されています。「うつくしいまち」での水戸の経験も、その後、世界の各地に広がっていくと思いますよ。

(※1)でしでしでし: 当館の現代美術ギャラリーでの展覧会「ジョン・ケージのローリーホーリーオーバー・サーカス」の関連企画「ジョン・ケージのオーディトリウム」にて初演された。2台ピアノ、ロックバンド、吹奏楽という編成の作品。
(※2)せみbongo:当館のファミリーワークショップ「音遊び・箏遊び」を通じて生まれた、箏のアンサンブルのための作品。
(※3)Art Tower Mito:当館のファミリーワークショップ「いいカモ!鍵ハモ!」を通じて生まれた作品。

(インタビューは後編に続きます)


☆小さな聴き手のためのコンサート
テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾ「うつくしいまち」
2018年8月5日(日)14:00開演
会場:水戸芸術館コンサートホールATM
出演:ダリオ・モレッティ(共同演出・美術)、野村誠・やぶくみこ(共同演出・音楽)
全席自由:一般 1,500円、3歳以上12歳以下 1,000円
チケット取扱い:水戸芸術館チケット予約センター TEL 029-231-8000

関連プログラム①「こども・こらぼ・らぼ」2018
★おんがくワークショップ「野村さん、やぶさんと音楽をつくろう!」
2018年8月1日(水)11:00~16:00
対象:小学3~6年生(定員15名)
講師:野村誠、やぶくみこ
会場:水戸市植物公園

★びじゅつワークショップ「ダリオさんとお絵描きしよう!」
2018年8月2日(木)10:30~12:00
対象:5歳~小学2年生(定員15名)
講師:ダリオ・モレッティ
会場:茨城県立歴史館内 旧水戸農業高等学校本館

応募受付期間:7月1日(日)~7月5日(木)
※内容の詳細や応募方法はコチラからご確認ください。